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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
閑話 とある罪人たちの話
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とある商人の話 2.

ちょこっと・・ホラー?


「ひぃぃぃいぃぃっっっ!!!!・・・・・・」


ふぅ・・・やっと静かになった。

そう思って、寝返りを打ち。

・・・・・足?


『起きておいでですか?エルヴィン殿』


っ!

足があった場所との間に何かがドスンと落ちてきて・・。

それは頭だった。

顔が逆様に覗きこでっ!!!!

思わずその場を飛び退き悲鳴を上げ。

ようとしたのだが、声も体もいう事を聞いてくれない。

押さえつけられているとは違うびくとも動かない体に恐怖が募る。


『これは好都合。このまま付いて来ていただきましょう。あぁ、その前に・・・』


何とか動く目で目の前の頭の動きを追う。

その頭が少し浮くとフと消え、その後目の前の足が片膝をつき、顔を近づけて小声で話しかけてくる。

こちらを向いた足とこちらを真正面から見ていた頭はやはり同じ人物の物であったらしい。

先ほどと同じ顔が何かつぶやいたと思えば、体の自由だけは取り戻す。

飛び退いて、声を上げようとしてもひゅうぅっと息が漏れるだけだった。

ペチ・・・ペチ・・・

不意に後ろから聞こえた音に振り返れば・・。

同僚だった。

だが、いつもの様な動きではない。

まるで操り人形が動くような不思議な動きだ。

とはいえ、この状況を共有できる存在である。

思わず、手を伸ばしそいつの足にしがみつき。

そいつはバタンと倒れてしまう。

目の前で起きたことに私は何が起こったのか分からなかった。

普通ならこちらを振り向き何か言ってきても良いのに、何もないようにしがみついた足を出そうとしたのだ。


『大丈夫ですか?気を付けなさい。その方も呼ばれたのですから、傷つけて怒られても知りませんよ?』


『すいやせん。先輩。しっかし、久々に人に入って操るってのは難しいもんっすね』


『・・・』


『あ、すみませんでした。よっと』


すうっと彼の体から白い物が出てきて、私の前に現れた人物と話し、また彼の中に消えて行き・・。

また、彼が体を起こし、歩き出す。

ペタン、ペタン、ペタ、ペタン

廊下を見ると前の牢獄から彼の様な人物が二人出てくる。

私の目からも真面目に刑務をこなしている元奴隷の二人だ。

ちなみに目の前の同僚も私よりも良く働く人物で、こうすればもっと楽に多くできると提案していくような人物だ。

・・・真面目・・とは違うか?

それはそうと、牢獄の入り口が開いていた。


『では、彼らに付いて来て下さい。逃げても構いませんが・・・またここに残っている方々と同じ仕事が待っている事は覚えておいてください』


そいつは牢獄の外から声をかけてきた。

言われなくとも、逃げるやここに残るという選択肢は無いつもりだ。

あぁ・・・どこに連れて行かれるのだろう?



~・~・~・~・~・~・~・~



操られている彼らに付いて歩いてどれくらいたっただろうか?

いつもの・・外の洞窟に繋がる道へと曲がり・・。

そのはずだ・・。

だが、今まで曲がっていた方の先には扉は無く、長いくらい道が続いていた。

そこを曲がらず通り過ぎ次の角を左に曲がり、次を真っすぐ行きと・・。

代り映えの無い石造りの廊下を歩いていた。

もう、どこをどう曲がり、何か所真っすぐ進んだか分からなくなっていた。

疲れと眠気が襲うが・・ここまで来て、後ろをついてくるこいつに体を乗っ取られるのは・・。

嫌だ・・。

体がブルッと震え、一気に眠気が去った。

ここまで来たら最後まで。

・・・!!

あれは扉だった。

その前に二人。

鎧を纏ったゴブリンが立っている。

その体に比べればかなり長い・・人でも柄の先を持てば矛先から手が届かないぐらいの二股の変わった槍を抱えていた。

そいつらがこちらを認識したのだろうか?

おもむろに一人が動くと扉を開け・・。

光が入ってきて。

そう思ったら、いつの間にか走り出していた。

前を歩く者を追い抜き、キィキィと甲高い声が聞こえてきたがそれに構わず扉から外へと飛び出す。

そこには緑の草と木々が、その先に整然と並ぶ石造りの家々が見える。

・・・ん?


「あぐっ!」


最初何が起こったのか、分からなかった。

気が付けば、目の前は真っ暗・・ではないな。

かたい何かに押し付けられていた。

頭を動かし、口を動かし口の中に入ってきた硬い物を吐き出し、見渡して、地面に倒され押さえつけられていた。


「おい!こっち手伝ってくれ!」


「どうし・!!おうよ!あ、お前は応援呼んできてくれ!」


「へい!」


甲高い声がそんな事を頭の上で会話して・・。


『まったく、すいません。私の管理が悪かったみたいで』


「お、っと言う事はこいつ、あの?」


『はい、逃走と言うよりは久々の外で舞い上がってしまったのかと思いますので・・穏便に』


「そりゃ・・構わねぇが・・・・」


体を押さえていた物が外され・・ず、何とか上げていた頭を押さえつけられ、首に縄が掛けられ手を後ろ手で縛られて。

そこまでしてからゆっくりと拘束がとかれた。

何とか体を起こすとそこには案内してきた男が立っている。


『少々焦りましたよ?・・すみませんが、しばらくこの縄は解きませんので悪しからず。皆さん、ありがとうございました。そして、すみませんでした。』


その言葉に私は周りを見渡し・・そこには、二股の槍をこちらに向けている鎧を着た亜人たちがいた。

その中の一人がうかがうように目を動かし。


「はぁ・・。一応、このことは上には報告しておく。今後はこういう事が無いよう、気を付けてくれよ?」


ウンザリと言った顔で言い放ち、「解散!」と声を上げ、ついでに片手を上げる。

その言葉に数人ずつに分かれて、槍を担いで歩き出した。

それを呆然と眺めて・・・最初に気が付いた異変に目を向ける。

壁だ。

森の向こうに土の壁が立っており・・・それを上にたどっていけば・・・。

宝石が空を覆ていた。


「ここは外ではないのか・・・?」


『えぇ、ダンジョンの内部ですよ。外に近いのは今まで働いていた洞窟の方です。ただ、あそこは・・あぁっと、あなたたちの方では、なんというんですか?邪気でしたか?が、濃いので通り抜けられず当てられて亡くなられるとか。気が狂ったと言われたり、逆に、もうその邪気の薄い所では生きられないとか・・。あ、言っておきますが、あなた方の働いていた場所はその洞窟内でも薄い場所なんですよ』


・・・・・・。

その言葉に私は声が出せなかった。

目の前が暗くなった気がする。


『と、ここから後の話は後で。皆様と一緒に聞いてください・・なっと』


そいつは私をひょいっと担ぎ上げ、肩に樽のように乗せると走り出したのだった。

・・・・て、はぁ!!!?


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