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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
1章 目覚め ~ダンジョン初心の森 怒涛の三日間?~
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16.厄介ごと、いらっしゃ~い!-5-

ごたごたで汚れた服を脱ぎ捨てお風呂に入って、やっとゆっくりとした時間を手に入れた。さて、聞いた話をまとめようか。


まず彼らの村での巫女という存在についてだ。

彼らの村では怪我や病気で猟ができなくなった人を養えるうちは巫女として養うことになっているらしい。そして困ったことがあればお山の神様にお供えして解決してもらうという風習があるのだという。次の日に巫女が居なければ神様に話が通ったという事になる。ちなみに消えた巫女は誰一人帰ってきていない。村人はこれを神様に気に入られて帰ってこないと思うのだという。

ようは人身御供である。


次になぜ彼らがここにいるのかだろう。

今、森は未曽有の危機というやつに襲われているらしい。ある地域では今までは簡単に獲れていた生き物が凶暴化して襲ってきたり、目に見えて森が枯れていったりしており、今までは干渉していなかった他の種族が自分たちの地域に現れていたりと問題が発生したのだ。そこで風習に習い、彼女レムが巫女としてお山の神様にお供えされたというわけだ。

だが、それを嫌ったのが身内のジラムである。彼にとっては今いる唯一の身内なのだ。どうしても神様に連れていかれるのは嫌だと親友のギラムスにぐちった所なら連れて帰ればいいじゃないかと何気なしにギラムスが言ったようで、そうだ!そうしよう!となり、そのまま一緒に連れ戻しに行ったそうなのだ。

儀式中その場に許可なく立ち入ることは大体禁止されていることのように思うが、そうでもないらしい。それは置いといて彼女と無事合流して村に行こうと行動していると狼が追いかけてくるじゃないか。慌てて駆け出し村の横を通り、ここまで来たという事だった。

ちなみに村に駆け込むでもよかっただろうがその場合村人全員動ける者は逃げ出して巫女や子供などが犠牲になる結果になるだけであると分かってたし、もし無事に済んだとしても巫女を連れ出して厄災を持ち込んだとあってはその村では生きていけないだろう。そう判断したレムが村に帰ることを嫌ったからその手段を取らなかったという。

まぁ、そういう事で私の下へと来たのだった。


あと、なぜ私を神の使いと呼んだのかも聞いてみた。

ちなみに聞き方はこうだ。


「なぜ私を神の使いと?いや答えたくなければ良いのだ」


そうしたらこう返ってきたのだ。


「あなた様はスライムを自由に操って見せた。これが神の使いの証である」と。


そこが分からない。あれほど簡単に使役できる生物を操ることがなぜ神の使いになるのだろうか?

・・・あ、こういう時のコア頼み。


「コア、なんでスライム操ると神の使いになるの?」

『本来、スライム属は使役獣にはなりえないからです。スライム属は使役テイムを無効にする先天性スキルを持っています。こういった先天性スキルはその種が必ず所持しているならばスキル欄に記入されません。ちなみにこの先天性スキルは無力化系のスキルのほかに他種族交配によって判明した物しか今分かっておりません。たとえば』


「はい!コア、ストップ。じゃぁなんで私は使役テイムできたの?」

『え・・・はい。ダンジョンマスターの先天性スキルに使役無効化系スキルの無効化という例外的なスキルがあります』


「つまり、どんな生き物でも使役できると」

『はい、ただし使役テイムできるかどうかはその相手の抵抗次第です。逆に言えば使役者から逃げたいと願っている使役獣でマスターの下に下ることを了承すれば簡単に寝返らせることができるという事でもあります』

「そう」


さて、あとは彼らの願いと彼らをどうするかである。

彼らの願いは元の暮らしに戻る事と近隣の部族に対抗できる力がほしいという事だ。前記した事は森をダンジョンに取り込めばすむ話だが、対抗しうる力を与えるという事は打って出る事も可能にするという事である、気がする。


・・・・これ以上はのぼせそうだ。そろそろ出るか・・。


~・~・~・~・~・~・~・~


『お嬢様、お食事の用意が整いました』


出てくるのを待っていたのだろう。風呂場の外の出入り口で頭を下げるマリアさん。出待ちされても困る物だ。というか一時間ぐらい入っていたとはいえそんなにすぐにご飯ってできる物なのか・・・いや、手の込んで無いものだったらすぐか。


「待たせてすまない。あ、彼らには」

『ギルバに運ばせました。彼らの作法にのっとった出し方をいたしましたので、苦も無く食べられたとギルバから報告されております』


何という手際の良さ。裏切られたら怖い気がする。

裏でへそくりをうまく隠していそうだ。


「そう、そうだ。相談したいことあるから先生とタマ、ギルバさんを呼んでおいて。すぐに食べるから」

『分かりました、少し失礼します』


そう言って二階の方へと・・・・さっきまで後ろに居たからわかんなかったけど・・・・消えていないけど足動かしているようには見えない。いや、足は動いているが地に足が付いていない。

あれだエプロンドレスだったか?

あの服が足元まで覆っていたら目立つ事は無かっただろうが、ふくらはぎの中ほどまでの丈であるがためにかなり目についてしまう。・・・・まぁ、誰かそれで攻撃してくる人が来る前にそこら辺を直すよう言い聞かす方向で考えよう。


さて、ご飯は・・キノコと何かの肉のソテーと果実で作ったのだろうか毒のようにも見える色合いのスープ、そしていつも食べているようなものとは違うカチカチな黒いパンがある。恐る恐る黒パンをスープに浸けて食べてみる。・・・まぁまぁかな・・・。こっちのソテーは・・こっちもまずまず?・・・美味しいけどなんか違う・・・まぁ、良いか。


「何用だ?」

「もご!〈モキュモキュ〉うぐ!・・・けほけほ・・」

「おいおい、ほら、飲め。まったく・・ゆっくり食べろ」


慌てて口に詰め込んでしまったために喉に詰まりかけたが、気合で飲み込む。そこに呆れたという感じの先生が水を出してくれた。それを受け取り一口。涙目で先生の言葉に頷くのであった。

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