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やっと終わった・・・。
さて、今度は・・・どうしよう。
2015/11/14
一部修正のつもり・・だったのに書き直しました。
さて、それからは迅速に話が進・・む事は無かった。
まずは身代わりは受け入れられ着替えをしてもらうのはできた。
だが、クマノヒコ殿がなかなか自分の愛剣を捨てることができず、説得に四苦八苦したのだ。
それが普通の剣なら持ち出しても良かったのだが、ジゼンたちから見ても相当すごそうだと分かるぐらい装飾された剣だったためそれを持ちだすことはできなかったのだ。
何とか説得はできたものの未練があるのか、時折進みを止める時があって困ってしまう。
ただでさえ、馬車での森の中を進むのは大変なのだ。
未練があるのは分かるが止まらないでほしいと思う。
馬車の通れる場所を探し、襲ってくるモンスターを避け、木を切り倒し、ワイトを魔水晶で避け、松明の明かりを頼りにやっとのことで野営した場所にたどり着いたのは半月だった月が崖の向こうから見え始めた頃だった。
当初の予定通りそこで野宿とした。
幼い二人の子供はもう馬車の中で夢の中に旅立っていたし、若い者たちもずいぶんと辛そうである。
そこをなんとか頑張ってもらい、寝床を整えてさせる。
その間にワガーには魔水晶の設置とスライムたちと狼たちの様子を見に行かせ、そして、ジゼンは気が重いがクマノヒコたちの元へ。
「何用だ」
「さすがに子供に風邪をひかれると目覚めが悪いですからね。こちらを貸そうと思いまして」
「毛皮・・ありがたく頂きますわ」
「一応念押ししときますよ?貸すんですからね。返してくださいよ?」
「分かっておるわ。用はそれだけか?」
「はい、それだけ」
「ジゼン、やっと見つけたっすよ。と、あ」
煩わしそうに言う二人に出そうになるため息を必死に押しとどめつつ会話を打ち切ろうとした時だった。
不意にかかった声に慌てて振り返る。
周りに居た人たちも同様であった。
それだけ自然にその人は現れたのだ。
「お騒がせしてすみませんでした。わたくし、ここに居るジゼンと同じ主に仕える者です。お見知りおきを。ジゼンあちらで話を聞かせてくれるかな?」
「は、はい」
そんなに明るくもない焚き火と月明りでさえ幻想的な雰囲気を醸し出すその美形に人々の目をくぎ付けにする。
ニコッと笑うギルバの声に周りは慌ててコクコクと頷くいた。
数人、頬を染めているように見えるのだが焚き火に当たり過ぎたのだと思いたい。
その様子にギルバは笑顔を深めるとジゼンに声をかける。
ジゼンも頷くだけの人形のように頭を動かしつつ何とか返事をし目をそらした。
その先にはあとから現れた獣人が居た。
その人も周りの様子に目頭を押さえ頭を横に振る。
挨拶と共に身を翻し闇の中に溶け込んでいく様子は本当に絵になるなぁ。
じゃない!
ジゼンは慌ててその後を追うのだった。
~・~・~・~・~・~・~・~
「悪かったっすね。話の途中だったっすよね」
「い、いいえ。そんな事は。用事は済んでおりましたので」
「あれ?硬いっすね。・・まぁ、良いか。まずは地図を出してくれっす」
「はい」
「でどうだったっすか?」
「あ・・あぁ、やっぱりあそこが原因の一つだと思うっすよ。背の4倍ぐらいのゴミの山がここからここまでの範囲で連なっていたっす」
少し離れた場所に案内してすぐのことだ。
言われた通りに地図を出し渡す。
そして、それを見ながら情報交換をしている時だった。
地図の一部に変化が起きた。
そこはダンジョン化した森の端だった。
ここに来るときには何もないことは通って来たので知っている。
だが地図上には洞窟入口と書かれ、洞窟の絵が浮き出てきたのだ。
つまり後から設置された・・ダンジョンの入り口ではないだろうか。
そう思っている間に地図の端の方に字が浮かんできた。
お嬢からの伝言のようだ。
家の広さと、彼らと自分らの安全を考え、地下ダンジョンに彼らの受け入れ先を確保した。
少し細工をしてあるのでばらさない限りは地下に居るとは気付かれないだろう。
と書かれてある。
「それは大変だったっすね。おいらたちはもう少し回ってから帰るっすよ。」
「分かったっす。あ、どう帰ればいいと思うっすか?」
「あの人数を安全に受け入れるとなると・・この洞窟を抜けた先で良いと思うっすよ」
ギルバは浮き出てきた洞窟を差しながら言う。
聞き耳を立ててるだろう人物が居る前提で声をある程度ひそめつつ話しておく。
それから多少の雑談をしてからお開きとなり・・・。
それからしばらく月を見上げてボーッとここ数日の出来事を思い返すのだった・・・。




