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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
2章 森の中を東行西走!~森の異常の原因はどこにある?~
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27.いろいろと状況のすり合わせしましょ!

『ならば、ここに居る者をお使いください。ジゼン、ワガー』

「へい!」「はい」


声がする方に向くとそこに居るのはゴブリンと獣人が一人ずつ前に出ていた。この二人らしい。ちょっと緊張している風な犬のような獣人と何というかぼやっとした印象のゴブリンである。さっき食べている途中で見た顔を覗かせていた相手である。


「あぁ~待て待て。昨日の検証がまだ終わってない」


彼らに準備をさせるためアイテム袋をあさっていると先生が呆れたといった声をあげる。


「何かあったっけ?」

「昨日の段階でどれくらいスライムが居なくなった?」

「たしか27匹だったと思う」


そう、帰り着いてすぐに点呼してみたらさらわれたと思われる光っていた奴のほかにも大きい奴はすべて消えていた。名持の5匹は普通に居たが。


「つまり魔素の多く持っていた連中が襲われたという事だな。・・なら、グールとこの現象ならワイトも居るはずだ。確かお前ら対ムービングデッド系の武具を持っているか?魔法なんぞ知らんだろ?」

「決めつけっすか。まぁ、持ってませんね。ほとんど逃げ隠れしてますし」

「無いです」

「なら」

『承知しました。今すぐ対応できる者を連れてまいります』

「あと、偵察任務の二人以外は私の部屋に例の物を運び入れてくれ」

「例の物って?」

「約束の品だ。まぁ、少々実験して使えるようなら今回の偵察も楽になるかもしれんがな」


自信有り気に取り出したのは中心に黒い染みのようなものが見える透明な玉、たぶん魔水晶だ。魔素を取り込む・・・とはいえこの広い森でそれしても焼け石に水だろう。ではどう使うのか・・・分からない。


「これが偵察に使えるの?」

「あぁ、これにはな。おかしな機能が付いてるんだ。何が付いているかというとだな」

「無効スライムとか?」

「・・・」

「えっと、なにそれ?」

「ん。スライムに取り込まれても破壊されないってことだよ。打撃とかで普通に破壊できるんだけどさ、魔素吸収素材としてもあるんだけど、スライム取り込まれても何とかなるって加工されることもあるって聞いたことあるよ。まぁ、加工すると無効じゃなくて耐スライムぐらいに格下げされるんだけどね」


秘密を横からタマがさらっていった。ギーッと古い扉のような音がしそうなほどのゆっくりとした動作でタマを見る先生。かなりひきつった笑顔だ。慌てて先生に聞こうとしたのだがそれもそれに気が付かないタマによって無効化される。・・・あぁ。また先生いじけてるよ。


「そ、それでそれをどうするの?」

「・・・・あぁ、まずは約束通りにな、空にしてくれ」

「え、うん。コア」

『了解しました。魔素の回収を行います。対象に触れてください』


取り出したのはさっきの一つのほかに袋ごと机の上に置かれる。一つに触れ、袋をもう片方の手でつかむ。


『魔素の回収を開始します。そのままお待ちください。・・・・・・・そのままお待ちください。・・・完了いたしました。継続して行うなら次の対象に触れてください』

「次っと、・・あれ?」


スーッと触れてからすぐに手の中の魔水晶の黒い影が消えていく。消えてしばらくしてから完了の声がかかった。なぜこんなにかかるのか疑問に持ちながらも袋から球を取り出して頭をかしげる。取り出した物が透明だったからだ。次に取り出した物もその次も透明であった。なんとなく袋をひっくり返して全部ばらけてみると全部透明になっていた。慌てたマリアさんとかが落ちそうな物を押さえてくれる。そんなに壊れる物なんだろうか?


