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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
4章 森の大騒動~さぁ、匙は投げられた!?~【仮】
82/117

55.

さて、色々ごたごたがあったが、終わるときは意外にあっさりと終わる物だ。

画面の中では長老にそそのかされた一団の半数以上が戦意喪失と言った感じである。

まぁ、それも仕方ない。

それよりもその状況におちいらせた存在に私は目が点になってしまった。

と言うのも・・と言うか、いつものように順に思い出してみよう。


まず、飛び込んできたゴブリンをタマが助言して返したあたりから。

その後、私の方にもその連絡はあったのだ。

だが、タマはそちらが重要だし、こっちの事は僕がしておくから、大丈夫だよといつもの調子で言ったのだ。

一抹の不安はあったものの、こっちも目を離すとどんな服が仕上がってくるか分からない。

それに自分の事であるために任せれるなら任そうと思ってそのまま放置。

次の日、以外に早く行動に移しそうだと連絡をもらい、服を選定し終わってからレムたちと打ち合わせと言う話だったのだが・・・あの騒動でうやむやに。

で、今日、タマが朝に動きそうだから伝言とかお願いしてきたよ、だからリナちゃんが出なくても大丈夫!と言うので家でゆっくりしていたわけだ。

で、衝突直前にブライム達の襲撃があったり、先生だけを呼んだつもりだったのだが。

説明をしてほしい階層主全員がやって来たりしたて・・。

ちょうどその時ぐらいに画面の中で長老たちの一部とレムたちが偶然出会ったのだ。

と言っても、そういう仕掛けをしただけであるが・・。

森に入ってある一定距離進むとその広場に出るような転送陣が・・転移陣?まぁいいや、施されてあり、そこからわらわらと広場に一団を呼び込んだのだ。

増える増える。

そして、最後の一人が入ったのが分かったのか代表者が前に出て声を張り上げたのだ。

それは、年寄衆の一人でも、レムたちでも無かった。

それは・・・スラノーであった。

そう、スライムであるスラノーがピョンピョンと跳ねて前に出たのだ。

普通のスライムの動きではない顔があるスライムに侵入者たちは唖然とし恐怖を覚えただろう。


<われは、いわだまさまの、つかいさまの、しもべである!ちょうろうよ!つかいさまより、でんごんを、たまわった!はなすので、でてこられよ!>


心底驚いた。

数日前まで普通のスライムだったのだ。

それが知能は上がっているとはいえ、一語一語はっきりと発音できている事に。

周りからも感嘆ともとれるため息が漏れ聞こえてくる。


<まだ!そんな世迷言を言っておるのか!小娘が!まぁいい!岩玉様を返す気になったの・・だ・・な?どこじゃ?>


<ちょうろうよ!このすらいむの、すらのー!つかいさまからの、でんごんを、つたえる!>


<は?な!>


勢いよく運ばれて出てきた長老は周りを見渡し首をかしげていた。

丸太を組んだような輿に乗ってたとはいえ、ただのスライム。

周りが壁になって見えていなかったのだろう。

前に運ばれてきたものの声を張り上げた相手を見つけられなかったのだ。

で、足元からの声にやっとスラノーを見つけ・・絶句、と。

それを気にせずスラノーは続けた。


<せんじつのこと、よもや、わすれたのでは、あるまいな!ここよりさき、その、てきいをもって、あしをふみいれるなら、われらのきばを、とくとみよ!されど、これよりさき、いわだまさまにかんしての、ようきゅうを、すべててっかいするなら、このばは、ふもんにする!>


そう言い切ったスラノーは前に居る全員を見渡すように体を捻り・・首を振ったのか?


<そして、そなたらすべてに、つたえる!てきいなきものは、このばにひれふせ!それをもって、そなたらも、ふもんとする!いじょう!>


そして、一回飛び跳ねたと思えば、軽く飛び跳ねて来た方向に向くスラノー。

その姿に顔を真っ赤にした長老が杖を振り上げスラノーを打ち据えた!

でも、誰が何言おうと彼はスライムなのだ。

打撃など効かないわけで・・・。


<これは、どういうことかな?ちょうろう。てきいととってかまわない?>


笑顔・・のスラノーは振り返るように体をひねった。

これはある意味怖い。

スラノーはずっと笑顔だった。

口をパクパクと動かしているが表情が変わった所を今の所見ていない。

できないのか、できるけどしてないかは知らないが。

そして、杖がそのままスラノーの体に取り込まれていく。

何度も言うが彼はスライムなのだ。

それはできて当然のことなのだろうが・・。


<ひぃ!>


怯えた長老は尻餅をついて・・。

その長老の頭があったあたりを何かが通り過ぎて行き。

その後ろに立っていた運の悪いゴブリンにぶち当たったのだ。

ドゴ・・ドサ


「は?」<へ?・・お、おい?>


思わず出た声は画面の中のそのゴブリンの隣にいた一人の声と重なってしまった。

それはスラアースだった。

どういう事かは分からない。

分からないが、分かっている事が一つだけあるとしたら。

そのスライムの一撃で頭をかち割られたゴブリンが居るという事だ。


<あぁ、あーすにぃ。だめだよ?かってに、うごくの。のーは、つかいさまに、おこられたくないの>


<きぃぃ⤴(だが!こいつ!あるじさまを、ばかにした!)>


<そうだけど。れむさま、ゆるしてないよ?ね?>


<き、きぃぃ⤵(そ、そうだが)>


<えっとねぇ・・どんなときも、れむさまの、きょかが・・まぁ、いいや。<ひ!>まだ、いき、・・あるね。うんっと、べぇ~・・と>



・・・・スライムって鳴けるんだ・・。

てか、意外と考えてる?

スライムだけど・・。

会話を切り上げ、攻撃受けた人を囲んでいた人の壁の中にポヨヨンと飛び込んだスラノーに周りは飛び退いた。

中には数人、腰が抜けて周りに助けを求めている者もいる。

それには目もくれずスラノーはその攻撃を受けた人の顔の前を体の一部をかざして。

口から何かを取り出し・・・あ、瓶だ。

あれは傷薬だったような。

その瓶を体を変えて器用に開けたと思えば、口にくわえて倒れているゴブリンにぶっかけた。


<うん。これで、よし!じゃ、あーすにぃ、かえろ!>


そのまま、スラノーはピョンピョンとスラアースはゴロゴロとその場を後にして数秒後。

何だったんだと呆然と見送るゴブリンたちの足元でうめき声が。

何事かと振り返れば倒れていたゴブリンが何事も・・・なかったかのように・・・・・・・・・起き上がってきたのだ。

あれだけぐちゃぐちゃだった顔も元通りになって、だ。

それだけで、見ていた者たちはその場にうずくまり。

数人は話が違うと長老を問い詰める。

あとは何が起こっているのか分からないと言った感じである。


<私はぁ!今代、巫女を務めますぅ!十の村のレム!私はぁ!これよりぃ!使い様の伝言を実行することを許しますぅ!そして!降伏しぃ!使い様を認めるならばぁ!その場に座りなさいぃ!その者の使い様に弓引いた罪ぃ!不問にする事をぉ!ここに宣言しますぅ!>


<また!これより先に踏み入るなら!各村の裁きを受けてもらう!ここを突破しようとも!この森で生きていけると思うな!>


スラノーたちが元の位置まで戻った頃だ。

レムを乗せたシャルがスッと前に出たと思えば、レムが緊張した声を張り上げたのだ。

それに続ける年寄衆のゴブリンの言葉に半数以上はその場に座り込んだ。

だが、引くに引けない者はいるもので・・・。

これが戦いの火ぶたを切る口火となったのだった。

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