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クライシス~白銀の空~  作者: 古河新後
プロローグ
5/43

星の呼び声

 ドックン、と何かの心音が聞こえた。

 ドックン。荒れ狂う雷が都市の崩れた建物の避雷針へ落ちる。

 ドックン。避雷針によって伝わる放電は都市全体に駆け巡った。

 ドックン。そして、ソレは都市の端へ。

 ドックン。目指すは、白き剣。

 ドックン。目指すは、人の意志。

 ドックン。星の剣(クライシス)



「!」


 シゼンは地中を伝って都市全体に響いた落雷の電流が、クライシスを伝ってコアに流れ事で、全身を刺激され意識を取り戻した。瞬間、【クライシス】の右のデュアルカメラに赤光が強く蘇る。

 だが現状は人が感じるには、あまりにも早く、そして絶望的であった。


 警報がコアに鳴り響く。強く、焦っているように、目の前の“(オルトデューク)”を知らせていた。


 【オルトデューク】の黒腕(アグニ)による攻撃は、コアを狙っていた。【クライシス】へ間違いなく有効なモノだろう。この距離では回避おろか、防御さえも間に合わない――



 聞こえている――貴方を“クライシス”と認めよう――


 『ACT3 IFAL』


 シゼンの瞳には、眼前のメインモニターには、その単語だけが表示されていた。





 【オルトデューク】の黒腕は間違いなく【クライシス】を捉えた。避けられない距離、避けられない態勢。どう考えても、破壊の未来しか見えなかった。


『ようやく、わかった……』


 その通信は、背後で大剣(シナイデン)を振り上げている【クライシス】の搭乗者――シゼン・オードが発した声だった。


 躱された――


 ノートは驚愕に眼を見開く。黒腕は【クライシス】の倒れ込んでいた建物を貫き、溶解している。

 しかし、そこに【クライシス】の姿は無かった。外したのではなく、外されたのでもなく、躱された――


『オレが、(エイル)息子(フリュー)に出会ったのは……星にとって人類(オレたち)が、何よりも“自由”である証だったんだ――』


 攻撃動作中の無防備な【オルトデューク】の背へ、【クライシス】は勝敗の決した一刀を振り下ろした。






 星が揺らぎ、一滴が世界へと落ちる。

 白銀の軌跡と共に――

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