34.
2015/11/14
閑話7話をかなり書き直しました!
<と言うわけっす>
「ふぅん・・そうなんだぁ・・」
「ほぉ・・・術を・・か」
<何かあるっすか?>
「うぅん。今の所無い!」
<じゃ、スライムたちとこっちの森の状況を確認してくるっす。何かあれば連絡くれっす>
ギルバさんから調査隊が確認してきたことを聞き終わる。
分かったことは川を挟んで崖の方はもうほとんど魔素に侵されているという事。
やはり崖下に原因らしきゴミの山があるという事。
そして、拾った彼らは追われているという事。
他の種族を見下している事。
んで、先生と同じ魔法を使うという事だ。
先生は始終不機嫌そうだったが最後の魔法を使う女が居ると言う報告に少しだけ興味が出てきたようだ。
「さて、これからだけど。報告じゃ、昼頃に着くって話だよね。それまでに一度見ておいた方が良いか」
「お嬢様。ご相談があるのですが」
「ん?なに?」
「できれば天候は霧ではなく曇りにできないでしょうか?」
「なんで?」
「どうしても視界が塞がると監視も難しく。多くの者からできれば他の天候に、と。あ、できないとは言いませんよ」
「そう言われればそうか・・・でもなぁ・・・天井を隠す様な設定できたっけ?」
「まぁ、曇りの天候ってのはあるけど。コスト的にかかるんだよね」
「待て。天候設定は使わないで良い。代わりに洞窟入口に一つ付け加えたい物がある」
ザラップの提案にタマと一緒に頭をひねっていると先生が提案を出してきた。
天井を見えなくすることに賛同していた先生がどういう風の吹き回しなのか?
「どんな案?」
「俺と同じ使い手なら、この手が有効だろうからな」
「??」
「洞窟の名前を洞窟入口に見えるように彫る」
「・・・あ、そういうこと」
「タマ?」
どうやらタマは何かに思い当たったようである。
洞窟の名前と紙にかかれた魔法。
はて?何か思い当たるような・・・。
「リナちゃん。この呪符と呼ばれる魔法はね。とあるダンジョンマスターが作ったものなんだけどね。その人、自分の洞窟になんたら洞って言う名前を付けてたんだ」
「そして、そこの近くで怪我をして動けない人や世捨て人、捨て子をその洞窟に引き入れ手当てして望むなら、その洞窟に住まわせ、見込みのある者には術を教えたそうだ」
「へぇ、そう・・・・・あ、仙人だ!もしかしてその人のダンジョンの一つに崑崙とか蓬莱とか付いた洞窟あったりして」
「ほぅ、知ってたのか?」「あれ?知ってたの?」
「・・・・・いいや?知識としてある中に仙人って言う・・・そういや、仙人って神様みたいな人達の事をさすってあったような」
「リナちゃんの知識でどんなことになってるかは知らないけど・・この世界ではダンジョンマスターの別称だよ?」
「・・・へぇ?そうなんだ・・は、良いとして!洞窟に名前を付けるんだよね!やっぱり名は体を表すっていうけど時間もないし・・水天洞・・森昌洞・・なんかある?」
「どうでもいいだろう。さっさと決めろ」
興味もないような先生に言い出したのはあんただろうと思いつつ洞窟の名付けの画面にする。
天井がガラス状の水晶・・・確か玻璃って言わなかったっけ?、になっている洞窟なのだから、天玻洞で良いか。
そう思いつくと指で名前を書いたのだった。
それにしても思い浮かべるだけで字が出てくるって楽だねぇ!
