29.改めて話し合いしましょ!-2-
すごくお待たせしました。
変なところあれば本当に教えてください。
・・・ごまかしても仕方ない。まず嘘が出てこないなら正直に説明しないと・・。誠実が攻を奏するのは滅多にない気もするが・・・。仕方ないよな。
「・・・ザームよ。我は神の使いだからと言って全てを知っているわけではない。そして、そんなに力があるわけでも無い」
「使い様ぁ?」
「そ、それはどういうことです?」
「分からぬか?サレイよ。我はこの森がどのような状態が元の状態か知らぬと言っているのだよ。我が力で森を元に近い状態にしたとて、そなたらから見ればかなり違う森になってしまったという事もありうると言っておるのだ。そして、昔いた神の使いとは違い、我にはそれほど力があるわけではない。昔の神の使いが一気に森を元に戻せたのはそれだけの力を身に着けていたからであろう。我の力では我の力の及ぶ森を徐々に広げていくしかできぬ。その間に変質した物は元には戻らぬのだ。元とは全く別の森になる可能性の方が高いのだ。そこでだ。我はこの森に詳しいそなたらの話を聞き、この森の変化がどこからきているのか調べ、その場所を調査して原因らしき物を取り除く。それによって悪化することを防ぎ、森自体が持つ元へ戻る力と我の力を使い元の森へと戻す。それが我が考えていることであるのだよ」
「力がないのですか?あのような物を出せるのに?」
「あの?あぁ、森をすべて元に戻す力に比べたら建物を出す力は微々たるものだよ」
ザームが倉庫の方を見て言うので私は苦笑しつつ答えた。そう、微々たる物なのだ。まぁ、倉庫も特殊な効果を付属しているため、それなりの金額がかかったが、それでも谷底の森全体から見てもダンジョンの森から見ても広がったかな程度しかないのだ。今手元にあるDPをほとんど消費すれば、それなりの広さは確保できる。だが、それでも全体から見れば微々たる物と言えるだろう。さて、他のことがあるのか無いのか分からないが黙り込んだ二人。少し待つが沈黙しか返ってこない。
「ほかに何かあるかな?」
「い、いいえ」
「私の方もありません」
「では、ここからは手短に済まそうか。まずは・・昨晩出た者たちの話からだな。昨晩聞いた通りならばこの状況の原因の一つがその崖下と我は考えておる。そこで、今から崖下に我の配下を調査に行かせようと思っておる」
「な!?」「それは!」「はぁ・・?」
何か聞きたいことはあるだろうが渋々といった感じで黙り込む二人に私はこれからの予定を話した。レムはやはり何かわからないといった感じで答えたが二人はかなり驚いたという顔をしている。まぁ、断りもなく勝手に調査し、勝手に事を進められるのは誰だって気分が悪い・・だろう。それが自分たちの命にもかかわってくるかもしれないことならなおさら気分が悪いかもしれない。
「まぁ、何か異論があるかもしれぬが今は話を聞け。まずは原因を一つ一つ潰していかなくてはならぬ。それは分かってくれるな?」
それに頷く三人。
「原因がそこにあるとは限らぬがそこが一番怪しい。ゆえにそこを探る。これも良いか?」
レムは勢いよく、あと二人は渋々といった感じで頷く。
「さて、そこ二人はその調査は自分たち森の住人も関わるべきだと思っておるのだろう」
「そ、それは・・」「・・・はい」
「正直で良いな。だが、そこは近づくだけでも具合が悪くなる土地なのはそなたらも分かっておろう?」
それに黙り込む二人。
「言っておくが調査に出る者もそれほど技量があるわけではない。ただそういった土地への耐性を持っているから調査だけを頼んであるのだよ。よってな具合が悪くなっておる者を抱えて調査するほど余裕はその者たちに無いのが現状であるのだ。そこは分かってくれるか?」
「「はい」」
また渋々といった感じに答える二人。それに苦笑しつつ私は地図を取り出した。
「まずは調査。原因を取り除くまではいかぬ。取り除くときは村々に助けを頼むつもりでおる。とはいえ、この広い崖の下だ。どのあたりかあたりをつけておかぬと何日も調査せねばなるまい。それは困る故な。どのあたりが怪しいか教えてくれまいか?この辺りと指でさすだけで構わぬ」
そう言って地図のマーク機能を発動する。人の思考を読み取りその場所をマークする機能である。動物分布マップ、植物分布マップと同様の機能であったりする。嘘を教えようとも思考でそのあたりと考えて入ればそのあたりを調査班に渡してある地図と私の地図だけに現れるようにしていたのだが、嘘を教えるつもりは無かったようで二人ともこの辺りという所はズレがほとんどない。たぶんこのズレはただ考えている地点と地図の見方が違うといったズレでしかないだろう。
「分かった。ありがとう。これを調査する者たちに伝えておこう。さて、次は、そなたらに伝言を頼むだけか。昨日にも言ったが、この森の変化を知りたいという事、それと・・うむ、全ての長と話がしたい。そういった席を用意していただけないかと伝えてほしい」
「全ての長と?」「話・・ですか?」
「そうだ。この森全体の事やこれからの事を話したいと。場所についてはそちらの好きにして構わないともな。あ、それとどちらも・・森の変化の話も長との対話の話も早めにしてほしいとも伝えてくれ」
にっこりと笑ってみせると二人はどうしたものかといった顔をしたのだった。レムは最後まで呆然とした顔をしてました。なんも分かっていないと思う、たぶん。




