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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
4章 森の大騒動~さぁ、匙は投げられた!?~【仮】
80/117

53.

目の前に広がる光景に私は思わず一歩下がりそうになった。

そこは昨日騒動が起きた海岸の町を見渡せる展望台だった。

ちなみに海岸線から見たら四階となる場所である。

そして、城の一番上の展望台と言う場所であったりするのだ。

そんでもって海岸線から見たら三階となる場所は城の何階かは忘れたがテラスであるらしい。

今そこには先生や階層主と言った要人が勢ぞろいしているだろう。

そして目の前には様々な人たちがひしめいていた。

二階は小人が優先的に集まり、階段から一階は二階に上がれなかった人々だろう人達。

海・・入り江にも船が所狭しと浮かび、その間からも人の顔らしきモノが浮かんでいた。

家の上には壊れないのかと思うぐらい人が乗ってたりするし。

あ、岩壁に張り付いていたリ、いつの間にか張られている縄らしき物に鈴なりになってる黒いのも・・。

人か・・・。


「主を失い幾星霜、我々は魔素に土地奪われ、幾度敵に襲われ同胞を失い。幾度も苦渋を味わってきた事か!されど!これからは違う!我々はここに新しい主を迎えたのだ!」


『リナ様、リナ様。口を閉じて。前を見て。一歩前へ』


いつの間にか始まっていた先生の演説?に合わせて、後ろからリアが注意してきた。

ちなみにマリアさんやザラップは下の警護という事でここには居ない。

ちなみにここには鎧に身を包んだタマに地味なローブを着たリアとエアリア(の体を使っているコア)。

そして、エアリア(ダンジョンコアバージョン)がいるだけであった。

そして私は昨日と同じに見えるがもっと派手なローブに身を包んでいた。

確か、銀糸ではなく光に当てると虹色に輝く変わった糸で刺繍が大きくはっきりとされた代物である。

てか、私より下の方が大事なのだろうか?

と、思いつつ、私は言われた通り、口を閉じ、前へ出る。

その時、大げさに鳴杖を振り上げ、シャラランとワザと鳴らす。

そんな大きい音ではないはずなのだが・・それだけでざわついていた音がピタリと静まったのだ。

下を向けばこちらを見上げている顔が良く見えるほどである。


「今この時を持ってこのエアリア神殿は新しく生まれ変わるだろう!!!エアリア神殿に祝福を!」


下を見ないようにして、私は後ろに控えているリアに鳴杖を渡し・・。

先生の掛け声に合わせ、天に向けて抱えていたエアリア (ダンジョンコアバージョン)を掲げる。

それに合わせてエアリアは軽く浮かび上がり、輝きを増した。

良くある光景・・神様が降臨したと言う時なんかに後光が差すと言ったそういう光景が目の前に広がる大観衆の目には映っている事だろう。

そして、黒に虹色に輝く糸の刺繍と言う変わったローブはその光を浴び、さらにキラキラと色を変え人々の目に映っているわけで・・・。

口下手な先生の言葉にか、この光景にか・・分からないがその場はわぁぁぁっと沸き立った。

・・・・ええっと・・どこの野外ライブ会場だ?

・・・どっかのフェスとかいう物でも良い。

そんな盛り上がり方のようだ。

それに恐怖しながらも戻ってきたエアリアを抱える。


「さて・・・このようなめでたい日に言うべきことではないとは分かっている。だが!皆に話したいことがある!昨日さくじつこの地へ踏み込んできた不届き者たちについてだ!」


その声に雄叫びは静まった。

まぁ、ざわついてはいるが・・。


『リナ様。こちらに・・』


リアに急かされ、その場を後にしたのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



その後の事はざっくりと。

まぁ、簡単に言えば。

うんと・・こうである。


めでたい日を野蛮な者たちの血で汚すのはいかがな物か、とか。

これより長い時をかけ、培ってきた交流に亀裂を及ぼすことになりかねない、とか。

そんな事を並べ立てて、殺すことはしないことを話し、それでは気が収まらないだろうと煽り立て。

殺すより恐ろしい魔素の充満している場所での意味のない事をさせると言う話をしたのだ。

それがどんなに危険な事か知っている狩人や冒険者たちはほぉっと頷き、他の人は分からないがそれがきつい事であるのだろう考えて・・。

納得しかけた所に爆弾を落とすのだ。

彼らと共に暮らすことを。

そして、それに反発の意見が出る前に、新しい土地を我らが主(つまり私)は用意してくれた事。

新しい畑や家を建てることになる事。

それには人手がいるが、それほどこのダンジョンには人が居ない事。

そこで彼らを使うのだとつなげて説明し・・。


詳細についてはまた後日説明するとお開きになったのだった。

それだけでも大変・・・。

あぁっと、ちなみにあの海岸線にもあぶれた人にどう説明するのかとかリアに聞くと。

あの会場の映像は全階層の壁に移され、声も響くようになっているという事。

前のマスターが作った装置らしく、あのテラスにスイッチがあるらしい。

それを操作すると映って声を轟かせれるとか。

そんな説明を聞きつつ久々に帰ってきた家の風呂に浸かりつつ、コアに出させている画面を食い入るように見つめていた。

そこにはそれなりの人数に膨れ上がっているゴブリンの爺様の軍が。

と言っても、ゴブリンはゴブリン。


『思いのほか多いですね』


リアが覗きこみながら言ってくる。

ちなみにリアは少し離れた場所で服を洗濯していたのだ。

やる事無いのでと持ち込んできたのである。


「うん。まぁ、あれだね。見物だね・・」


そう言いつつ、まぁ、負ける事は無いだろうと気楽に見ていたりする。

さて、話は戻って事の始まりは二日ほど前、着せ替え人形になっていたころの話。

実家?の方で問題が起こったのだ。

そこに飛び込んできたのは一人のゴブリンだった。

息を切らし途切れ途切れに伝えてきたのは使い様とジラムたちを呼んでくれという事。

使い様は呼べないがと断りを入れてからリアはジラムたちを呼び。

話を聞けば、今朝起きたら長老とその支援者たちが姿を消していて慌てて近くのゴブリンの村を手分けして回ったそうだ。

そしたら、しばらく前に支援者の一人が来たらしい事。

そしてそいつが偽の使いが現れて岩玉様を盗んでいったと言う話をしていったと言う。

その前に近くの別の種族の村から話は来ていて、新しい使い様が現れたという事を聞いており。

ほとんどの人は疑って付いていかなかったがそれでも数人はその支援者に付いていったと言う話を聞いて。

慌てて知らせに来たのだと言う。

そこにタマがフラッと現れて・・・。

侵入者を感じて見に行ったとの事。

・・・まぁ、良いが。

その話を聞いて、前々からこういう時はこうすると指示をもらっていたと言う風に。


そちらも立場という物があるだろう。

そこでそちらの顔を立てる意味も込めて戦力を貸していただけないだろうか?と


それにはすごいくらい縦に首を振るゴブリン。

そしてすぐに人を集めるためかそのまま飛び出していったのだった。

それを止めることなく見送ったタマは今度はジラムたちに向き合って・・・。

そして目の前の状況を作り出したのだった。


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