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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
2章 森の中を東行西走!~森の異常の原因はどこにある?~
23/117

21.さ、お出かけしましょ!-4-

唖然として見上げているうちにその数を増やしたスライムたち。スライムが三本目の木を蔽う(おおう)ぐらいになった頃。


ビィィーーーー

警告!単一モンスター制御数の上限に近付いています。

超過分は制御下からモンスターが外れます!

モンスター災害が開始する前に退避、または対処してください。

※モンスター災害については新着ヘルプ:モンスター災害を参照してください。


「コア!増殖禁止!呼び戻して!」

『了解しました!』


何か不吉な文章の警告文に促され呼び戻しを指示し、ステイタス画面からスライムを選択。画面隅々を見渡すと、なるほど、画面の端にスラッシュで区切られた数が示されていた。上限は300匹今は282匹らしい。ギリギリセーフ・・・でいいんだろうか・・・今後増えれば最後の何かが発生する可能性があるのだろう。と、見渡して分かったことはスライムがこれだけいるのは恐怖があるという事と整列したうちのスライムの中に一段と大きいスライムがかなりの数が居るという事だ。そのスライムは体を横に揺らし何か訴えているようで・・・・分裂寸前のスライムという事だろうか?一、二、三、四・・10・11・・・24、本当にギリギリだった!この数の倍に増えたら絶対危険だった!


「せ、せ、せん、せい。こ、これ、からどうするの?」

「ん・・・・・あ、あぁ、まずはな」


周りを見渡すと隣のかごをのぞき込む青い顔しているゴブリン少年二人。声を聞いているとレムが気絶しているみたいだ。ギルバさんはマサカリを構え、狼たちも臨戦態勢でスライムを睨んでいる。その周りをスライムたちが取り囲んでいる。一見するとスライムに襲われかけてる集団である。その中でかなりつっかえつっかえではあるが質問するとひきつった顔でこれからの作戦を説明しだす先生だった。


~・~・~・~・~・~・~・~


目の前では今にも戦闘を開始しそうな二集団を眺めつつ、ここに来るまでにジラムたちに聞いた話を整理してみる。猪族と蜘蛛族は昔から仲が悪い。ただ生活圏が重なるが住み分けはできているらしい。猪族は地上を蜘蛛族は木の上で暮らしている。ではなぜ喧嘩するのかと言えば食糧事情だそうだ。両方とも木の実を主食と言っていいほど好むらしい。それ以外でも時々かち合いそこで小競り合いがあるという話である。そして、今の小競り合いの原因はこの森の状況が引き金のようである。聞こえてくる怒号から判断するとだが。猪族は今食べられないのは蜘蛛族が食料を先に取りつくしたからだと言い、蜘蛛族は森をおかしくしたのは猪の族が食べすぎたからだと攻めている。今飛び込んで声をかけてもまともな話はできないだろう。


〈あ、あ、聞こえるっスか?〉

〈「あぁ。終わったのか?」〉

〈はい、囲み終えたっス〉

〈「では作戦開始だ」〉

『承知しました。前進を開始します』


~ピロリロリン~

【緊急クエスト1:その他(スライムで襲撃)が選択されました。

 緊急クエスト2が発生しました】


耳飾りの形をした遠距離通信用アイテム・・インカム?でギルバさんからの連絡を聞いた先生は作戦:スライムの奇襲を開始した。スライムを操るのはコアだし私は見ているだけだ。そう軽く構えていたらクエストが進んだらしい。かごの底に身を沈めてクエストを見る。


【緊急クエスト2】

猪族と蜘蛛族をスライムで襲ってみたよ!

選択肢 このまま全滅させる?

     ちょっと痛めつけて配下に加える?

     恐慌状態の彼らの前に現れて説得?

     傍観する

     その他


まずは・・・顔を出して周りを見渡してみる。先ほどの小高い丘から降り、例の喧嘩が行われている開けた場所が見えるぐらいの距離の森の中。地図上ではダンジョンと山のちょうど中間ぐらいの位置のようだ。ここ一帯の木々は先ほどまでの枯れかけている木々とは違いまだ青々している。

は!・・・考えてみればダンジョンは魔素の濃い場所にできるのだからダンジョンがある場所周辺を重点的に調べればよかったんではないのだろうか・・・。

まぁ、今は横に置いとくとして・・猪族と蜘蛛族の様子は・・どうやらまだ気付いていない。そろそろ森の下草からガサゴソとスライムたちの姿が現れる頃なんだが・・あ、端の方の人が音に気が付いて周りを見渡してる・・・。そこにちょうどスライムが一匹二匹と・・・ホッとした様子の周りを見渡していた人たち・・だが、その数がだんだん増えていき取り囲まれていることに気が付いて隣の人に声をかけて・・・そこに居る全ての人が気付くのにそんなに時間がかからなかった。

スライムたちは森から数メートルのところ彼らの武器が届かない範囲で止まり、体を横にユラユラと揺らしている。最初はばらばらであったその揺れはしばらくして一つの生き物のように波打っていた。それはあれだ。なんかの試合かコンサートで観客が申し合せてするウェーブのようだ。その様子は何もしないと知っているこちら側から見ればすごいと思うだけであるが、襲ってくるかもしれないと恐怖する二種族から見れば恐怖をあおる姿であろう。


〈「行くぞ」〉


先生の声に反応してシャルが歩き出す。振り返れば、ジラムとギラムスが乗った二匹もついてきている。さっきからインカムで連絡とっていることでも分かるようにギルバさんは別の場所、開けた場所を挟んで反対側の森の中に居る。二種族が先生たちの姿が確認したと判断できたあたりで誰も乗ってない狼と一緒に飛び出す手はずになっている。


「あ、ありゃぁ」

「森の主じゃ!」

「じゃが、森の主だけじゃねぇ」

「誰か乗っとるぞ!」

「そ、それに、ネバネバが退いとる・・・こんなことできるのは・・」

「嘘じゃ・・あれは爺様たちの与太話じゃろ!」


スライムたちが退いて道を作り、その道を先生と私たちを乗せたシャルがゆっくりと歩いていく。その様子を見た人たちは逃げ場を探して右往左往し逆の方向へ逃げようとして飛び込んできたギルバさんと狼たちに腰を抜かしている。この森ではスライムをネバネバと呼ばれるらしい。あと何かこの状況と似た伝承があるのか真っ青な顔で首を振る人もいる。

まぁ、今は関係ない。話を付けるのも先生だし、一応できればの希望も二、三、伝えてある。私はしばらく出番はないだろうし、かごの中で寝ていよう。



【ヘルプ:モンスター災害】

モンスター災害とはモンスターの大量発生の事を差す。一定数以上の単一または複数のモンスターが一か所に集まったときに発生する。基本群れで生活するモンスターの単一災害事例は少なく、多くの場合、本来なら群れるはずのないモンスターの大量発生によって引き起こされる。大量発生の原因は多くの場合魔素による発狂である。まれに一定周期で集まる習性のあるモンスターが引き起こす場合もある。対策としてはモンスター内にボスと呼ばれる巨大化したモンスターが居れば、それを倒し、その上で一定数以下(基本は四分の一)になるまで討伐するか、分断することである。ただし分断する場合はもう一度集結しないよう一定範囲以上追い立てる必要がある。

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