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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
3章 疲労困憊!?~面倒事いらっしゃーーい!~【仮】
62/117

49.

「・・・あぁっと、今ここでそんな話をしても始まらないだろ。まずは、何はともあれ、ここのダンジョンの立て直しが最優先ではないのかな?」


「そ、その通りですな!しかし・・我らの国とは・・・考えもしませんでしたな。それに、マスター様は何か、このダンジョンの構造についても考えがあるご様子。それも参考にお聞かせくださいませんかな?」


やはりと言えばいいのだろうか。

一番初めに回復したのは亀のご老体だった。

だが、今さっきとは違う視線のような気がする。

まぁ、気がするだけだろう。


「いや、この地はそなたらが暮らしてきた地だ。立場上、そなたらの上にいるとはいえ、まだ何も分からぬこのような小娘がとやかく言うよりも、まずはそなたらの意見を聞きたいと思っているのだが・・なぁ・・しかし、そうだな。そなたらも唐突に意見を求められても困るのも仕方ないな。・・・ならばだ。この件はいったん持ち帰ってもらい、後日そなたらだけでここをどうしたいのか、話し合いをしてもらうのいうのはどうだろうか?」


と、話をそらしてみる。

なんせ、昨日の今日で考えた構想だ。

穴なんてどこにでも空いているような物を披露して恥をまた掻くのは嫌。

そう思い、この話はここで切るように仕向ける。

その言葉に、ギョッとしたような顔をしてこちらを見る階層主たちを余裕のあるような態度で見返す。

ご老体は目を細め、まるで孫を見るような眼のように見えるが、それも深く考えてるからかもしれない。


「・・・それはありがたい申し出。お言葉に甘えてここはしばし時間を頂きましょう。それにしても、我々は良き主様に巡り合えて幸せ者です。なぁ、皆の衆」


亀のご老人が少し頷くように頭を動かすと、それに頷いて答えたのは龍のお兄さんだった。

どうやらここでの一番は彼だったのかもしれない。

ちなみに彼は16階居住区の最下層、汽水湖の階層主である。

何というか顔は美形だが最初見たときリュウグウノツカイのようだと思った事は内緒だ。

ただどうしてそう思ったのか、と言うかリュウグウノツカイとはどんなモノだったのか思い出せなかったりする。

まぁ、今は関係ないけど。

その龍のお兄さんの言葉に異論ないのか全ての者が頷いた。

まぁ、渋い顔の人も居たけどさ。

と言うわけで、第一回の話し合い・・私の演説?はこれでお開きになるのでした。



~・~・~・~・~・~・~・~



『お疲れ様です』


なんか昨日も同じことがあった気がする。

昨日使っていた会議場でまた突っ伏していた。

正直、人前で喋るのは嫌いだ。

そんな事を考えているとまたマリアさんがお茶を出してきたので顔を上げ。


「で、さっきの続きだが・・改装案あるのか?」


その声に私は声のした方へ眼を向ける。

そこには先生をはじめとして、ジルバさん、ザラップさん、タマにエアリアが座っていた。

ここで私が何をしたってたぶん裏切らない人たちだ。


「まぁ、あるにはあるけどね・・」


コアに頼み先ほどの立体映像を映し出す。

それを確認してから私は考えてあった案を披露した。


「まずは、1階から3階は入口から少しずつ濃度調節で対応して、ある程度強い奴を4階に引き入れるでしょ。これを2週間ぐらいしてからそれなり強い奴は引き入れたら4階から12階を切り離して、同じ構造の4階から6階までを新規で作って3階と13階に直結。これでダンジョン維持には問題・・・ないんだよね」


前に暇なときに読んだダンジョンの手引書に書かれていたのだが、洞窟などのダンジョンは最奥までは必ずたどり着けるようにつなげる事、一本道では決して避けきれない死亡確定の罠とか、解除策がない罠などは設置しないことと言う規定があるらしくそういう事をすると不具合が出るそうな。


「ん、この構造だったら無いよ。そこらへんは前の人も考えて作ってるみたいだしね」


「じゃ、次に、4階に新しい階層を作って・・この新しい4階に外からの冒険者のための村か町を作る。あと外した階層分の同じ構造の二回りぐらい小さい階層を用意して対応する階層と一方的にリンクさせる。それで12階層に当たる新規の階層を4階にリンクさせる。これで狩りの心配は無くなるっと。あとの階層は望むように変更してもらえば良いっと・・・こんなところかな。質問ある?」


つたない説明にコアが素早く対応して映像を動かしていく。

それを見終わった彼らは考え込むかポカンと見上げていた。

マリアさんは職務にいそしみ、タマはうんうんと嬉しそうに頷いているが。


「あ、それじゃ、おいらから。なんでこことここを繋いでしまわないんすか?」


ジルバさんの質問はそれは階層を分けず元々の階層を繋がないのかと言う質問だった。

まぁ、それができれば楽なんだが。


「まぁ、あれだね。絶滅防止措置だね。その動物を狩り過ぎるとどこ探してもいない状態になるってことは分かるかな?」


「・・・モンスターいなくなるんすか?でも、同じ動物を同じような魔素濃度の所に連れて行けば・・」


「今の濃度の所にポンと連れて行ってもまず狂い死にするのが落ちだし、それに全滅してバランスが崩れると別の問題が出てくる事もあるしね。それよりもそのままの環境で繁殖してくれた方が良いでしょ」


「・・・・あぁ・・うぅ・・あぁ、ん、うん・・・分かったっす・・・」


どう答えるか考えてたら、タマが代わりに応えてくれる。

タマの説明を聞いて、あっと感心してしまった。

正直、環境変化まで考えていったわけではないのだ。

最初は頭数制限で良いかと思ったが、それでは密猟を警戒しないといけない。

監視を付けるより最初から決まった数だけのエリアを作るほうが楽だと思っただけなのだから。

ここら辺の話は言わぬが花という物だろう。


『お嬢様。私からよろしいでしょうか?』


「ん?何?」


『この4階にはどのような種族を呼び込むのでしょうか?』


ザラップの警戒した声色で聞いてくる質問にその場ピリッとした気がする。

その場にいる人たちが聞き耳を立てているようだ。


「・・・最終的には色々呼ぶことになるんじゃないかな。もちろん人も、ね」


『人もですか・・』


「それは安全なのか?」


「それは今は何とも言えないよ。まぁ、最初は洞窟エリアで行き倒れている人たちの避難所ぐらいの機能で、基本は狩人たちの拠点として作るだけだし。それにその下の階層は侵入を防ぐ砦なんでしょ?あとは接続を切り替えて一旦狩場と6階を交互に行き来させるなんて方法で消耗させるでもいいんじゃない?」


警戒している先生とザラップに適当に提案してみる。

それを聞いた先生たちはフムっと言う感じだ。


「なんで、その案、提示しなかった?」


呆れたというような先生の声に私は首をかしげたのだった。


「えっと、言わなかった?委縮して案が出てこないことを警戒して伏せてたんだけど・・」


「・・・まぁ、なぁ。だが大まかな部分が決まっているならそれに越した事は無い・・よな」


『えぇ、むしろこの案を下地に考えさせた方がよろしいかと私は考えますが』


「・・・・・だって案出して、・・・嫌われたらいやだもん・・・・」


全員がなぜっと言う感じで見てくる。

その視線から目をそらし、もじもじしながら言うとみんな盛大にため息をつくのだった。

私、そんなに変なこと言った?!

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