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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
4章 森の大騒動~さぁ、匙は投げられた!?~【仮】
84/117

57.

「リナ様。こちらが蜘蛛族の長シャライア様。そちらが猪族イ家の長老補佐ザンダ様。話がしたいという事でお連れしました」


「お初にお目にかかります。使い様」


「同じく、お初にお目にかかります。使い様」


二人はゴブリンの年寄衆の一人であるゾルドより私の近くに座り頭を下げた。

ちなみにその少し後ろ。

ゾルドよりは後ろにザームとサレイが座り。

それよりも奥の隅っこにレムたちが座っている。


「遠い所、よく来た。楽にしてくれ。・・と、レムよ。なぜそのような所に居る。そなたはこっちであろう。ジラム、ギラムス。そなたらもだ」


「へ!?で、でもぉ、そのぉ」


「そなたらはこの森を戻すという願いを叶えるために、我に捧げられた贄であろう?ならば、そこではなく、ここに居ることが正しいと思うのだが・・どう思う?タマよ」


部屋の隅は隅でも私の後ろの隅を差してレムを呼ぶ。

それに一回私とレムを見比べ、シャライアはレムを見た。

睨みつけているようにも見える。

ザンダは少し眉をひそめただけである。

が、何というか不服ですと言うオーラが出ている気がする。

レムは肌でその視線と威圧感を感じ取ったのだろう。

どうするべきかと迷い口ごもって・・・。

ちなみにゾルドはポカンと口を開けこちらを見ている。

このままだと、誰も納得いかないだろうなっ・・。

そこで取って付けた言い訳を口にする。

即席で考えたとしてはなかなかの出来ではないだろうか?

タマだし、そうそう否定的な事は無いだろう・・。


「はい、リナ様。巫女様と付き人は岩玉様に捧げられ、その見返りとして、リナ様がこの地にやってきたのですから。村でどのような扱いなのかは、わたくしは分かりかねますが、これから先はわたくしらと同じくリナ様に仕える身。このような場であれば、リナ様の傍らかたわらに控え、仕えていなければならないと、わたくしも愚考いたします」


・・・・・これタマですか?

すごい違和感が・・・。

後ろにいる先生のため息なのか感嘆なのか分からない、小さく「はぁっ」と言う声が聞こえてきたり。

目の前の二人が少し考えるような顔しているとか。

いや、ゾルドさん!感心している顔までは良いけど!そこで胸の前で手を打っちゃダメ!

うむ、ここの森の人は素直だと言うべきなのか・・感情が外に漏れやすいと言うべきか・・。

ま・・まぁいいや。

レムたちが指定した場所へ移動したのを確認してから私は再度彼らと向き合った。


「にて、そなたらは何やら話がしたいとか。どのような事かな?」


「・・まずはわたくしからよろしいでしょうか?」


一瞬、ザンダとシャライアが目配せしてからシャライアが話し出した。

それに私は軽くうなずく。


「では、シャライア様。どうぞ」


「では・・まず。このたびの争いになぜお力をお貸ししていたのか、お聞かせ願いませんでしょうか?」


これはまた・・・真っすぐな事で。

どうした物か・・。

前に居並ぶ者たちを見渡し・・、ゾルドが少し震えていた。

シャライアとザンダは真っすぐこちらを見。

ザームとサレイはゾルドの反応を見て眉間にしわを寄せている。


「それはこやつらと我の内の話。・・と、終わらせるわけにはいかぬか?」


「それは、このま・草小人を贔屓にしているととっても構わないという事でしょうか?」


「・・・なるほど。そう取るか。ゾルド。すまぬが、そなたらの恥。話すぞ」


「は、はい。構い・・ません」


キッと睨み上げてくるシャライアに腕を組んで考え込んでいるザンダ。

このままでは何をしてくるか分からない感じに私は一応儀礼的にゾルドに声をかけ・・。


「単純な事。そなたらと同じく、こやつらの長老は自分たちを贔屓にするよう詰め寄ってきたのだ」


「な!わたくしは!そのような事!」


「!!蜘蛛の!何を言い出す!」


真実の様な嘘を言ってみる。

ゾルドは少しきょとんとした顔をしていた。

全て話すと思っていたようだ。

ん?なんでこんなに慌てて・・・あ。


「ん?あぁ、待て、待て!待て!違う、違う。そなたらが考えたのと同じく、だ。このレムらを受け取ったのだから、自分たちの願いを一番に叶えてくれと言ってきたのだよ。だから我はどの村も贔屓にする気は無い、何か要望があるなら森の話し合いに出て主張したらよかろうと追い返したのだ。それが不服だったようでな。同族の村々を回り、我を偽物だと言い、他の村人を騙して攻めてきたのだ。その事にいち早く気が付いたそこのゾルドが知らせてくれてな。我が配下だけで対応しても良かったのだが、それでは彼らはこれから負い目を感じるとは思わぬか?」


「そ、それは・・」「うむ、そうですな」


「そこで、彼らの事は彼らに任せることにしたのだ。とはいえだ。大半は我が偽物だと吹き込まれて来た者たち。我が本物であると示せば大半は思いとどまるのではと思ってな。我が配下と巫女を連れて行くよう言ったのだ。・・・答えとなったかな?」


「は、はい・・」「おぉ、なんとお心の広い・・」


シャライアは顔を伏せ、ザンダは感心したと言う表情だ、たぶん。


「今度は我からよろしいか?」


今度はザンダが真っすぐこちらを見てきて。

ニヤリと言う表現ができるような笑顔をしてきたのだった。

うん。

なんだろう。

また、面倒事が増えた気がする。



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