第76話 ついに
両拳に集約した炎を距離を取っていたリーフィアに向けて飛ぶ。
リーフィアが右にジャンプすると、マシンガン射撃のようにドンドンと撃ち出してくる。
狙いはリーフィア。
なら、ブルーとラグニアの攻撃が通る。
「ブルー、『鳴神』『サンダーボール』『サンダーアロー』!ラグニア、『シャインボール』『ホワイトレイ』」
リーフィアの回避行動の邪魔にならないようにそれぞれ両サイドから墓守の火炎騎士を挟むようにポジション取りをする。
これならどちらかの攻撃は確実に当たる。
そう思ったけど、左右から来る攻撃をそれぞれ右と左の拳で撃ち落とした。
この瞬間、リーフィアへの攻撃が止まった。
「リーフィア!!」
リーフィアは、なにも言わなくても理解してくれていた。
このタイミングで『闇閃撃』を放つ。
墓守の火炎騎士の意識はブルーとラグニアに傾きかけていた。
だけど、今のでリーフィアに戻った。
リーフィアに意識が向けば、ブルーとラグニアによる攻撃。
これを繰り返す。
「ブルー、『スカーレットアロー』『プロミネンス』『ファイアボール』!ラグニア、『ホワイトダイブ』『ホワイトクロー』!」
攻撃が始まると同時にリーフィアは間合いを詰めた。
目を凝らすと墓守の火炎騎士は両手で左右に炎のシールドらしきものを展開している。
ブルーの遠距離攻撃はあれで全て防がれていた。
しかし、その影に隠れてラグニアが接近に成功する。
それに気づいた墓守の火炎騎士は対処しようと行動に移そうとした。
その瞬間、リーフィアが『影渡り』で墓守の火炎騎士の背後に現れる。
槍を捨てた今、間合いの有利はリーフィアにある。
墓守の火炎騎士はリーフィアとラグニアの両方に対処するべく、炎で形作られた二本の腕を空中に出現させる。
墓守の火炎騎士の腕は四本になり、手数は倍になった。
空中に新たに出現した炎の腕でリーフィアとラグニアを牽制する。
リーフィアはそれを斬り裂くが、すぐ元通り。
ラグニアも初撃こそ躱したが、二撃目、三撃目は躱すことができなかった。
ラグニアが後ろ吹き飛ばされたことにより、挟撃は失敗。
そう思ったけど、どこからともなく現れたブルーがラグニアの代わりを務める。
あまりにも予想外の登場。
それでも、リーフィアとブルーは息ぴったりの攻撃で墓守の火炎騎士を追い詰める。
いい感じに攻撃が決まっていたけど、墓守の火炎騎士が全方位に炎を噴出する。
これを察知したリーフィアとブルーは距離を取っていた。
オレにはわからなかったけど、なにか予備動作があるのかもしれない。
さてと、ここからどうするか。
今のでブルーとリーフィアは全ての攻撃スキルを使った。
ラグニアに単独で挑んでもらって時間稼ぎ……
リーフィアとブルーが援護ができない状態。
厳しいかな。
うーん、でも、ここはラグニアに頑張ってもらおう!
「ラグニア、『ホワイトファング』!」
オレがラグニアに指示を出すと同時にリーフィアが動いた。
このおかげで墓守の火炎騎士の意識が分散した。
ラグニアだけに集中しきれてない。
墓守の火炎騎士はどちらに対処するか迷う素振りを見せる。
このタイミングでリーフィアが『挑発』を発動する。
これによってヘイトが完全にリーフィアへ向いた。
「ナイス、リーフィア!」
プルプル
気づいたらオレの足元にブルーがいた。
応援でもしてるのかな?
スキルのクールタイムが明けたら、すぐに援護に向かってもらうからね。
わかってる、ブルー?
プルプルプル、プルプル、プルプルプルプル
……あ、今はブルーじゃなくてリーフィアとラグニア。
炎の腕が墓守の火炎騎士から離れてリーフィアを攻撃している。
ラグニアはその間に背後に回り込んで攻撃を試みている。
だけど、近づくとリーフィアからラグニアにヘイトが向く。
離れるとリーフィアにヘイトが戻る。
オレの足元でプルプルしている子は相手にすらされてないのに。
「くっそ。ラグニアしか攻撃スキル使えないのに……」
でも、わかったことがある。
あの炎の腕は二本しか出せないのか。
普通、三本以上出せたら墓守の火炎騎士がもっと有利になる。
この考えが正しいなら、ブルーのスキルがクールタイムから明けると同時に勝負に出れる。
クールタイムが短いスキルならそろそろ時間……
ブルーもプルプルして気合いを入れている。
リーフィアとラグニアのHPがジリジリと削られている。
今はブルーのことが完全に意識の外って感じだな。
……やるなら今か。
「ブルー、『電光迅雷』!」
ここは敢えて正面から突っ込む。
今まで意識の外にいたブルーを意識させる。
これなら確実に墓守の火炎騎士の視界に入る。
それに『電光迅雷』を使ったブルーの速さは、ただの正面突撃でも普通なら決まる。
たぶん、近づいたことでブルーにヘイトが移る。
でも、リーフィアとラグニアがそうはさせない。
あの炎の腕はオート操作じゃなくて、恐らく手動操作。
炎の腕がブルーに狙いを定める。
その瞬間、リーフィアとラグニアが墓守の火炎騎士に向かって走り出す。
ここで決める。
「リーフィア、『闇閃撃』『影渡り』『魂葬』!ラグニア、『シャインボール』『シャインアロー』!」
ブルーの接近と同時にリーフィアが『影渡り』で墓守の火炎騎士の背後を取る。
同時に2体のモンスターが炎の腕を掻い潜って、接近する。
すると、二本の炎の腕は消えた。
代わりに墓守の火炎騎士の周囲に炎の障壁が現れた。
すぐにリーフィアは後ろへ跳ぶ。
ブルーは少しの間、出て来なかった。
数秒ほどして、燃えているブルーが炎の壁から出てきた。
炎の腕が消えた。
同時に他のスキルは使えないのか?
……さっき、全方位に炎を噴出した時ってどうだったかな?
やばい、そこまで見てなかった。
火属性に耐性のあるブルーでもダメージがある。
リーフィアもちょっと触れただけでダメージが大きい。
近づくのは無理か。
「ブルー、『鳴神』『サンダーボール』『サンダーアロー』『スカーレットアロー』『プロミネンス』『ファイアボール』『フレイムフォース』」
ブルーが使える魔法は全て使う。
これで墓守の火炎騎士を守る炎の障壁は消えて無くなった。
この時に備えてギリギリまで近づいていたリーフィアとラグニアが一気に畳み掛ける。
ラグニアが全てのスキルを使い、通常攻撃しかできなくなったところで再び炎の腕が現れる。
今度はラグニアを無視してリーフィアに二本の炎の腕が集中する。
まるでそれを予期していたか。
身を翻し、最小限の動きで墓守の火炎騎士を一刀両断。
リーフィアの渾身の一撃は墓守の火炎騎士のHPを削り切った。
オレはフランスに来て2週間とちょっと。
ようやく『王家の墓』第一エリア『火の墓守』を攻略した。