~・~・~・~・~・~・~・~
「ほわぁ・・・はぁ・・・・・・へぇ」
名付けてすぐに洞窟入口へ行きこの辺りに掘るように。枠は好きにして良い。とタマに指示をして、そのまま歩いて数十分。
目の前にある建物を呆然と見上げ、昨日したことをもう一度思い出す。
地区を決めて広い場所を作るようにオートマターに指示をして。
その場所にこの森の外、崖上付近の建物を参考に集会場のような物を建てるようにコアに頼んだ。
食べ物や薬などなど必要な物を用意しておくようにタマやメイドさんたちに頼んだ。
警備人員の選定と休憩室や監視用の小屋の設置場所の選定をザラップに頼んだ。
で、先生と天候とかどう設定しようかと話をして設定してみた。
そして、その日はお開きになった。
昨日のうちに見にこればよかったと思いつつ、もう一度その建物をじっくり見てみる。
そこにあるのは草ぶき屋根のテントのような建物だ。
これに近い物といえば・・・合掌づく・・いや、あれだ。
竪穴住居だ。
それをサーカスの巨大テントのような形にした建物がぽつんと開けたところに建ってあったのだ。
中を覗いてみるとびっくりするほど広い。
これと言って何もない空間が広がっていた。
いくつか地面に石で円を描いた場所が数か所あり奥の方には草を編んだ御座と毛皮が山となっておいてあった。
これを下に引くのだろう。
その毛皮などの横にこれまた袋が積まれていた。
薬か食べ物だろう。
これと言って台所のようなところはない。
「お嬢様。そろそろ準備をしませんと」
「そ、そうだね。お願い」
「はい。では、お前達」
後ろに控えていたザラップの声にハッとなって振り返る。
もうそろそろ昼なのだ。
慌てて迷惑にならないように脇に退き、返事を聞き動き出す人達やザラップの服装を改めて見直した。
神殿と言っていたので疑問にも浮かばなかった。
先生と同じローブのような服装である。
たぶん修道服なのだろうと勝手に考えていたのだ。
だが、この辺りでこういう時代なら・・・
いやいやここらへんの文明が極端に遅れている可能性だって・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
考えても始まらない。
こういう時のコア頼みっと。
「コア。この世界で主だった文明って?」
『承知しました。提示します』
目の前に表れた画面に映された物に目が釘付けとなった。
どうやらこの世界、私の世界でいう古代ローマとかピラミッドとか作られた時代の様だった。
稲作や麦作が盛んに行われ人達はワンピースと言うかローブと言うか修道服と言うか・・・えっと・・・あれだ・・・貫頭衣・・を着ている人達が話し合っていたりする映像やふんどし?・・腰巻だけの人達が物々交換している映像が映し出されていた。
どれもかれも映画では見たことあるなぁみたいな感じだ。
つまりそういう時代であったという事で・・・。
逆にあの家に何も疑問も持たず行動する先生たちや私がメイドだと認識できるあの服装をしている集団の方が異様なのだろう。
そして、あの家や私が本だと認識できる本もこの時代から考えればオーパーツといえるはずだ。
あぁ、だから、来た人、来た人が家を見て呆然とし、おっかなびっくり中に入っていったり、周りを見渡していたのか。
一人納得し、周りをなんとなく見渡した。
石で円を作ってある場所に焚き火がされ、その周りに御座が引かれている。
集会場は長方形の形をしているのだが、長い辺の方の中央に一段高い台が設置されその上に毛皮が敷かれていた。
その前にも焚き火が置かれ、それと挟んで向かい合う位置に毛皮が引かれている。
外では、女性たちが大きな焚き火近くで料理の準備をしている。
あれは土器だろうか。
焚き火の近くに置かれた方までの高さの瓶のような物の淵を掴み、背伸びして覗きこむ。
中には何も入ってない。
「ちょ、お嬢様!危ないですから、あちらに」
それに気付いたメイドさんの一人が慌てて私を抱え、そっと下ろす。
迷惑なようだ。
その後もちょろちょろと仕事している人たちを追っかけたり、邪魔じゃない場所でボーッと見る。
それで分かったことと言ったら一つだけだ。
そこに居る人達は男女関係なしに全員袖なしシャツにズボンを着て仕事をしている事だ。
ふと自分の服装を見直す。
長袖、長ズボン。
ここまではこの中に居てもそんなに目立たない・・はずだ。
だが、靴はどうだろう?
どう考えてもこの時代ではありえないもののような気がする。
脱ぐのは・・・なんか嫌だ。
・・・そうだ、ローブ。
あまり外には出なかったので着ていなかったがあれは足元まで隠せる丈だったはずだ。
私は慌てて家に戻る事にしたのだった。




