第9話 君の名前は
『見晴らしの草原』を攻略して、忘れかけていた新入生代表トーナメントへのエントリーを行った。
それから忘れない内にもう一つ。
スケルトンナイトに『嘆きの墓地』の虹色宝箱からドロップした生前の血を合成する。
これを合成するのにセットで人類種のモンスターが必要となる。
それは、『見晴らしの草原』の銀色宝箱からドロップした下級合成チケットでエルフの魔石を交換した。
エルフ以外にもドワーフとか人類種モンスターの魔石は他にもあったけど、ブルーが少しウインドウに触れたら自動的に交換された。
まさかモンスターがウインドウに触れられるとは思わなかった。
知ってたらブルーが触れそうになる前に止めたのに……
エルフって魔法を使った遠距離攻撃が得意なモンスター。
どう考えてもスケルトンナイトとの相性が悪そう。
……ちなみにブルーは今、オレの腕の中にスッポリ収まってくつろいでる。
プルプル〜
はぁ、過ぎたことを嘆いても仕方ないし、早速スケルトンナイトに合成するか。
【スケルトンナイトと生前の血+エルフの魔石を合成しますか? はい いいえ】
もちろん「はい」を選択する。
生前の血とエルフの魔石が激しい光に包まれてスケルトンナイトに吸い込まれていく。
光が収まると目の前に再びウインドウが表示された。
【スケルトンナイトが特殊進化条件を満たしました。進化させますか? はい いいえ】
これってブルーがフレアスライムに進化した時と同じだ。
あの時、進化させてかなり強くなったよな。
もしかして、ブルーみたいに魔法適性を獲得して魔法が使えるようになったり……!
ここも「はい」を選択した。
スケルトンナイトが眩い光に包まれる。
光が収まるとそこにはプラチナブロンドの髪を腰まで伸びした綺麗な女性がいた。
「……え?」
「ようやく話せるようになりましたね、我が主よ」
「……は、話せるの!?」
「私みたいな人類種やそれに近いモンスターは話せますよ」
あ、そうだった。
まだ直接話せるモンスターを見たこと無かったから忘れてた。
プルプル〜
「ブルー、主を困らせてはいけませんよ」
プル!?
オレの腕の中でくつろいでいたブルーは颯爽と連れて行かれた。
正直、ちょっとだけ自業自得のような気がしたから助けて欲しそうにプルプルしてるブルーを放置して進化したスケルトンナイトのステータスを確認する。
名前:名前未設定 Lv1
種族:剣士
カテゴリー:人類種
HP:150→190(+10)
物理攻撃力:10→12(+1)
物理防御力:8→12(+1)
魔法攻撃力:0
魔法防御力:7
素早さ:9→12
SP:10→0
《スキル》
『閃撃Lv1→2』『魂葬Lv1→2』
『スラッシュLv1』new『スラストLv1』new
武器:骸骨騎士の剣
『物理攻撃力+1』
防具:骸骨騎士の盾
『物理防御力+1』
新しくスキルを二つ取得してる。
ステータス面は微妙というかちょっと下がってそうだけど、そこまで気にならない。
ただ、スケルトンナイトって騎士から剣士って進化なのかな?
なんか騎士の方が上のイメージある。
プルプル、プルプル
「……主は私の種族が騎士から剣士になったことに疑問を持たれていますか?」
「え、なんでわかるの?」
「ブルーが教えてくれました」
プルプル、プル
「……仕方ありません。主を困らせるようなことはしないでくださいね」
プル!
謎のやり取りで解放されたブルー。
真っ直ぐにオレの足元までやって来て、プルプル甘える。
よしよし。
足元で甘えるブルーを抱きかかえて、話を戻す。
「えっと、それでどういうことなの?」
「主が使われた生前の血の効果です。アンデッド系モンスターには生前の姿が存在します。あれはその時の姿に戻すもの。一緒に合成する人類種モンスターの強さ次第で進化先は変わりますが」
「へぇ、生前の姿なんてあったんだ。初めて知った」
「私の場合は、生前の姿が剣士だったということです」
でも、人類種モンスターの強さ次第で進化先が変わる。
それって、極論Lv100とかまで進化させて育成したモンスターとかを合成したら結果は変わったって話だよね。
……あ、それってエルフの魔石を合成したけど、それ自体は何も問題はなかったのか。
「少し複雑な話になるので、あまり気になさらない方がよろしいかと」
「うん、そうするよ。ありがとう」
これでスケルトンナイトの進化までは終わった。
ちょっと予想外の結果に終わったけど、まあいいでしょ。
こうして話ができるだけでもありがたい。
これからはブルーの通訳とかお願いできそう。
じゃあ、次は……
「名前を決めよう!」
「よろしいのですか?」
「うん。せっかく話せるようになったしね」
それに名前を与えることで更なる成長と進化の可能性が生まれるしね。
ただ、女性だからそれっぽい名前を考えないと。
予め考えていた名前ってどれもこれもカッコいい系なんだよな。
「あ、そうだ。何か名前の希望とかある?」
「ふふ、いえ、特にはありません。主のお好きな名前で」
一番困るけど、そうだよな。
自分の名前を考えるって何か複雑だよな。
ブルーの時はあっさりと決まったのにな。
こうシンプルで女性らしい名前って無いかな?
「……リーフィア。リーフィアとかどう?」
「リーフィア、ありがとうございます!その名に恥じぬよう頑張ります」
このままだと1体だけ仲間外れになっちゃうからウルフの名前も決めよう。
部屋の隅で毛繕いしてるウルフの元へ行く。
リーフィアは進化で色々想定外のことが起きたけど、こっちは大丈夫。
考えておいた名前が受け入れられたらだけど。
「ウルフ、君の名前ラグニアはどうかな?」
嬉しそうな顔で首を縦に振る。
どうやら気に入ってもらえたみたい。
ネット上でカッコいい名前を検索しまくった甲斐があったよ。
名前:ラグニア Lv1→10
種族:ウルフ
カテゴリー:一般種
HP:50
物理攻撃力:6→12
物理防御力:3
魔法攻撃力:0
魔法防御力:2
素早さ:12→15
SP:0→9→0
《スキル》
『体当たりLv1→2』『引っ掻くLv1→2』『噛み付くLv1→2』




