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人によってはラストの描写が残酷だと思う人もいるかもしれないので一応書いておきます。
ほんの少しですが、グロテスクありです。
ちなみにこちらの小説はPixivというサイトにも上げているものです。
パクリとかではありません。
“青い空、雲が白くて、日差しはまぶしい。
風はどことなく涼しくて、そよぐ木々はこぼれみでできた地面の柄をまた少しずつ変えていく。
日が傾いて、昼間のような暑さにも似た暖かさはなくなって、空はだんだん濃かった青から、薄い水色や淡いオレンジに姿を変えていく。
道路が湿っているようだ。
傘を振り回す小学生達が走っていく。
泥が跳ねてる。
車がすぐそばを通り過ぎていった。
また風が吹いて、泥水がはねた。
空はもう、淡い色ではなかった。
濃いオレンジで、赤にも近かった。
皆オレンジに包まれていた。
やがて空は紺色へと飲み込まれていく。
紫のグラデーションは美しく、やがて、星が瞬きだす。
今日も、星たちが瞬いて、人の頭上を照らしている。”
―――そんな世界を望んでいた。
星?空?太陽?本物を見ることのなくなった私たちの体は昔の人たちと同じものを見ることはできなくなってきている。
人が作り出した合成的な光ならいくらでも見れるし、皆もう、本物を見たいとも願わない。
みんなその光が本物だと信じて疑わないし、疑おうとすらしない。
空がどんなのかなんて、もうどうでもいいのだ。
人々はもう、地上には出れない。
自分たちが汚しすぎた大気のせいで、人類は住めない環境にまでしてしまった。
地下にもぐりこんだ人間達は開発の手を止めることなく現代に至り、地下であるはずの場所に空や太陽に似せた光が存在する。