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ふと出てくる怖くないホラー降臨!
想像して怖がってくれるといいなぁ!
まぁ、有名和製ホラーがそのまま出てきてる気もするけどね!
こっちは文章力が無いから怖くないけどね!
「もぉ、みんなひどいんだから・・」
「まぁ、今回はあんたが悪いっすよ」
タマをボコった翌日。
そんな会話を背中で聞きながら、私は先生のダンジョンに繋がる転送門の前に立った。
これから何をするか。
そんなの決まっている。
まずは先生のダンジョンに行くのだ。
これで支配下にある広域ダンジョンは二つになるのだ、たぶん。
ちなみに地下ダンジョンは森ダンジョンの派生という括りらしくダンジョンコア一つで管理できるらしい。
もう一言言えば、地下ダンジョンにダンジョンコアを付けるとしても、端末としての機能しかないのだそうだ。
まぁ、そんな事今は関係ない。
ただただワクワクした気持ちでそこに立っていた。
たぶんあれだ。
初めての遠足前とか待ち望んでいた何かを前にしたワクワク感だ。
では、なんで今すぐに突撃しないのか?
それは先生たちがあちらの有力者たちに声をかけて回っているからである。
反発を抑えるよう根回しは大事である。
という事で、暇な時間を持て余していた。
ボーっと転送門を眺め、ふと転送門と転移門の違いは何かと考える。
確か・・・あれだ、あれ・・。
転送門と転移門の違いは組み込み式か設置式かの違いだったはずだ。
原理もちょっと違うようなことを書いていた気がするが、思い出せない。
まぁ、転送と付く物は魔法陣の陣地に入ると飛ばされる物を差す。
そして、転移と付く物はダンジョンを作る際、扉、出入り口などに組み込む物を差すらしい。
さらに移送と言うのもあって、一か所と複数の場所を繋ぐ物を差すらしい。
そんでもって移送には組み込み式も設置式もあるようだった。
さらに言えば、それぞれに門と陣と言う分類わけがされている。
どちらからでも行き来ができる物が門で、一方的に飛ばされる物が陣なのだそうだ。
さらにその中でいくつか別れていて。
「待たせたな」
目の前の転送門が光り、一瞬スモークがかかるとそこに先生が立っていた。
その後ろにはマリアさんも立っている。
下準備は終わったらしい。
見上げると先生はうっと言っていったん下がった。
その脇をすり抜けマリアさんはまず転送門を出る。
出入り口のどちらかの転送門の上に誰かが居ると他の人が飛び込んでも別の場所に飛ぶことができないのだ。
ちなみに同時に飛び込んだり、前の人が飛び込んでから一分以内で飛び込むならば人数制限があるが一度で数名は飛べるそうだ。
それじゃいこ!!?!
「待て、待て。行くのはここに居るだけなんだな?」
「そうだよ」
「では、よっと。行くか」
先生が出たのを確認して転送門に飛び込もうとする私の襟首をつかみ先生は周りを見渡す。
先生の質問に答えたのはタマで、たぶん他の人は頷いたのだろう。
もがく私を先生は抱え上げると疲れ切ったような声で声をかけ転送門に飛び込み。
霧で目の前が塞がったと思えばそこは今までいた部屋ではなかった。
倉庫いや車庫のような場所だ。
だだっ広い・・わけでも無いが馬車が二台置けるぐらいの広さがある場所で振り返れば壁とタマたちがいた。
二頭の骨の馬が繋がれた一台の荷馬車がそこには止めてあって、背後の壁には大きな窓が・・・あ?
なんか今、巨大な透けた顔が・・その目が合った気がする。
だが、霞のように消え、そこには空と木々の緑があるだけだった。
み、見間違いだよね。
気を取り直して見渡す。
入口の方は森の前にあるのかむき出しの地面とその向こうに木々が並んでいる。
天井は高い。
道具入れとか細かい物は私たちのいる場所とは反対側の壁に置いているような棚があって。
「では行くか」
「あ、うん」
先生の声に先生を見てからまた入口を・・?
あれ?あんなところに穴なんかあったっけ?
出入り口の土の道の向こう。
林と道の間にぽっかりと暗い穴が開いていた。
見落としていたのだろうか?
いや、あんなところに穴はなかったはずだ。
そして何か白い細い物がそこから・・・。
それは青白いと言っても良い人の手であった。
「ねぇ、先生?先生!先生!」
「ん、なんだ?」
「あそこの穴何!?てかあの人誰!」
「は?穴?人?」
その声で馬車の方に意識がいっていた先生の前で手を振って入口の方を向かせ・・。
そこから出てくる女性を見た。
長い黒髪で顔は見えない。
なのにギラギラしている目がそこにあるのだけは分かると言う女性が指を地面にめり込ませ這い出してくるのだ。
足まで出てくるが、そのまま立つのではなくずるずると体を擦りつけ這いずって・・。
「急いで乗り込め!」
先生の声と共に視界がぶれた。
後ろでドスンと鈍い、物がぶつかったような音がした。
慌ててみるとそこには先ほどの女が頭から壁にぶつかっている。
そのまま荷台に放り出され、先生が体を荷台に乗せるか乗せないかぐらいに馬車に繋がれていた骨の馬が駆けだした。
すぐに入口を出たとき、蜘蛛のような手足の使い方でがれきから出てきた女性を見た。
そのまま土の道をかけ・・・る馬車と同じぐらいか早いかぐらいでその女性は蜘蛛のような格好で追ってきたのだ。
てか!人の動きとしてどうなんだろうか!?
五人乗って、いや正確には四人乗っているとはいえ二頭引きの馬車なのだ。
舗装はされてないとしてもこんな真っすぐな道でそれこそ全速力出してもらっているはずなのに!
「どこのホラーだよ!!!」
そんな事を叫びつつずいぶん揺れる荷台の上を奥、操っているギルバさんの方へと這って移動する。
その後ろから先生も前へと移動して前からの風を手でかざして防ぎながらギルバさんが叫んだ。
この風の中では叫ばないと聞こえないのだ。
ちなみにマリアさんも荷台の壁を支えにこちらに這ってきていた。
「旦那!あれ誰っすか!」
「知らん!あんな奴いる事自体知らん!マリア!知っているか!?」
『私も知りませんよ!!ただ!何か思い出しそうなんですが!!分からないんです!』
どうやら先生たちにも心当たりが無いようで。
「あ・・と。あれが何かなら分かるんだけど?!」
間の抜けた、だが風に負けないぐらいの大声に声の主の方を見たのだった。




