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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
閑話 とある罪人たちの話
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とある冒険者の話 3.

「だぁー!もう。もうテメェの中じゃだいたい決まってんだろ。何で呼んだ?」


「あはは、そりゃ、不自然な箇所が無いか確かめるためさ。あ、本題に入る前に・・・一人紹介するよ」


頭をガシガシ掻きながらザラックを睨む。

が、サラッと受け流され、その上で横・・扉の方に手のひらを・・・。

扉の方を見るが人が現れる気配がない。


「どこ見てるのさ。こっち、こっち」


その声に俺はザラックの方を見。


『お初にお目にかかります。ザラック様のお世話及び書記をさせていただいております。リアーナと申します。お見知りおきを』


ザラックの隣には頭を下げている女が立っていた。

・・・


「「どこから現れた(の)!」」


思わず突っ込んだ。

それにエリカの声が重なり、そちらを見て。


「最初からいたが?」


ガストンが不思議そうに答えた。

はい?

最初から?


「あ、ガストンは気付いてたんだ」


「お茶を入れてくれてたしな」


・・・・サイドテーブルに置かれた三つのカップを見る。

そこには並々と注がれたお茶があった。

そういや、来た時には無かった代物だった・・。


「でもさ!こんな子がいれば真っ先に聞くよ!?」


「姿は消していたからな。リアーナさんだったか?ゴーストだな?」


・・・はぁ・・?

はい?


『はい、その通りです。ガストン様。信じられないと言うならこういうのでどうでしょう?』


スーッと彼女の体が透け、半透明な存在に・・・。


「・・・・・・」


「・・・ぁあ、そう言えば・・このダンジョン、ゴーストとかも居たんだったね・・普通に歩いてるから忘れてた・・」


そうだったな・・・


「で、納得した?」


納得はしないがカクカクと頭を縦に揺らす。

今前から見てるこいつらには間抜け面をさらしているのは分かるが・・・。

状況に追いつけない。

エリカの言った「普通に」と言うのは人のと認識できる形で過ごしていると言う意味だろう。

確かダンジョンマスターがこのダンジョンで過ごす場合はそうするようゴーストたちに強制したと言う話だったか。

だが、彼女は姿を消していたという事で・・・。


『他の人たちに迷惑にならない程度の常識を持って行動すると言う命令ですから。ただし仕事上、仕方ない場合はその範囲ではないとなっております』


「今回は私が皆に紹介するまでは、姿を消しておいてもらったのだ。こういうサプライズも楽しいではないか!」


「楽しくない!」「心臓に悪いわ!」


「ま、まぁ、そうか・・それは・・すまなかった」


「まぁ、良い。もう良い。もうこんなことするな。そして、ここでこの話は終わりだ!良いな!」


ザラックがコクコクと頷くのを見てリアーナに向き合う。


「あぁっと・・だ。これから・・よろしくな」


『はい。トモ様』


・・・俺は固まり、ザラックはきょとんとし・・後ろからエリカは爆笑し、たぶんガストンは・・怖い顔・・真顔している事だろう。

そういや、ここに来るまで名前を呼ばれたことが無いことに今頃ながら思い出す。

まぁ、大概それで何とかなっているため、気にしていなかった。


「あぁ・・まずは・・自己紹介だったな。俺は・・」


俺は困った顔をし、頭を掻いて自己紹介をするのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



さて、ここで改めて俺自身の事を。

俺の名前はルトヴァー・サヴィル。

今は無いサヴィル王国の第四皇子だ。

海と森に囲まれた平平凡凡な王国であった。

野生の猛獣が時々現れたり、隣国と少々もめてはいたが・・それなりに平和だったはずだ。

ちなみに兄弟姉妹は8人居たりする。

兄が3人、姉が1人、弟2人に妹2人。

そんでもって王家に必要なのは上3人の兄たちと姉と妹たちだけで在り。

だから、弟二人は当時の貴族に貰い先が決まっていて・・。

だが、何かあれば、まだ王権が回ってくる可能性がある俺は宙ぶらりんの存在であった。


「って、何させる」


座っていると自分でも感じる目をザラックに向けた。

それをきょとんとした顔で受け止めたこいつは笑顔になり。


「そりゃ、君の話を作るんだから、まずは君がどう思ったとか知らないと」


周りにねぇと問いかけ、それにその場にいた三人が首を縦に振った。

いや、それはそうなんだが・・・。

全員の前で・・それも奥では真剣なまなざしで羊皮紙だろうか・・・何かに木炭で書きつけているのだ。

言われて、お願いされて仕方がないとはいえ・・・恥ずかしい。


『あ、大丈夫です。昨日だけでもルトヴァー様の性格は大体掴んでおりますから』


「は?」


『口や態度は悪いがお人好し。頼まれれば何でもやるタイプですよね。断るのがお嫌いのようです』


「あ、よくわかってる!」


「おぉ、一日で把握するとはさすがだ!」


・・・お・・おい・・そこまで


「分かりやすいからな」


ポンと肩を叩かれたと思えばガストンがポツリと・・・。

そうかよ・・・悪かったなぁ。

俺はガクッと肩を落とすのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



『皆さま、お疲れ様です。お食事の用意をしてまいりますので、少々お待ちください』


頭を下げ、部屋を人のように出ていくリアーナ。

それを見送り、周りを見渡す。

エリカはザラックの寝床に転がり寝心地を確かめ、ガストンは椅子に座り瞑想中だ。

ザラックは商売道具である竪琴をはじいていた。

一日に数回は手習い程度の曲を弾くのは知っているので、みんな気にしていない。

で、俺は手持無沙汰なので、机の上にあるリアーナの書き物に目を通すことにした。

ざっと見て、読めない字ではない。

と言うより、スキルのおかげで読めると言うべきか。

まぁ、そんな事よりどんなことを書いているのか・・・・なっと。

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