61.
私がシャルの毛並みに埋もれている間に先生が話を付けたらしい。
まぁ、この森自体面積が狭いのだ。
そこに逃げ込んだとしても、森で養える数には限りがある。
際限無く取ればどうなるか、それを先生は今居る連中に話して聞かせたのだ。
そして、今取り過ぎて食料にできる動物が居なくなったのだと付け加えて。
正確には私が地下1階の牧場と3階に保護しているのだが、それを教える必要はないだろう。
今後の予定としては外から(と言っても、この島に生息している)数匹を引き入れたり、数匹を放したりすることにするつもりである。
これで、血が濃くなりすぎるのを押さえ、子供が生まれにくくなるとか変なことにならないはず・・である。
そう言えば、魔素に侵された連中はどうなるんだろう・・・。
やはり、外から血を入れないといけないだろうか・・。
うん、そこは要実験だな!
と、それはそうと・・ここに居るのは猪族、蜘蛛族と狼族(?)だけではない。
他にたぶん猪族の保護下に入っているのだろう狸ぽいのや毛深い人・・猿?とか、イタチっぽいのとか、あとは狐、兎に鼠が数種。
蜘蛛族の方は爬虫類から両生類、昆虫らしき人も居る。
ちなみに多くは果物や草、キノコとか、昆虫種の何人かは蜜を集めて・・食べてきたみたいである。
ここだけでも分かるが、この森には多くの人種が居るらしい。
このままではどうもあれだ。
この小さな森だけでは賄いきれる物では無い。
今までどうして来たのだろう?
「では、他の種族にも伝えてくれ。どの種族でも採る事は制限はしない。ただし、採れても採れなくとも顔を出す事。こちらに余裕があれば少々なら融通を利かすと。それと、顔を出さずこの森から物を持ち出そうとした場合、持ち出した物は手元に残る事は無いと」
「「「「「「「ははっ!」」」」」」」
「さて、狼の者たちよ」
「は、は!ど、どうか。お許しを」
「森で生きていく者として、この度の事を軽く許すことはできない。だが、ここで留めて罰を与えるではこの者たちと同じ村の者たちが不審に思うだろうな」
そこで言葉を切り、体の向きを直す先生。
ちなみに狼族の人たちは尻尾を丸めて、体を縮こませている。
蜘蛛の糸はいつの間にかほどかれていた。
「ザンダ殿、シャライア殿。すまないが、先の話の伝言役たちに同行させてよろしいか?」
「それは・・構いませんが・・・」
「わたくしも構いませんわ」
「うむ。では、まずはそなたらの村でこの度の事を話し、そなたらの身柄を預かる事を蜘蛛族、猪族の伝言役に伝えさえる。その上で、まずはそなたらには伝言役たちの護衛を課すことにしよう」
困惑気味のザンダとシャライアは先生の言葉に怪訝な顔をしてからポカンとした顔になっていた。
それに私は少し笑ってしまう。
いや、まぁ、元々シャルの毛を堪能しているうちに笑っていたのだから・・まぁ、変わらない顔かもしれないが。
だって、それはスラノーとシャルの後ろを付いて行けと言っている物・・だと思うのだ。
つまり意味のない仕事である。
まぁ、まずはっと付いているという事は今後もこき使う気であるのだろう。
かわいそうに・・まぁ、良いか。
そう思いつつもう一度シャルの毛を撫でた。
うん、気持ちいい。
~・~・~・~・~・~・~・~
さて、スラノーたちをそれぞれの種族の代表者二人と狗族の青年たち(あとでレムに教えてもらった)を送り出し、その後、色々用事があるらしいエミリア神殿の階層主たちを見送り、忙しいらしい先生たちもそれぞれの仕事をしに出かけ・・。
一人になった私はコアと一緒に森の階層の改装を・・・って、駄洒落か!は、良いとして・・・。
変更変更・・と。
と言っても、一階、二階は同じ造りでそこまで大きい変更はしない。
大きく少し深い川で区切られ、真ん中に湖を抱く作りとなっている。
違いとしたら二階の湖の中心には天井近くまである大きな岩山がある事と川の流れが逆な事、川の本数ぐらいだろうか。
一階は人間たちの居住区と農業区、牧畜区の三つに分けた。
ちなみに二分の一は人間たちの居住区、四分の一が森で確保した比較的大人しい系の草食動物(コア曰く兎に鹿、カモシカであるらしい)の家畜化に繁殖を目的にした場所で、残りは森に自生している食べられる草木を栽培して増やす努力をして見ている。
二階はもちろん野生動物の保護区だ。
後々に数匹ずつ家畜化させるつもりではあるが今はそのまま手を付けることなく放置である。
後々で魚も両生類も引き入れるつもりである。
で、三階は私の居住区、レムたちの居住区と森の集会場をそれぞれ単体の小さい領域を作って設置してある。
ちなみに水は一部外から引き入れつつもダンジョン内を循環させている。
まずは一階から。
境界の川を流れ中心の湖へ。
湖の一定の深さに転移門で一定量を二階の岩山の上から流し、湖から四方の川を流れ。
川の先から三階の各領域へ。
ちなみに二本は私の居住区へ流れ込んでいる。
そこから一階の川へと水を流しているのだ。
あと、森の集会場へは、外から水を引くことで水が無いといけない人のための通路も確保し、ついでに水の補充もしてある。
あと、外へ流れる流れも作ってあるから過分な水はダンジョン外へ排出される・・はずだよな・・。
まぁ、これで森の階層の改装も終わり!
ふわぁ~・・・もうお昼か・・。
まぁ、いいや。
神殿に行ってからお昼にして寝よう。




