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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
2章 森の中を東行西走!~森の異常の原因はどこにある?~
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33.いや!もう!何でこーーなるの!

その連絡が調査隊からもたらされたのは、ゴブリンとの話し合いを、後日他の族長を交えてという事で強制的に終わらせ、書斎で昼食をかじりながら、今後の対策を話し合っていた時だった。

ちなみにそれを宣言したのはタマである。

厳かな声で確か・・・内容は・・・。


我は神の使いの物である。

その者からのお言葉を伝える。

我は誰の見方でも誰の敵でも無し。

我に助けを求める者には手を差し伸べ、

我を傷つけんとする者は地へと返そう。

ゴブリンの長よ。

我を傷つけん者となるか?

我が配下を傷つけん者となるか?

ならば我が牙をそなたらに向けよう。

否とするなら数日後、森の民らとの会合にてまた会いまみえん。


だったか・・。

こいつあのタマか?とかいろいろ思ったが何とかなって一息つきながら・・・というときである。



ビーッビーッ

〈あーあー、誰か聞こえるっすか?〉



呼び出し音の後、疲れ果てた感じの調査隊その一の声が通信機から聞こえてきたのだ。

報告は帰ってからと伝えてあると先生から聞いている。

つまり緊急事態か何かが発生したという事か・・・。



「先生まかせた」

「〈あぁ、どうした?〉」

〈旦那っすか?・・・問題が発生っす。お嬢、呼んでくれませんか?〉

「〈俺じゃ、悪いか?〉」

〈あーっいやぁ・・・今、問題の崖下っす〉

「〈あぁ、そのようだな。何があった?〉」

〈詳しい話はそっちに戻ってからするっすけど・・・あったじゃなくて居たっすね〉

「〈居た・・・で、何がだ?〉」



食べかけのパンを口に押し込み、地図を広げ、調査隊の位置を確認。

崖からそんなに離れていない場所に印が見える。

その間にも歯切れの悪い調査隊の報告。

先生に話したくない事?

居たなんだから間違いなく物じゃなくて動物・・・先生が毛嫌いしている動物・・って!



〈・・・・ヒューマン、人間っす〉

「〈それは何人?どんな様子?〉」



慌てて、会話に割り込みを入れる。

どう考えたって先生の結論は見えているからだ。

切り捨てろって言うに決まってる。

あれだけダンジョンに入れる事を嫌っているんだから。

とはいえ、話せる手がかりらしき者と言えなくもないはずだ。



〈お、お嬢!えっと、ワガーの話では生きてると思われる人数は臭いで確認できるだけでも十数名っす。ただかなりの人数が血の匂いが濃いと言っていたっすからたぶん重体っすね〉

「〈重体?〉」

「このまま放置したら死ぬってことか。なら〈捨てて置け〉」

「ちょ!〈待った!ちなみに救出して助かる見込みは!?〉」

「なぜ、助ける必要がある!」

〈詳しくは分からないっすが・・〉

「先生、押さえて押さえて・・冷静に・・もう、ちっと考えてさ」

『旦那様、このまま死なせればもっと魔素が高まりますし、グールを量産するだけですよ』

〈今の段階では4から6人は〉

「そ、そうっすよ!旦那!助ければそれだけ魔素の発生を抑えられるんすよ」

「・・・・・そう・・・だったな」

「一時的な感情で物事を進めると行き詰るよ?・・だから、ここは押さえてね・・」

〈何とか救出できるっす〉

「うん、そうだね。で、リナちゃん。4人は確実に、ちょっと頑張れば6人だって。〈あ、聞こえる?〉」

〈え?あ、はい。聞こえるっすよ?〉

「〈カバンの中に中級傷薬を入れておいたから・・足りなさそうなら連絡ね〉」

〈あ、はいっす。て、え?え?えぇ!〉

「〈えっと、できるなら助けれるだけ助ける事と、あと、こっちも色々準備があるから、人数が分かったらすぐ連絡。それと明日帰ってくる事・・・面倒かけるけどお願いね。〉」

〈え、え?あ、はい!!!〉



返事を聞いた後、微妙な空気のあと。



「で、どうするんだ」

「・・・どうするって言われても・・ねぇ」



ため息をつきながらも、やることは何個か思いつく。

話ができるかを横に置いておくとしても



「まずは今から来る者を隔離する場所。対話するためのととどめるための家。あとはその家に働く者を派遣の手続き。あ、あと、実験場との隔離・・ぐらいかな・・・」

『メイドの方は私が、そのほかの人員は私の方から、ザラップに頼んでみます』

「うん、お願い」

『隔離方法は少々値が張りますが・・ありますね。他に仕える物を検索してみます』

「あ、なら、入口どこにするか決まったなら教えてくれっす。設置してくるっスよ」



沈黙から解放された彼らはすぐさまできる事を見つけ出し動き出す。

その中で一人、先生はじっとしているのだった。


~・~・~・~・~・~・~・~


さて、ここは地下に作った実験場&レムたちの隠れ家のある場所だ。

森と同等の広さを持つだだっ広い地下洞窟ダンジョンである。

形状としてはあれだ、サーカスのテントのような形状というべきか。

真ん中に一本、壁と中央の間に六本、周りの壁沿いに十二本の柱に支えられている。

そして壁は数十メートル、天井には無数のクリスタルが全面を覆い、淡く輝き外の光をトレースする設定となっていた。

また、天候や気候も外と合わせてある。

雨の時は天井から水分が染み出しクリスタルを伝って滴となって落ちてくるなんてことになっていた。

その水は人為的に作った池へと流れ込むようにして、そのほかは草原、森にしてある。

言ってしまえばここは庭園である。

と、このダンジョンの自慢をして現実逃避をしてしまったが、今はいろいろしないと・・。

まずはレムたちに霧のある場所に近づくなと忠告し、呼び込む区画の選定。

それなりの大きな屋敷をカタログから購入、設置。

監視要員の休憩小屋を数棟木の上や土の中に設置。

数区画の環境設定変更とその区画の侵入侵出の警告設定。

あとは入口の設置。

その地区の芝刈り担当のオートマタの設定変更。


・・・・めんどい。

・・・・こんなに面倒なら周りを知ろうとせずに勝手に物事を・・・

決めて行ったら行ったであとでモンモン考えるんだろうな・・・・・

まったく本当に面倒ったらありゃしない。


そんな事を考えながら私は後ろを振り向く。

そこにあるのは一つの小屋と言っていい家。

最初に居た廃屋の在りし日の姿であり、レムたちの今の住居である。

重苦しい足を進めながらそちらへと向かうのであった。

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