「リナちゃん!扱いには気を付けてよ!一応割れ物なんだから!」

「・・・うにゅ、ごめんなさい」


かわいく謝ってもダメだからねっとタマに怒られた。どうやら本当に壊れやすいらしい。今度から気を付けよう。さて、見渡してみると全部透明になっていることは分かった。


「えっと?でも、なんで透明になってるの?」

『袋ごと接触していたからです』

「それでもいいんだ」

『はい』


良いことを聞いた。つまり袋ごとそれも積み上げている物でも触れれば回収可能ってことかもしれない。一個一個触れなくても構わないという事だ。それと確認したところDPがすごく増えていることが分かった!これで当分必要経費を考えつつ貯蓄しなくても良いという事か。


「さて、先生!それで、これをどうするの?」

「では、庭に行くぞ。あと、スライムを数匹庭に呼んでくれ」


そしてそこに居るみんなして庭に出るのだった。


~・~・~・~・~・~・~・~


庭には六匹の名無しのスライムが鎮座している。名持の眷属と普通のスライムである。今更だが一匹にスラノーという名前を与えた普通のスライム作ってもいいかもと考えながら先生に聞く。


「これからどうするの?」

「まずはこれを与える」


そう言って真っ黒な魔水晶を取り出した。まだ持っていたらしい。それを手直にいた一匹に乗せた。すると本能なのかそのスライムはそれを取り込んで・・・しばらくして吐き出した。変化はそれだけだ。


「それで?」

「うむ。吐き出すか。消化できないものをそのまま留める命令はできるか?」

「えっと。コアできる?」

『可能です。ここにいる者だけでよろしいのですか?』

「あぁ、それだけでいい。あとは次はこっちのを乗せるから前に取り込んだ魔水晶を吐き出させるように命令できるか?」

『可能です』

「あ、コア、まったく消化できない物が二つ以上になった時、取り込んだ順に消化できない物を吐き出す、て条件で設定して」

『はい、承知しました』

「どういうことだ?」

「ん?だって、普通に取り込んだらまだ消化されて無いものが出てくるとかありそうじゃない」

「あ」

「あっ、て、まぁ、いいや。で?それを置いて交換ってところまでは分かったけど。それでどうするの?」

「まずは設定を変更してだな・・これでたぶんスライムが消える事は無いだろう。それでこれをスライムに与える。これで前のが取り出せたな。で、これを与える」


取り出したのは何かのかけらだ。ただの岩のようだが所々に何か光る物が見える。ただの岩のようだ。


「魔素を多く含む鉱石だ。俗に魔鉱石と呼ばれている物の一つだな。これを与えてこいつの一時的に魔素量を多くする。その後の結果で使えるかどうか見るんだが・・・どうだ?」


魔水晶を取り込んで余裕がないのかいつもよりもたもたしながら魔鉱石を取り込む。最初の内は変化はない。しばらくして少し大きくなって・・・あ、魔水晶の中心が黒い靄が少しかかったようになってきた。さっきの最初に出された魔水晶のようである。


「これ・・成功?」

「あぁ、たぶんな。もう一個与えてみようか」


取り出したもう一個の魔鉱石をさっきよりはスムーズに取り込むと今度はそんなにしないうちに黒い靄がはっきりしてきた。


「これってどういう事?」

「魔水晶の効果だな。囲まれた一定範囲内の魔素の濃度を調節する機能が働いているんだろう。その範囲が元々の範囲なのかスライムの体内だけなのかはダンジョン外に出ないと分からんがな」

「なるほど?」


分かったような分からんような・・・まぁ、そこは良いとして・・・。


「まず何をすればいいんだろう?」

「まずは偵察組をお前の配下に入れる。次に予備の魔水晶を空にする。それでこのスライムの指揮権を偵察組に渡す。それを昼までにする。ではないかな」

「・・・・昼までに?」

「玄関の連中を待たせるのか?」


空を見上げ、あと数時間で頭の上に来そうな太陽を見上げ、なぜ昼までにと思ったら先生の一言で今朝言った言葉を思い出す。てか、客の事、忘れてた・・・。


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