とある奴隷少女の話 3.
思いのほか怖い子になってしまった・・・。
「あぁ・・なんだ・・・。まずは皆、集まってくれて感謝する」
全員来たことを確認したリーダーはみんなに声をかけ頭を下げました。
それに合わせて、みんながシーーンとなります。
どの顔も暗い顔をしています。
子供はまだ状況が分かってない子がきょとんとした顔で頭を下げるリーダーを見ています。
「皆も知りたいと思っているだろう事を聞いてきた。その話をしたい」
そう言ってから、一つ深呼吸してから彼は周りを見渡して。
「まずは今回の話は口減らしではない事だ。外に出ても、戻ってくるなら受け入れると言ってくれている」
静かですが力強いその言葉に、みんな驚いた声を上げました。
私も、周りも、今回の事はそういう事と受け取っていました。
村でも度々という事ではないですが、そういう事はあったからです。
「それと、だ。ここを出ると決意しても、すぐ出してくれるという事ではないらしい」
その言葉にみんなきょとんとした顔をします。
意味が分からないです。
もう自由にして良いとダンジョンマスター様は言ったと聞いてます。
なのにすぐに出られないのは自由ではないのではないでしょうか?
・・・・頭がこんがらがりそうです・・・。
「あ、あの!それどういう意味なんすか!」
どこからか出てきた声に賛同する声が重なります。
うるさくなりそうでしたが、リーダーが手を叩いて大声で言いました。
「それについては!彼が話してくれるそうだ!」
「え、おぉ。あぁっと、だな。これから話す事はダンジョンマスター様の心配りであると思ってくれ!」
リーダーが扉の方に手を差し出し、それを追って目を扉の方へ向けるとそこには昼間の青年が立っていました。
その隣では使いの方も居ますが、立場は彼に仕えているようで、その後ろに控えていると言った様子です。
急に話を振られて慌てた様子でしたが、咳払いするような格好をしてから声を張り上げました。
それにみんなビクッとしています。
ただすぐに話し出すわけではなくリーダーの横まで人の間をスーッとすり抜けて行きました。
幽霊の人とは違いますが、流れるように進んでいきます。
「あぁっとだな。すぐに出るわけではない理由だったな」
それに頷くリーダー。
周りも固唾をのんで見守ります。
その様子に少しひるんだかに見えた青年ですが、一度深呼吸をして。
「それはこのダンジョンの外は危険であるからだ!ここは色々あるが、・・平和だ!盗賊に襲われることも無く、暮らしも安定している。何かあったとしても、野生の生き物に襲われるという事が起きるぐらいである。だが、外は別だ!守ると言っても、今居る冒険者たちの力では限度がある事も分かると思う。そこでだ!外に出るならば、ある程度は自分自身を守るすべを学ぶ必要がある!だから!すぐには出られないと言う事である!付け加えるなら!出ると決意した者でも!自分自身守れないと判断された者は出ること自体できない事を分かっていてほしい!」
?・・・・あぁ・・そういう事ですね。
背筋を伸ばし緊張した様子で早口で言う彼に周りは呆然としていました。
でも説明を聞いて納得です。
近くの村へのお遣いでも、数人の男の人と行くか、色々村で決まっていました。
お金はいくつかあるポケットに分けて入れたり、靴の中に数枚隠して持っていくことは当たり前でした。
たぶんそういう事なのでしょう!
そうに決まってます!
・・・えっと、私でも、戦う事出来るでしょうか?
~・~・~・~・~・~・~・~
「セルティ―!お待たせ!」
「セルティア。今日はどうします?」
その声に私は振り返りました。
そこには同じ場所で文字や数字、あと戦い方を教わった友達がそれぞれ得意な武器を持って立っていました。
確か・・学び舎を出てから4年の付き合いです。
「そうですねぇ。どうしましょうか?」
狩りをするとは決めていましたが、どこで何を狩るかは決めてませんでした。
「だったらさぁ!ダンジョン行こうよ!今日は確かシカの化け物が出るって聞いたし!」
「ソフィーリア。落ち着きなさい。行くなら誰かもう一人声かけないといけませんよ?」
「そうですね。あそこは最低でも4人で行くことを推奨してますから」
「でも、スイショウなんでしょ!えっと、だから、三人でも大丈夫!」
そう胸を張って言うソフィー。
分かっていっているのか少し不安な気もしますが・・その通りです。
でも忘れてもらっては困ります。
「その前に、私たちの武器で倒せるはずないじゃないですか」
そう言って、手にしている武器に目を向けました。
彼女たちとは違いまだまともな物を持ってない私の武器は。
「大丈夫!セルティーの麺棒は最強だもん!」
「そうです。セルティアのスピードと威力は、先生方もお墨付きをくれていたじゃないですか」
そう、私の武器は料理道具なのです。
麺棒にフライパン、刃物は包丁一式ぐらいです。
それぐらいしかまだ買えないので仕方ないですが・・。
そう言うソフィーは銛と網と縄を、ミーオは弓と矢で・・。
「ほら!行こう!狩れるかどうか分からないし!ね!」
こうなるとソフィーは頑として意見を曲げたことはありません。
仕方ないですねっとミーオと笑いながらソフィーの後を追うのでした。




