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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
2章 森の中を東行西走!~森の異常の原因はどこにある?~
32/117

30.厄介人物いらっしゃ~い・・・-1-

蜘蛛族と猪族、調査隊の二人と数匹の狼&スライムを見送り数時間後、日が崖の向こうに隠れてからしばらくして、ギルバさんとジラムがゴブリンの村から帰ってきた。4人の訪問者と共にだ。一人は誰よりも年寄だろうと分かる皺だらけの・・いかにもゴブリンといった顔をしたおじいさんとニコニコのお婆さん。ジラムと同じぐらいの背の高さのおじさんが二人。ついて早々、岩玉様を返せ!森を返せ!とまくしたてる老人をおじさんたちがなだめ、まずはよく来たと歓迎し、地下のお風呂に行ってもらう。そして遅いからと早々に二階へと案内させる。その間、ギルバさんの指示でレムたちは一旦家の方に入ってもらっている。今日は悪いが下の倉庫で寝てもらう事になっていた。今は食堂でギルバさんの話を聞くように言ってある。


「で?彼らは誰?」

「長老様、巫女様、年寄衆の二人だ」

「に、にいさ・・」


怒っている口調でジラムは言う。何かあったらしい。それをオロオロとするレムとギラムス。それに重ねるようにギルバさんの愚痴がこぼれだした。


「まぁ、いろいろあって来る事になったんす。とはいえ、あのご老体ですからね。歩みが遅い遅い。巫女様はこんなの初めてとか、ワクワクするわとか言ってジラムとすぐに狼の背に乗ってくれたんすけど・・・村長も乗ってくれ、て言うとよそ者が媚びを売りおって!と言い、世話役も危ないですから背負いますと言うと年寄扱いするでない!と言って聞かなくて・・・できればさっさと帰りたかったんすが・・」


疲れ果てたという雰囲気の彼にご苦労様と声をかけ、今食堂に居る人を見渡してから、もう一度ギルバさんに向き直る。今いるのは先生と私、タマ、マリアさんにリア、そしてレム、ジラム、ギラムスとギルバさんだ。対応した人たちはかなり困ったといった顔か、無表情、疲れたといった顔をしていた。


「用があってきたのはご老体だけみたいに見えたけど・・・何の用件で来たの?」

「お嬢を盗っ人って事で抗議に来たんすよ」

「さっきも言ってたが・・・何故そうなる?」

「まぁ、何と言えばいいのか・・・」


正直、長くなりそうなので嫌ではあるがそこのあたりを知らないといけないし・・。


「話して」

「はいっす。まず・・最初に話しておかないといけないことなんすけど・・」


~・~・~・~・~・~・~・~


「という事っす」


話し終えたというギルバさんに私は頭を抱えてしまった。いや、ギルバさんの行動にというわけではない。長老の訴えをどういなせばいいのかが分からないのだ。


まず話を整理しよう。

前提条件としてゴブリンの村、集落というのは年功序列で偉いらしい。

年を取って生きているという事はそれだけ生き延びる幸運とすべを身に着けているという事の表れであり、その人についていけば、ある程度生き延びられるとの判断だという事は理解できるのでそれは良い。それでも、他の場所ではそれでも村全体の事は集会などで決めるのが一般的だとギルバさんは言っていた。だが、この村ではどんなことでも長老の独断で決まることが多いらしい。


さてここからは時系列を追って整理してみよう。


まずレムたちが飛び込んで来た日、居るはずの二人が消えていたのを不審に思い、祠に確認に行かせると巫女の姿も無い。慌てて岩玉様を確認したらそれも無いという事で大騒ぎになったようである。これだけ見れば誰だってレムたちがやったと思うだろう。そう判断したご老体はカンカンになって、ジラムたちを探して見つけ次第殺せという事を言い出したらしい。とはいえ、今まで一緒に暮らしてきた者たちをすぐに殺すなんてできないし、多くいる巫女の中で一番立場が無い(身寄りが少ないなど)彼女に押し付けた自覚はあったので、年寄衆は戻ってくることもないだろうから、穏便に追放にしてほしいと頼み込んで譲歩を引き出したのだそうだ。

そう話がまとまって、次の日の晩にあろうことかジラムがギルバさんを連れ、多くは無いが食糧(DPで出して持たせた分)を担いで帰ってきたのだ。夜遅くだったため、長老を起こすわけにもいかず、年寄衆の判断でジラムたちの罪は帳消しにして泊めてもらったらしい。


その次の日の朝、事は面倒な方に転がりだす。長老がジラムたちを許したことなどを知って激怒したのだ。そして、その食糧を取り上げてなぜ叩きださない!と言われ、ジラムの連れが見たことない人である事、その人に森の主の眷属とネバネバが従っていることを話したのだ。年寄衆はそうなると伝承に出てくる使いではないかと言う話が出て、叩きだしたら何が起こるか分からないと判断したと説明したそうな。それを聞いた長老はその客を呼びつけて開口一番に盗人が!と怒鳴ったそうである。なぜそうなるのか分からないギルバさんはそれでもこう言ったそうだ。


自分は岩玉様の使いの使いである。巫女たちは我が主の元に居る。そしてまずは巫女たちの安否を知らせるために自分が遣わされた。


と。そしたら、烈火のごとく長老が怒りだしたらしい。盗人猛々しいとかなんとか。我らから岩玉様を盗み出した愚か者どもを囲い、あまつさえ岩玉様の使いと名乗るとはおこがましいわ!岩玉様は我々が代々守ってきた物だ!返せ!と言い出して、それを宥めたのが付いてきたお婆さんの巫女であったらしい。嘘か真か確かめに行けば良いじゃない、わたくしも使い様に会いたいわ、それとも合わせてくれないの?と言い出してそれで世話役の年寄衆二人と長老、巫女様を連れて来ることになったというわけだ。

・・・・・宥めたのか疑っているのか分からないセリフだと思うがそれは横に置いておく。

で、最初に戻って今この地に来たという事になる。


「うん、事情は分かった・・・と思う・・さてこれからの事だけど・・・」


もう一度見渡して・・・ギラムスは椅子に座り机に突っ伏して寝ている。レムも舟をこいでいる・・規則正しい生活をしている割にまだシャンと・・シャンと?


「ジラム?」

「・・・・!なんだ!?」


後ろからリアに頭をはたかれ、ハッと起きる。どうやら寝てたらしい。スッと背筋が伸びて腕を組んで目を閉じていたので聞いているのかと思ってたのだが・・。


「私も眠たいし、問題の洗い出しと対策については明日話をしようか・・マリア彼らを地下の部屋に」

『承知しました』

「分かったっス」

「は~い、さ、動かさないとね」

「あぁそうだな」


他の人々の返事を聞きながら部屋を出る。でも悶々と考えて寝られないと思うんだよなぁ。はぁ・・・。

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