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第8話 『見晴らしの草原』

 Fランクに昇格した翌日、学校が終わってからオレは『見晴らしの草原』にやって来た。


 ダンジョンに入ってすぐウルフの群れを見つけた。


 スケルトンナイトが先陣を切って、正面から、ウルフは大きく回り込み、背後から突っ込む。

 狙ったわけじゃないけど、2体の素早さに差があったから、偶然タイミング良く挟撃する形になった。

 それで混戦状態に陥ったけど、ブルーが遠距離から攻撃して、1体ずつ確実に減らしていく。


 前衛が増えたことで、安定感が増した。

 ブルーに向かって来ようとすると、スケルトンナイトやウルフがその背後から攻撃できた。

 ただ、一つ大きな問題が浮かび上がった。


 ウルフの物理防御力が低すぎる。

 その分、HPも少ないから一撃でもくらうと致命傷になりかねない。

 現状、スケルトンナイト以外、バトル中にHPを回復させる手段がない。

 一応、バトル中じゃなければ、ポイントを使ってHPを回復させることはできるけど、一回フルまで回復させるのに5ポイントかかる。

 一回だけならいいけど、モンスターとバトルのたびに回復してたらポイントがすぐに枯渇しちゃう。


 うーん、ダメージを抑えるには、ヒット&アウェイしかないかな?


 ……うん、とりあえず、ウルフにはヒット&アウェイを心がけてもらうしかないか。



 それから何回かバトルを繰り返し、ウルフも少しずつ被ダメが減ってきた。

 そのおかげで最初よりもポイントを使ってHPを回復させるペースも減った。



 数日ここでLv上げを兼ねてバトルを繰り返したら、慣れてきたのか、攻撃を受けなくなった。


 そうして先に進むと見晴らしのいい草原の真ん中に石造りの重厚な扉がぽつんと立っていた。

 周囲には建物や壁などは一切ない。

 ただ扉だけが存在した。


 扉を開けると中は外と変わらない草原が広がっていた。

 奥には1体のウルフがこっちを睨み付けている。


「ウォォォォーーン!!」


 オレたちが一歩扉の中へと足を踏み入れると、遠吠えが響き渡った。

 その瞬間、次々と魔法陣が出現し、そこからウルフが5体 姿を現す。


 うん、ここまでは予想通り。

 ネットで見たボスの情報と全く同じだ。


『見晴らしの草原』のボスモンスターは、リーダーウルフ。

 単体では弱いという評価だけど、召喚した5体のホワイトウルフと連携して数の力で攻めてくる。

 他にもホワイトウルフは、回復魔法が使える。


 ボスが回復魔法を使うのは……って一瞬 思ったけど、正確にはボスの取り巻きのホワイトウルフが使うんだよな。

 それに『嘆きの墓地』のスケルトンナイトも似たようなことできたし……

 まあ、どれだけダメージ与えても回復されちゃうのは面倒だけど。


 プル、プル……


 ブルーもちょっと面倒に感じてそう。

 これからボス戦なのに、地面にべちゃりと広がって、まるでアイスが溶けてるみたい。


「ブルー、遠距離からスケルトンナイトとウルフの援護をお願いね」


 プル……


「ブルーにしかできないことだから。頼んだよ」


 ……プル!?プヨン、プルプル!!


 ブルーにしかできない。

 その言葉に反応した。

 やる気を出してくれて、どこか余裕すら感じられる。


「よし、いくよ!ブルー、リーダーウルフに『ファイアボール』!スケルトンナイトは前衛で防御主体に!ウルフは動き回りながらヒット&アウェイでスケルトンナイトのサポート!」


 プルプル?


 カチッ、コツッ……


 プル!


 ブルーとスケルトンナイトの間で何か会話?らしきやり取りがあった気がする。

 きっと、スケルトンナイトに誤射しないように軽く打ち合わせをしたとかかな?


 その証拠に上手く連携してる。

 スケルトンナイトが取り巻きのホワイトウルフとリーダーウルフを一時的に分断した。

 そこをすかさず、ブルーが『ファイアボール』で攻撃。

 更にリーダーウルフの側面へ回り込んだウルフが奇襲するも躱された。


 攻撃は当たりこそしなかったけど、リーダーウルフをホワイトウルフから完全に引き剥がすことに成功した。


 これでオレから見て右側にホワイトウルフ5体。

 左側にリーダーウルフがいる形になった。

 その間にはスケルトンナイトがいて、挟撃される形にはなっている。

 だけど、奇襲から即離脱したウルフとオレの足元にいるブルーが遠巻きに牽制してる分、状況は拮抗している。


「ブルー、リーダーウルフに近づいて!ウルフは作戦通りにスケルトンナイトと一緒にホワイトウルフの相手を!」


 オレの考えた作戦はシンプル。

 リーダーウルフと取り巻きのホワイトウルフを分断して各個撃破する。



 プルプル、プル


 ブルーがリーダーウルフへ接近するのを確認したスケルトンナイトは、ホワイトウルフの方を向く。

 ブルーへの信頼か、リーダーウルフに対して完全に背を向けていた。


「グルルッ!!」


 これをチャンスと捉えたのか、リーダーウルフはスケルトンナイトの背後から攻撃を試みた。

 それに呼応するかのようにホワイトウルフは正面から5体同時に突っ込む。


「ブルー、リーダーウルフに『フレイムアロー』!」


 プヨン、プヨン……プル!


 いつもならオレが指示を出したらすぐに行動してくれるけど、今回は違った。

 リーダーウルフに向かって行ってるけど、攻撃はしてくれなかった。

 一瞬、ブルーに指示が伝わってないのかと思ったけど、ものすごい事を考えてて、実際にそれをやってみせた。


 スケルトンナイトに向かってリーダーウルフが駆け抜ける際、両脚が一瞬だけ地面から浮いた瞬間があった。

 そこを『フレイムアロー』で狙い撃った。


 距離を詰めることで撃ってから当たるまでの時間を短くする。

 そうすることで確実に回避できない宙に浮いている所を攻撃した。


 本来ならここでホワイトウルフが回復させるけど、スケルトンナイトが集団の中心で大立ち回り。

 ウルフがヒット&アウェイで攻撃を繰り返すことで、リーダーウルフを回復させる余裕を与えない。


「ブルー、『フレイムアタック』!」


 リーダーウルフが体勢を立て直す前に追撃し、吹っ飛ばした。


 スキルが全てクールタイムに入ったことでブルーとリーダーウルフのバトルは戦局が一転……しなかった。


 ブルーが防戦一方だけど、リーダーウルフを完全に弄んでいた。

 プヨンとジャンプして攻撃を回避する。

 徹底してこれを繰り返していた。

 それによって、徐々にリーダーウルフの動きが単調になる。


 そこで敢えて距離を詰めさせて、クールタイムが明けた『ファイアボール』を放つ。


「グルッ!?」


 顔面に直撃し、リーダーウルフの動きが止まる。


「ウルフ、『体当たり』!ブルーは『フレイムアロー』!」


 ウルフはスケルトンナイトと一緒に取り巻きのホワイトウルフと戦っていた。

 残りが2体になったらブルーと合流してリーダーウルフと戦うと事前に決めていた。



 その後、取り巻きのホワイトウルフを全滅させたことでスケルトンナイトも合流する。

 そこで一斉攻撃を仕掛け、狂乱モードに突入したけど、ブルーの攻撃でリーダーウルフのHPはゼロになった。


 ボス部屋の中心には銀色に輝く宝箱が出現し、下級合成チケットが入ってた。

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