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あとがき失敗したような気がする。
あ、今回のあとがきは補足で蛇足だと作者は考えてます。
※注意!一部気分を想像すると気分を害する表現が使われております。
さらっと読み進める事をお薦めします。
そして、今日の朝。
出発してすぐジゼンたちは唖然となって立ち止まってしまう。
今までの森の様子から魔素を取り除けば何とかなるぐらいだった。
だが、その場所は神殿の上層部と同じぐらい魔素の影響が出ていたのだ。
元通りになることは無いと言えるぐらいであった。
森の木々は枯れ果て、パッと見てモンスター化していると分かる草木が生えている。
その合間をグールだと思われる人が蠢いているのも見える。
怖気づきそうな心を押し殺し進んでいく。
時にモンスター化しているとは分からず近くを通ってしまい襲われることもあった。
それ以上に異様に多いグールやワイトの襲撃に度々遭う。
逃げ遅れたのだろうか。
まれに変形した動物達も襲ってくる。
再び足を止めたのはそんな森の中を少しだけ進んだ時だった。
ワガーが悪臭がすると言い出したのだ。
慌てて防毒の魔法を付与した布で鼻と口を覆いその上からこれまた鼻と口を覆う防臭マスクをつける。
ワガーが大人しくさせた狼たちにも同じものを付ける。
こういう時はワガーの種族スキルが大いに活躍してくれる。
これで安心というわけではないがすぐにどうこうなる事は無いだろう。
ジゼンたちは慎重に崖下へと進んでいくのだった。
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時には倒し、時には隠れ、やり過ごすことでどれだけ進んでいきったのだろうか。
やっと見えた目的の場所の光景に一時何も考えられなかった。
崖に沿ってずっと頭よりも高い山が続いていたのだ。
そして本能的に逃げたくなるぐらい悪臭がしていた。
防臭マスクをしているのにだ。
隣ではワガーが涙目で鼻が利かねぇとぼやいていた。
狼たちもきつそうだった。
時々ある仕事だが、ここで数日過ごすのは本当に勘弁願いたいものだ。
さっさと調査をしないと。
というか、原因は目の前にあると言うか・・。
まぁ、詳しく調べて今日中に昨日の野宿先まで戻るほうが良いかもしれない。
ジゼンはそう判断するとワガーに向き直る。
「まずはこの山がどれくらい続いているか、どんなものでできてるか調べるっすね」
「了解、俺はこっち行くわ」
「分かったっす。連絡は」
「通信機でだな」
その返事にそれぞれ背を向けて崖に沿って進んでいくのだった。
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別れて調べだしてすぐにわかったことはやはりこれがゴミの山であるという事だった。
どこから運ばれてきたのかは分からないが、何でもかんでも放り捨てたと言う様子である。
壊れた食器や道具から大きな木材、食べかすなどなどの生活ゴミ。
果てには人や動物まで捨ててある。
それが生きて捨てられたのか、それとも遺体を捨てたのかは分からない。
ただざっと見渡すだけで数えるぐらいは山の中から膿んだ手足が生え、時折それが動いていた。
直視できずに視線をずらすとそこには這いずる何かに気が付き身を隠し・・。
それが子供、赤ん坊のグールであったことにジゼンは何とも言えずやるせない気持ちになっていた。
そんな滅入る光景を見つつグールなどを避けたり退治したりして進み、やっと山の端が見えた頃であった。
<ジゼン!崖から離れろ!何かあぶねぇ!>
慌てた様子のワガーが連絡入れてきたのだ。
何事かと振り返り顔をあげた先でいくつかの黒い粒が崖にぶつかりながら落ちてくるのが見たのだ。
慌てて森に身を隠し、《スキル:遠目》を発動する。
それなりに距離があったが何とか崖の上が見える。
そこに土煙が立っていた。
それなりに早い。
山の方、ワガーが向かった方に駆けて行っているのだけは分かった。
「ワガー何かあったか分かるっすか?」
