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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
3章 疲労困憊!?~面倒事いらっしゃーーい!~【仮】
61/117

48.

「皆、昨日の今日、それもこのような時に良く集まってくれた」


日が昇ってそんなに経たない時間。

このダンジョンの主要メンバーを呼ぶよう頼んでからそんなに経たっていない。

昨日使っていた場所とは別の煌びやかな会議場。

これも円卓と言うのだろうか。

真ん中に人一人立てるような空間とそれを取り囲むように二つの机が囲っている。

スタンダードなドーナッツの真っ二つにしたような机と言ったら分かりやすいかもしれない。

そこに座るのは騎士団長とそれぞれの階層主と紹介された面々だ。

それぞれの名前を覚えてないのでコアに頼んで画面を通して名前と役職が表示してたりする。


「呼ばれれば、いつ何時でもおそばに参りましょう。さて、本日はどのよぉな御用でしょうかな?」


挨拶に頭を下げた彼らは顔を上げ座るとその中の一人に目を向けた。

その人、亀の獣人がご老体特有のゆったりとしたでも聞き取りやすい声で単刀直入に切り出してくる。

彼は15階の主でこのダンジョンの中心街の階層を任されている人である。

先生、ザラップよりもこのダンジョンの状況を一番知っている人物だったりするのだ。

このダンジョンの経済を牛耳っていると言っても過言でないだろう。

そしてこのダンジョンの商人のまとめ役でもある。

つまりこの人に嫌われると一番厄介だという事と言うわけだ。


「いや、なに。このダンジョンの今後ついて話をしたいと思ってね」


「今後についてかぁ?そりゃぁ、どういうこった?」


「あんた!静かにしな」


それに反応したのはドワーフとノームの夫婦だ。

彼らは12から14階の主食エリアの階層主である。

このダンジョン内の生産を取り仕切っている人物たちでもある。


「このダンジョンについては昨日ここの二人にさわり程度だが話は聞いた。そこでだ。ここを作り替えるか、元通りにするか、まずはまとめ役であるそなたたちに話を聞こうと思ったのだ。あ、それはそうとまずはお知らせだな。13階以下の階層については魔素の増減調整は済ました。これでここの階から13階までは魔素が増えることはないぞ」


話をする都度に数人の顔が変化する。

分かりやすいと言うか顔に出るタイプのようだ。

ドワーフたちの話に応える私の話を険しい顔で聞き、怪訝な顔をした後最後にはあんぐりと口を開けるように驚くのだ。

顔に出なかったのは亀の爺様と蛇のような尻尾を持つ龍のお兄さん。

巨人のお姉さんぐらいか。

ん?

あ、反応が遅かっただけのようだ。

巨人のお姉さんは「は?」と言った感じに見える。


「ちなみに12階より上の階層はどうするつもりでしょうかなぁ?」


「そこらをそなたらの話を聞き決めようかと思っているのだがなぁ」


「我々を頼ってくださることは、まこと、うれしいことではあります。が、まずはマスター様の考えをお聞きしたいのですよ」


ほぉほぉほぉと笑いつつ亀の爺様は細い目をさらに細くした。

試されているようだ。


「うむ、拙い案で良ければ披露しよう。コア、地図を」


その声に私の前、机の真ん中の空間に円柱の立体映像が現れる。

商業ビルや立体駐車場の案内図のような物と言えばいいだろう。

それぞれの階ごとに階層番号が振られたそれは安全圏である13から下は緑色、上はピンクからどす黒い赤色に徐々に変わっていき、最後の一階が真っ黒と言った色合いをしていた。


「まずは案一は元通りにする。案二はこのまま悪化しないように魔素を調整するという物だが・・これは反対が多いのだろう?ならばだ。両方残すことを前提に考えることにした」


最初に出た円柱が奥にもう一つと手前手に色が全て緑色になった円柱が一つ現れる。

私から見たら斜めに重なるように配置されたそれは、たぶん彼らから見たら真横に見えている事だろう。

その円柱は私の言葉が終わると砕けるように消えて行った。


「そ、そうですなぁ。その通りですなぁ。それで?どのように残すのですかな?」


「まぁ、ここからはコストをどれだけ掛けるかによるのだがな」


言葉を切るとコアが気を聞かせてくれたのか最初の円柱がこちらに動きその奥に待った同じ物が現れる。


「まずは一番コストのかからない方法だが、今ある階層を半々にする方法だ」


それに合わせて、半分はそのままの色、もう半分は緑色になる円柱が出来上がる。


「次にコスト面や労力から見たらそう変わらない方法を二つ。一つはそっくりそのまま今の階層を維持して同じ大きさ同じ地形の階層作って居住区として作る方法。これは居住区やらを一から立て直す必要がある。もう一つの方法は逆に今居るモンスターたちを新しい作った階層に移して今ある階層を元通りにする方法だ。この場合はモンスターの移動方法や放置していた土地を元通りにすると言ったことが大変だろうがな」


そう、話を区切って見渡した。

皆、真剣な顔でフムっと言った感じに考え込んでいる。

ガヤガヤと隣の人と話し合っているようだが、聞き取りにくく分からなかった。

その中でコツンコツンとなる。

音の方を見るとどうやら亀の爺様がテーブルをノックしたようである。

その音が鳴ると皆がピタリと黙り込んだ。

それを見計らってか、彼は口を開いた。


「なるほど。お話はよぉ分かりました。ちなみにですがなぁ。マスター様の理想をお聞かせくださいませんかなぁ?」


「理想?」


「そぉ理想です。あなた様がこのダンジョンをどうしたいかお聞かせ願えませんか?」


言われてかなり考え込む。

元々こっちのダンジョンはついでなのだ。

大量のDPを獲得することを主目的に手を出してしまっただけなのだから。

とはいえ、お前たちの好きにしろと言うのも謀反の元である・・はずだ。

理想・・理想か・・・・・

森の方とは別の、このダンジョンでできる理想・・・。


「うん・・・外交はそのまま。できれば自給自足。とはいえ、乱獲すればモンスターも絶滅してしまうし、ある程度は保護する場所を作って、狩りできる場所を別に用意。ついでにそれを売りに外からの訪問者を増やす。訪問者相手に外貨獲得で外国にこのダンジョンを認めさせ、国樹立!目指せ万年国!ってのはどう?」


穴だらけな計画とも言えない理想を最後には勢いよく拳を突き上げながら宣言する。

これにはここに居るみんながポカンと私を見つめていた。

あの爺様でさえ小さい目を丸くしてこちらを見ているのだ。

・・・これはちぃと恥ずかしい・・・・。

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