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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
3章 疲労困憊!?~面倒事いらっしゃーーい!~【仮】
63/117

50.

その後はとんとん拍子に事が進み・・・。

会議参加者に構想段階の案を図解入り皮紙で提示し、同意を得た後、洞窟エリアの処置と新しいエリアを構築、つまり4階から7階までを作り出す運びとなっていた。

ただ、元々の階層と同じだと言って変えたいところはいくつかあるらしく、変更点を協議してくると先生は出て行って・・・。

私は昼を食べたら何もすることが無くなった。

いや、することならあるだろうが、正直やりたくない。

そういう事で・・。


『お嬢様、お時間よろしいでしょうか?』


まずはこの城の探検に行こうとしたとたん、肩に手を置かれる。

振り返ればそれはマリアさんだ。

・・・・なんだろう。

なんか寒気が・・・。


「な、なに?マリアさん」


『いえ、少々しておかないといけない事がありますので』


いつの間にか肩にある手とは反対の手に呼び鈴らしき振って鳴らす鈴が握られていた。

チリンとそう大きくはないが響く音がしたと思えば、扉がカチャッと開く。

そこから入ってきた人たちを見て、私は今、地獄の入り口に立っている事を知ったのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



『お疲れ様でした』


そう背中から声をかけるマリアさんを振り返り睨み付け・・ようとしたがあきらめてため息をついた。

本当に疲れたのだ。

明るかった窓の外はもう日が落ちて暗くなっている。

それだけ私は棒立ちになっていたのだと思うとホント頑張ったと自分をほめてやりたい。

そう考えつつ扉の方に目を向ける。

そこには天井に届くほど巻物が積みあがっていた。

巻物と言っても字が書かれている物ではない。

反物たんものと呼ばれる物のことだ。

絹に麻、綿、何かの動物の毛と言った自然物から作った布の束がそこに山となっている。

中にはどうやって作ったと言いたい見事な絵が織り込まれた物からレースまで。

これを使って何をしてたかと言えば・・服を作っていたのだ。

明後日にするダンジョンの復活祭と言うべき式典で私を神聖視させるための服を作り上げていたのだ。

その過程を思い出す。

まず最初に入ってきたのはどこから出してきた!と叫びたいほどのいくつかの服の数々だ。

時代を無視した服をとっかえひっかえ着せ替えられる。

布を巻いただけの服装から中世ヨーロッパのドレス、十二単、古代中国の貴婦人の服装。

ゴシックファッションから修道服などなど。

その中からいくつかの服を基準にして服をデザインしていくのだ。

そして数人いるデザイナーを中心に数グループに分かれて作業に取り掛かる。

それぞれで一つのデザインを決めると、その服のデザインから合いそうな服地をいくつか選んできて私に被せてくる。

その色合いや服地の感じから基本となる服地を選び出すとそこからは怒涛の如くの作業だ。

見ている前で吹っ飛ぶぐらいの勢いで布は切られ大まかに縫い合わされる。

これは違うとなると魔法で時間の逆回し。

それがその場にいる数グループで繰り返され満足いく服ができるとそれを私に着せて動くように指示。

そしてあーでもない、こーでもないと唸りつつまた細かな修正をし、それが満足する頃には今の時間となったのだ。

怖いことに今日仕上がったのは基礎となる服の仮縫いまで。

明日の朝までに彼らはこの服を仕上げ、装飾を考えるらしい。

つまり明日も一日中拘束されると言うわけで・・・それを考えるとベッドから出たくなくなるのだった。



~・~・~・~・~・~・~・~



「お嬢様!お似合いですわ!」


「かわいらしいさが全面に押し出されて!これで落ちない奥様は居ないはず!」


『でも、やはりもう少し派手な色を』


『いいえ!これぐらい落ち着いた方が良いわよ』


「そうそう!あっちのああいうのも良かったよね」


「あたしたちはこれでいくって決めたじゃんか!」


朝っぱらから目の前で繰り返される針子の話にうんざりしながらも口を出すことは控える。

なんせ、彼女らのテンションが恐ろしくハイなのだ。

目が血走っていると言っても良い。

一日徹夜しただけだと思うんだが・・・なんだか声をかけづらい雰囲気だ。

それが今までで4グループ・・確かあと3グループはあった気がする。

ちなみに今回の服装のテーマはお花の妖精と付けれるだろう。

ノースリの無地のワンピースに腰から下と肩回りに色とりどりの薄い透けるふわふわの布をこれでもかと盛った服だ。

どこの幼いプリンセスだとか何かの発表会かとか言いたくなるような服・・だと思う。

正直十分派手である。


カンカンカンカンカン!


そうこうしているうちに脱がされてすぐ次の人が来る前に遠くで人の怒号と言うか叫び声が聞こえてきた。

何事かと見渡すと先ほどまで怖いが付く笑顔でどこをどう直すか相談していた針子さんたちが真顔で一点を見つめていた。

そこにはこの部屋の唯一の出入り口・・ではなく扉の近くの角にある天井からのびる管の方だ。

何が一番近いかと言えばあれだろう。

船に付いてる連絡用の管だ。


ワァァアァァア!


「海より賊が襲来!もう一度繰り返す!海より賊が襲来!くそったれ!至急増援を求む!」


その言葉に周りの人々は動き出した。

は?っと思っているうちに幽霊系の人たちはスーッと姿を消す。

その上、普通の人たちは一度私にお辞儀をしてから急いだ様子で部屋を出ていった。


「お嬢様はこちらに」


残った数人はまだ何事が起ったのか分からない私を囲うとそのままどこかへと連れて行く。

有無も言わさずと言う風だ。

私は慌ててコアに触れ、画面を起動、小声でコアに命令する。


「コア、外の様子を見せて」


『承知しました』


そこに映し出されたのは上陸した敵らしき人物たちと様々な種族が入り混じったこちらとの戦いだった。

それはまだ入り江に入った所ぐらいで留めている。

その後方ではまだ機能している入口に向かって人々が殺到していた。

二階部分に居た人も我先に降りようとして危険な状態である。

その沖にはそれなりに大きな船が3隻いるのが確認できた。


「彼らはなぜ来てるの?」


「ええと?おじょうさ!何を見ているのですか!」


「このような物見てはなりません!」


「そうです!このような汚らわしい物見てはなりません!」


パッと画面を彼女たちに見えるようにすると慌てて私の目を隠しまくしたてる。

と言われてもなぁ・・。


「私はこのダンジョンの主なのだろ?だったらこのダンジョンについては何であっても知りたいんだ。知らないといけないはずだ。だから教えてくれないかな?彼らは何で来たの?」


さてさて、どんな回答が返ってくるのだろうか・・・。

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