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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
3章 疲労困憊!?~面倒事いらっしゃーーい!~【仮】
64/117

51.

ちょっと長めになりました。


困惑気味の彼女たちの回答は「どうか、どうか、ここで大人しくしていてください」と頭を下げるだけだった。

その間にも映像の中ではひどいことが行われていた。

映像の中では前線で戦っている者たちが一人また一人と倒されているし。

それとは別の場所でこっそり乗り込んできた連中が近くに居た逃げ遅れた人たちをさらわれていた。

それに気が付いた前線の人たちは助けに行こうとして、斬られると言った事も起こっている。

ただ、映画やドラマまたはニュースの衝撃映像と言った物を見ている感覚である。

共感はする。

ハラハラや辛い気持ちになる。

でもどこか恐怖が抜けている感じだ。

もう一言言えば多分あの場所に居ても似たような感覚を持って周りを見て居そうで自分が怖い。

・・・今はそんな事を考えている場合ではないだろう。

すぐに全体的な映像から前線の映像へと切り替える。

気になっていた前線を守っている人たちの動きに目を凝らした。

何というか連携と言うのが取れていない。

これ!と、狙いを付けて一人一人別の人を狙っていたのだ。

所々で味方同士で体がぶつかったり味方の攻撃を受けてしまったりしているのが見て取れる。

それとは対照的に襲ってきた連中は無秩序に見えながらも集団で戦っていた。

そうこうしているうちに画面の中に幽霊系の人たちがちらほら見え始めた頃。

敵が潔くと言っていいほど素早く逃げに入るのが見えた。

撤退行動に映ったのだろう。

だが、ここで逃がすのは何とか食い止めたい。


「コア。海で使える罠ってある?」


『罠またはそれに類似する物はありません。今から設置はできません。ただ【天変地異】であれば今からでも間に合います』


・・・はい?

天変地異・・・?


「あぁっと説明プリーズ?」


『マスター。【天変地異】とはダンジョンの天候設定の一部です。悪天候の総称です。詳しく言え』


「あ!なら、あの大きな船を座礁させることはできる?」


長々と説明に入りそうなコアに慌てて口を挟んだ。

大きな船と言うのは帆船に数十本のオールが出ているような船である。

それが3隻、ダンジョンに腹を見せて行く手を拒むように止まっていた。

そして、そこへいくつものボートが向かって行っているのだ。

なぜ追わないのかと砂浜の方を見るとそこには徹底的に壊された船の残骸があるだけであった。

つまりは足が無いのだ。


『可能です。では、さっそく【暴風】を発動します』


「え?ぼうふう?・・・あなたたち!」


「・・ふあい!何でしょうか!」


「浜に居る人達に一旦、二階に退避するよう伝えて!大至急、何も考えず二階に上がるよう!すぐに!」


ただ、なんとなくだった。

そう、なんとなくなのだ。

何か頭の中で警鐘が鳴った気がした、ただそれだけであった。

周りのメイドの一人の袖をつかみ、まくしたてる。

その慌てぶりに驚いた別のメイドが近くの管に何か叫び。

その管から先ほどよりも激しくなる鐘の音がして張り上げる声が聞こえた。

その間にも映像では徐々に海に白波が立っていく。

その波に翻弄され進めなくなっているボートに幽霊系の人たちは近づき、さらわれた人たちを抱え飛び上がった。

すぐに海岸までたどり着き・・・抱えた人を下ろしまた救出に飛び立つ。

救出を邪魔しようとした連中は他の幽霊が海へと突き落とす。

それは幽霊だけではなく水中に特化した人たちも好機だと見たのだろう。

ボートをひっくり返し、さらわれた人たちを抱え一旦船から引き離し海の上に。

息継ぎをさせ、落ち着かせてから水中の入口へと一目散に逃げていく。

そこが安全な事を知っているからなのは分かるが・・。

なんかおぼれさせているようにしか見えるのだが。

まぁ、そこは考えの違いなのかもしれない。

そうしているうちに風も強く、波はどんどん高くなり、大きな船は大きく傾きだした。

小舟は一歩も進むことのできないどころか岸へと押し戻され始めている。

ちなみに小舟に乗っていた人たちは救出完了し、大きな船の中にとらわれている人たちは透明化した幽霊系の人たちが見守っていた。

今開放して連れだすよりも今の状況をやり過ごしてからと考えたのだろう。

何かあれば助けれるように力をためているようだ。

浜の方は高い波にさらされ、強風によって物も人も転がっていた。

まあ、こちら側の人たちは二階の奥で壁や家の陰などに寄り添うように団子になっている。

階段には数人ずつ兵士が階段の段差に腰を据え、大きな盾を構え、盾と盾の隙間から長槍を上下することで敵が昇ってくるのを阻止している。

大きな船の中で、慌てた連中は戻ってくる奴を見捨てて、オールを漕いで進もうとするが進むどころかこちらへと近づいてきて。

次の瞬間には船同士でぶつかったりそのまま岩礁に乗り上げて。


「おい!何をする気だ!」


慌てた先生が飛び込んできたのはそんな時だった。

する気も、何も、もうすべてが終わってたりするんだけど・・・・。

どう答えていいか分からず、頭を掻きつつ、画面へと視線を戻すのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



さて、これをどうさばくと角が立たないか・・・。

そんな事を考えながら、私は目の前に居並ぶ後ろ手に縛られた者たちとその背後に殺気立って囲っている人々を見比べていた。

あの後、先生に軽く暴風を吹かしたと説明し、状況を先生に見せ。

一瞬何を言われたか分からなかったらしくポカンと口を開けていた先生だったが、慌てて伝達管で兵士に、できるだけ生きて捕らえるよう指示。

それによって多少、連中の中には死傷者は出たものの多くの者たちがこうして縛られて並んでいた。

その連中の反応はかなり違っている。

かなりの人数はみすぼらしい布をまとっただけの姿をしており目が死んでいた。

確か捕まった人たちはこの人たちと一緒の所に捕まっていたはずだ。

それよりは少ないがかなり多い人たちはそれよりはいい服装をしているがこちらも疲れ切っている。

それよりもぐっと数が少ないが皮の鎧や武器を持った連中はこちらを睨みつつ、飛んでくる声に顔をゆがめていた。

最後はただ偉そうな人はほんの一握りだ。

そいつらは元気良く、失敗した仲間を罵り、周りの人たちを罵倒し、武器を持った者たちを責め立てさっさと助けろと叫んでいる。

それがどれだけ火に油を注いでいるのか分かっていないらしい。


「うるさい。黙れ」


そう大きくない声で言った後、手に持った杖で地面を小突く。

シャランとなるのと同時に上下に地面が揺れた。

タイミングよくタマか、コアか、はたまたエアリアかが地面を揺らしたのだ。

打ち合わせ通りに。

それに驚いた人々や連中はこちらを見る。

そこに居る私の姿を見てどう思うのだろうか。

捕まった連中は大勢は怯え、数人は拝み始め、幾人かは目を開いたまま失神したようで倒れている。

中には今にも飛びかからんと言った目をした者もいたがほとんどは恐怖を感じたようだ。

その周りの人たちは一瞬怯えが見えたのだが、隣にいる先生を見て目を丸くしている人が多い。

まぁ、彼らの反応を見るのはこれくらいで良いだろう。

さて、ここからが本番だ。

どう話せばいいんだろうか・・・。

それが問題なのだ・・・。

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