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リナちゃんのダンジョン経営!  作者: 龍華
1章 目覚め ~ダンジョン初心の森 怒涛の三日間?~
15/117

15.厄介ごと、いらっしゃ~い!-4-

「どうかぁ村をお救いくだぁさぁ!」

聞き取りをしてから半日。窓から見える空はもう日が暮れて濃い紺色に染まりかけていた。しかし、部屋は昼とまではいかないが夕暮れぐらいの明るさを保っていた。それをなしているのが四方四隅に取り付けてあるライトである。この世界では魔法灯と呼ばれており光の魔法陣を書いた魔法石を組み込むことで光を作り出す装置らしい。その中、周りの変化を気にせず延々としゃべり続けたレムはやっと言葉を切ったのだった。それにしても、レムの忍耐力はすごいものがある。胡坐をかいて手を体の前の床に合わせて置きそのまま頭を下げた状態でその説明を続けたのだから。あと二人は時折腰を伸ばして慌てて頭を下げなおす事をかなりの回数していたのに。ちなみにその二人は体の横に拳を作って床に置き頭を下げていた。これは女性と男性のお辞儀の作法の違いなのだろう。さて、これにどうこたえるか・・。

「レムよ。話は分かった。私もあなたの願いをかなえてあげたい。しかし、私は何でもできるわけではないし、今すぐ何とかできるとは言い切れない。しばらく時間を頂けないだろうか?」

「へ!へぇ!」

「し!しばらくとはどれくらいでしょうか?」

今まで黙っていた二人の内の一人ジラムが声をあげる。それはそうだ。しばらくがそれこそ半年一年先だとしたら困るだろう。今まさに困っているんだから。

「そうだなぁ。五日待っていただこう」

「い・・いつか?それはどれくらいですか?」

困り果てた顔でジラムが聞いてきた。どうやら言葉が通じなかったようだ。数の概念が無いのか言い方が違うのか。そこら辺は後で考えるとして。

「今からこの指の数空が明るくなりあそこのように暗くなるまで。それまでには結論を出してお話ししよう。それまでここに居るといい。タマ、マリア、ギルバ、悪いが彼らと一緒にここで生活していただいても良いかな?」

「はい!わかったす!」

『承知いたしました』

「え~、は~い、分かったよ」

元気に答えるギルバさん、微笑みをたたえるマリアさん、そして不満そうなタマ。それぞれの返事に笑顔で頷き、私は席を立ち、そのまま階段の方へ行き。

「マリア少し話があるからすぐ来てくれ。タマ、敷布団と掛布団も好きに出していい」

「は~い」『はい?分かりました』

首をかしげるマリアさんと先生を引き連れ私は今度こそ店の方へと降りていったのだった。


~・~・~・~・~・~・~・~


「まず、マリアさんあなたの契約内容に二つぐらい条件を付けてもいいかな?」

『・・・なんでしょう』

「いやぁ、簡単じゃないかもしれないんだけど、一つこの屋敷内では人のように動くこと。一つ私の周りでは私が許可した時以外すり抜けや姿を消したり出てきたりするといった能力を使わないこと。なんだけどダメ?」

台所についてから振り返ってマリアさんにおねだりする。できるだけかわいらしく。胸の前で手を合わせて上目使いでちょっとだけ頭をかしげる。それだけで先生はう!と言って一歩下がったように見えた。

『そんな事ですか?』

どうやらそんな事と言うぐらいの事だったらしい。でも見てて私は困るのだからそんな事でもしてもらいたい。ので、頷く。

『分かりました。条件に加えてください』

「・・・・あなたの追加条件無いの?」

少しの沈黙の後、首をかしげるマリアさんに合わせて私も首をかしげて質問する。

『ありませんが?』

「なら、良いや。次にコア、マリアさんにここで取れる食べられる物、基本ゴブリンが食べる物のリスト出して」

『承知しました』

すぐに出てきたリストを見てまた首を傾げ

「今日の晩御飯作ってくれる?その中の材料とここにある物使っていいから。あ、これ塩でこれ砂糖ね。彼らの分も当然お願いね」

『え?あ、はい』

いろんなところを差しながら説明・・・というにはおこがましい説明をして最後に店の二階を差す。ちょっと驚くところだろうか?まぁ、いいけど。あとは・・。

「先生、今度は先生の部屋だけど。二階と地下どっちがいい?」

「どんな部屋だ?」

「地下は先生たちが出てきた場所ね。二階は私が書斎にしようと思ってた部屋」

「・・・・・・・二階にしよう」

「じゃ、案内するね」

そういって家の階段に向かう。戸惑った先生だったけれどあとからついてきたようだ。そのまま上がり切った所を曲がり階段脇の廊下の突当り、二つ並んだ扉の内大きく立派な扉を開けるとそこには大きく立派な机と椅子がこちらを向いてあり、周りは空だが作り付けの棚が壁全体を覆っていた。机の後ろの壁には小さな窓が2つ机を挟んでついている。脇の棚には一つからくりがあって一部の棚を押すと開き奥の書庫へと入れるようになっていた。

「こんな部屋だけど」

「・・・・・・・はぁ」

ポカンと書庫の真ん中でしている先生。そんなに珍しいのだろうか?

「・・・ここは何の部屋なんだ?」

「書庫のつもりだよ?本とか資料を一杯入れて必要な時に引っ張り出せるようにするための部屋」

「しょこ・・・ほん・・・」

・・・・なんだ?なんか嫌な予感?

「ち・・・ちなみに文字って分かる?」

「人を馬鹿にするな。岩に掘る物の事だろ」

「コア!この世界の紙とか羊皮紙といった物。または文字について!」

文字はあったがどう考えてもかなり昔の話をしている気がする。つまりこの時代にそういったものが無い可能性だって!

「冗談だ!本ぐらい知っている。紙なら使っているぞ。そんな本気で取るな」

『マスターまず羊皮紙はそれなりにまだ使用されておりますが、ある程度安価に作られている紙のほうがより多く使用されています。また、文字はその地域によって違います。この辺りではあまり普及しておりませんが、物の形より文字に転じた物が使われております』

出てきたのは漢字でした。うん。人の感性ってそんなに変わらないものなのかもしれない。

キッと先生を睨んでから私は素早く出ていって書庫を出て鍵を閉める。中からなら開けれるがそれは暗闇でも見える人じゃ無いとできないことだ。

〈ギィ〉

「たく、何をしようとしている」

どうやら暗闇でも見える人だったらしい。

「それじゃ、好きにして。私お風呂に入ってくるから」

ちょっとむくれ気味に言って部屋を出るのだった。

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