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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
2章 森の中を東行西走!~森の異常の原因はどこにある?~
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28.改めて話し合いしましょ!-1-

「うわぁ・・・」


家の前で呆然とそれを見上げていた。昨日よりも高い獣の山が二つ、それに果実の小山も二つできていた。昨日よりも多く狩られたようである。それぞれの山の横にそれぞれの種族が集まっている。いや、いがみ合っていると言えばいいのだろうか。すぐに振り向いた蜘蛛の代表が私に詰め寄ってきた。


「使い様。どうです。私たちの成果は」

「いえ、我らの成果の方がすごいでしょう」


どうやら、競っていたらこうなったのかもしれない。それに私はたじろぐがこれだけは言わないと。あ、間違いなく伝えてると思うけど、まずはマリアさんに確認してからか・・。


「マリアよ。我は取り過ぎ、狩り過ぎに気を付けるなら取っても良いと伝えるようにとそなたに伝言を頼んだな?」

『はい、そうお伝えいたしました』

「では、代表よ。それらは取り過ぎではないのかな?」

「「・・・・」」


それを確認した後、二人を見る。するとそこの二人はピタリと止まっており、しばらくしてギーッと振り返って自分たちが取った山を見る。そして、同じくらいゆっくりとまたこっちを振り返る。真っ青だと言えるだろう引きつった顔でこちらを見る。


「すみませんでした!」

「申し訳ありません!」


ひざを折り座り込むと二人とも頭をこすりつけるように倒れこむ。土下座だ。この世界でもあるんだと思いつつ私は後ろの先生を見上げ、こっちに気が付いた先生は肩をすくめた。アドバイスは無いようだ。


「まぁ、過ぎたことだ。今回だけはとやかく言うつもりはない。さて、蜘蛛族の代表よ。猪族との食料の話・・忘れておるまいな?」

「は、はい!ここにある物は全て猪族の村に運び入れます!」

「では猪族の代表よ。蜘蛛族にも他の部族同様分け与えるな?」

「はい!分かっております」

「他の者達も分かっておるな」


その問いに各々(おのおの)ばらばらだが、肯定と取れる返事が返ってきた。それにうなずき手を挙げる。何事かと静かになるのを待ってここのルールを説明する。


「ならば、よろしい。さて、この森での決まりを先生の方から説明させる。よく聞くように」

「「はい!」」

「うん、先生あとはお願い。では、あとで」

「うむ、では、説明を始めるぞ。まず、一つ目」


ここへ出てくる前に話しあって決めたこの森でのルール説明を先生に押し付け、手を振っていったん店の中へ。マリアの手を取りながらその場でダンジョン作成画面から新規にダンジョン作成を選択し、一つの建物を選択するとその建物の中に私たちはいた。その場所に必要な物を買い、この建物外に持ち出されたら元の位置へ戻るプロテクトをかける。元々整地してある場所へ置く前の状態へとしておく。その間にマリアにその器具の使い方・・・ほとんど知っているようだったが教えておく。そして、持ち出し禁止であること、奥の倉庫部分はキッチンとつながっていることを話していたころである。先生からの連絡が届いたのは。


〈説明が終わったぞ〉

「分かった」

〈では、これから使いの御業(みわざ)を見せよう!〉


先生の話に合わせるように設置させると、扉の向こうから歓声というか驚きの声が聞こえてきた。うまくいったようだ。外への扉を開けると目を丸くした人たちの顔があった。


「では、マリア。彼らに使い方を教えてあげてくれ。あ、いや、質問を聞くと言う話しであったな。この中で質問がある者は居るか?」


その質問に返事がない。代表者たち以外は首をブンブンと音がするぐらいに首を振る。彼らには質問が無いようだ。


「では、代表者は悪いが付いてきてもらおう。他にも聞きたいことがあるしな。では、マリアよ。あとの事は頼んだぞ。では行こうか」

『承知いたしました』

「・・・・・・は、はい!」


呆然とこちらを見ていたが猪族は頭を縦に振り、蜘蛛族ははっとして返事を返してくる。それに私は頷くとまた店の中へと戻るのだった。


~・~・~・~・~・~・~・~


「楽にしてくれ。さて、話さねばならんことは多いが・・まずは・・もう一度聞くが質問は無いのだな?」


定位置になりつつある台の上に敷かれた毛皮に腰を降ろしながら問いかける。レムも含めた代表者達は顔を見合わせた。


「いえ、お伺いしたいことはあります。まずはあなた様の話を聞きたく思います」

「我の話?・・・さて、何を話しすれば良いのかな?・・・そう言えば名前を聞いていなかったように思うのだが」

「名乗りが遅くなりました!私は猪族の長老が一人、ゼライドが一子、サレイと申します。そしてこちらは」

「私は蜘蛛族が長、シャライア様の娘、スライア様の付き人、ザームと申します」

「サレイとザームか・・にて、サレイよ。どのような話を聞きたい?」

「できれば、あなた様がこの森へ来られた経緯いきさつとそのゴブリンの巫女との関係をお聞かせ願いたく」

「はて?経緯が知りたいというのは良いが・・なぜレムとの関係を?まぁ、良いか。では話そうか」

「よろしくお願いいたします」


少し姿勢を正して、彼らを見る。と言っても正直に答えるのも勇気がいるし・・・とはいえ、嘘をつきとおす自信なんてもっとない。なら仕方ないな。


「と言っても、そんなにたいそうな話ではないぞ?我にはこの森に来る前の記憶がないでな。ただ虹色に輝く一抱えある宝玉に導かれて力を得、三日ほど前にこの森へ来たのだ。ただ我はこの地に無知ゆえその助けとなる者つまり先生を呼びこれからと言うときにこの巫女と巫女の兄、その友がこの家に転がり込んできたのだよ。その後は巫女の願いを聞き入れこの森を元へと戻すためにこの森の現状を身に外へと出た折、そなたらの争いを見かけ、声をかけたのだよ。経緯と言ってもこれぐらいなのだが・・・」

「え?えぇっとぉ・・・三日・・・確か・・・日が昇って落ちてが三回・・・・私がぁ来てから日は二回ぃ・・え?」

「ありがとうございます。経緯は理解できました」

「今度は私から質問してもよろしいでしょうか?」


なぜか顔を青くするレム。ポカンとしていたサレイは深々と頭を下げお礼を言って、それに被せるようにザームから質問が飛んでくる。


「良いぞ。ザームよ」

「では、伝承での使い様と同じ力であるなら、あなた様のお力で今すぐにでもこの森を元へと戻すことは可能でありましょう。なぜそれをなさらないのですか?」


ほえ?伝承?・・・あぁ、神の使いがうんぬん・・・・って、そういや昔の神の使いは猪族と蜘蛛族をせん滅しかけた後、一気に森を元に戻したって言ってたなぁ・・・どう説明しよう・・。

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