<分かるわけねぇだろ!?そっちの方でなんか落ちてくるみてぇな音がした気がしてな、見たら上の方が騒がしかっただけだかんな!>
「あ、こっちは大丈夫っす。そっちに向かって言ってるっスよ」
<はぁ!?まじか!>
「まじっす。こっちは遠目で見てるっすけど、たぶん何かが追われてるみたいっすね」
<追われてる・・・ねぇ・・。ここらで良いか。こっちも見てみるが期待すんなよ?>
「分かったっす。場所は確認できたっすからそっちに行くっす」
ジゼンは広げた地図にはワガーの印が森に入って少し行ったところにあるのを確認し狼の背に乗る。
<ありゃぁ・・ジゼン>
「どうしたっすか?」
<あれはたぶん馬車ってやつだな。一台豪華なのと数台荷馬車みてぇな奴が馬と並走。その後ろから数十匹の馬が追って攻撃してらぁ>
「・・・それで?」
<たぶん追われてる方が落ちたみてぇだ。お、ありゃ、生きてんな>
「い、生きてるんすか?あの高さから落ちて?あのゴミ山に落ちて?」
<おぅ、あんなすぐにグール化はしねぇかんな。・・ありゃ、ヒューマンだな。どうする?あ、今度は馬車が落ちた>
「は?」
慌てて崖の方を見ると大きな物が落ちてくるのが見える。
そこからバラバラと放りだされた何かが落ちて崖の壁面にぶつかりながら、時にはニョキッと生えてる木々に引っかかりながら落ちてきた。
なるほど、あれであれば勢いがそがれて生き残る事もあるだろう。
それは運が良いと言うのか悪いと言うべきなのか分からないが。
「ワガー悪いっすけど。その人たち助けてきてくれないっすか?」
<は!?なんで俺?>
「上にお伺い出来るっすか?それにおらよりも見つけるのが得意じゃないっすか」
<あ、あぁ、分かった!探してゴミの上から下ろしておくぜ!>
「あ、確か薬があるっすから」
<「おう!応急処置しとく!じゃ!連絡頼むな!」>
ちょうど合流した時木から降りてきたワガーが逃げるように山の方へと駆けて行ったのだ。
それほど報告が嫌いなのか。
まぁ、考えると気が重くなることにはジゼンも同意できたのだ。
出来ればレイアード様じゃなくお嬢様、マリア様あたりが出てくれたら助かるなぁと考えながらジゼンは崖の上を見るため木登りをするのだった。
【とある研究者の実験報告及び日誌より】
我々は常日頃陰でネクロマンサーに言うことである。
良くあんな腐った奴らを使えるなっと。
だが、そのことについて私は疑問が一つ出てきた。
友の一人にネクロマンサーが居るのだがその屋敷は腐敗した臭いなどしないことだ。
そこで友に手伝ってもらい一つの実験を行う事とした。
死体とネクロマンシーしたゾンビ、そして自然発生するゾンビを比較することである。
一年と半年ほどかけたこの実験より分かった事はゾンビは腐らないと言う事実である。
驚くことに自然発生したゾンビでも発生するまでに腐り始める事はあっても、ゾンビになった時点から腐敗の進行が止まり腐ることが無かった。
・・・
・・・・・・
一日目
豚を三頭使い実験を開始する。
一つ目は普通の死体
二つ目はネクロマンシーにて発生したゾンビ
3つ目は人為的に瘴気を高めた場所に放置し、自然発生させたゾンビ
とする。
野生の動物や虫の影響を受けないよう室内で観察する。
・・・・・
・・・・・・
1年間たった。
この時点でほぼ変わらないため室内での観察は本日をもって終了とする。
今の時点で言えることは死体は順調に腐敗していく中、ネクロマンシーされたゾンビは外見も内臓もこれと言って変化はなかった。
自然発生させたゾンビはゾンビとなるまでに多少の変化はあったがそこからの腐敗の進行は止まっていた。
本日から屋外の森に作った小屋と柵の中で観察を開始する。
・・・・・
・・・・・・・
半年が経った。
数日間で自然発生的なゾンビは肉食獣や虫に集られ骨となった。
ネクロマンシーしたゾンビは知能はあるのか生前と同じ行動をとり、蛆が湧いてはいるが、今でも生き延びている。
内臓も見たが蛆に食われることはあったが、これと言って変化はない。
生前と同じである。
これにより皆が言うようにゾンビは腐っていく死体ではなく、生者と同じままずっと動く死体であるとここに記す。




