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一夜明けて会社に出社します。②

 扉を開けるとそこはオフィスだった。

 俯きがちに頭を垂れていると視界に飛び込んでくるのは二つの膨らみ。そう、おっぱいである。


 我らが社長、中百舌鳥朱理その人だ。

 朱理さんはなぜか扉の前で腕を組み仁王立ちだ。お陰さまでいつもより二割増しである。眼福眼福。


 とりあえず難しい顔した朱理さんに挨拶でもしようかな。それにしても、眉間に皺を寄せた美人ってなんかそそるよね。この冷たい目で見つめられながら罵られたいっ!


「朱理さん、おはようございます」

「糞虫、あんたパソコンの電源切らずに帰ったでしょ? 電気代いくらかかると思ってるの? 次やったら人生の電源落とすわよ」

「はひぃぃ! しゅみまぜんでした!」


 前言撤回。美人の罵詈雑言とか怖すぎる。

 っかし~な、昨日電源落として帰った気がしたんだけど、急いでてちゃんと確認してなかったからかな。今度から気を付けよう。

 

「それで、シナリオの資料集めは上手くいったのかしら?」

 朱理さんは組んでた腕を腰に当て、進捗を確認してくる。圧迫されていたおっぱいが解放されて、左右にぶるんと散った。いやはや、結構なお点前で。


「まあ、今のところは順調ですね。来週の会議を楽しみにしててください」

 俺の発言が意外だったのか、朱理さんは少し目を見開く。そして、にっこり微笑んだ。

「へぇ、珍しく自信があるみたいじゃない。期待してるわよ」

 朱理さんがぽんと俺の肩を叩く。


 やっべ~、大人のお姉さんの何気ないスキンシップは反則だろ。

 もう少しで俺の心を盗んでいかれそうになるとこだった。どこの峰不二子だよ。

 いきなり触るのは勘弁いただきたい。


 どぎまぎしていると、朱理さんは人差し指を天井に向ける。どうやら何かを思いついた模様。それとも天に還る時が来たのかな?

「そうだ。江坂、あんたが私の納得いくシナリオを書けたのなら、労いでご飯でも奢ったげるわ」


 まさかのご提案である。でも、一緒に食事して、友達に噂とかされると恥ずかしいし……

 よくよく考えると、俺に友達がいないから問題なかった。ぼっち万歳!


「奢りって、なんでもいいんですか?」

 俺は朱理さんに確認する。

「江坂一人を奢るくらいなら、なんでも大丈夫よ」

 さすがの太っ腹である。出ているのは腹ではないので、正確にはでかっ乳である。

「わかりました。行くところ考えときます」

 はい!なんでも大丈夫って言質とりました!

 年頃の女性がなんでもとか言うのは絶対やめましょう! 無用なトラブルに巻き込まれる可能性があります!


「話はそれだけよ。それじゃ、仕事がんばりなさい」

 朱理さんはくるりと踵を返して席に戻った。さて、俺も仕事仕事っと。


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