第70話 先輩たちに相談
今は『闇の祭壇』第二層に挑戦している。
ここではゾンビが出現する。
『嘆きの墓地』でもゾンビとは戦ったけど、ここに出現するゾンビは根本から違う。
一番大きな違いは攻撃に闇属性が付与されていること。
ただ、それ以上に連携して来られるのが厄介だ。
リーフィアが装備している盾のリヴィングウェポンの『挑発』が全てのゾンビに作用するから余計に大変。
常夏の白黒祭が終わるまでに第二層を攻略するのはこのままのペースだと厳しいかな。
今日だけで進めたのはマッピングは全体の1割くらい。
やっぱり連携してくるゾンビを倒すのに時間がかかり過ぎる。
昨日、シグマさんから指摘されたオレの弱点。
それがなんなのか未だにわからない。
数で押されたら弱いとか?
それとも連携してくるモンスター相手に弱い?
いろいろ考えてはいるけど、どれもこれもピンとこない。
正直、ゲームを始めた頃に比べてかなり強くなった。
ブルーがいて、リーフィアがいて、ラグニアがいる。
個人的にはかなりバランスが良いと思っている。
それに運が良かっただけかもしれないけど、新入生代表トーナメント、タッグEトーナメントとベスト4。
ギルドマスター決定戦でもオリヴィアには負けたけど、新入生代表トーナメントで負けた莉菜には勝てた。
ホテルに戻ったオレは薫先輩に相談することにした。
困った時は相談しろと話をされたからたまにこうして相談に乗ってもらっている。
事前にメッセージ送って、部屋に来てくれと言われたので、薫先輩の部屋に向かう。
部屋の前に着いたらインターホンを押す。
すぐに薫先輩が出迎えくれた。
言われるままに部屋の中へと入って、ソファーに座る。
「で、今日はどうした?」
「ある人に言われたんです。弱点を克服するべき的なことを。でも、考えても全然わからなくて……」
「なるほどな……」
すごく考えこんでる。
ここまで親身になってくれる先輩が身近にいるってありがたいな。
ピンポーン、ピンポーン
「……ん?誰だろ、こんな時間に。悪い、鬼灯。ちょっとそこで待ってくれ」
「はい」
薫先輩がドアを開けてインターホンを押した人が誰か確認する。
薫先輩の体に隠れて誰が訪ねて来たのかわからなかったけど、声ですぐにわかった。
「薫くん、鬼灯くんが来てるって聞いたよ!私も交ぜて!!」
「琴音先輩、その情報どこで仕入れたんですか?」
「それは秘密!」
薫先輩はため息をつき、なにを言っても意味が無いと判断したのかすんなりと琴音先輩を部屋に迎え入れた。
「あ、いたいた〜。二人でなんの話してたの?」
オレは薫先輩にした話と全く同じことを琴音先輩にも伝えた。
話を聞いた瞬間、琴音先輩の雰囲気が激変する。
ちょっといや、かなりふわふわしていたけど、一気に引き締まった。
あと、オレの気のせいかもしれないけど、ほんの一瞬、琴音先輩が薫先輩となにか話したそうにしてたような。
たぶんオレの気のせいかな。
「うーん、あ、そうだ!薫くん、モンスター召喚しよ!鬼灯くんも。そっちの方がみんな交流が持てて楽しいでしょ?」
「え、あ、なるほど」
薫先輩が言われるがままにモンスターを召喚する。
すると、なにもしてないのにブルーも一緒に現れた。
今日はすぐに後を追うようにリーフィアも現れた。
理由はブルーを回収するため。
オレにプルプル、プルンと飛び込んで来たブルーだけど、空中でリーフィアがガシッとキャッチして連れて消えた。
それを見た薫先輩と琴音先輩が大爆笑。
うん、最近これが当たり前になりつつあるけど、普通は違うよね。
「はー、ごめんね。かなり面白い子だね。おいでシルヴィーユ」
一息ついてから琴音先輩と薫先輩はそれぞれモンスターを1体呼んだ。
それに呼応するかのように再びブルーが姿を現す。
後を追うようにリーフィアが現れ、すぐにブルーを捕まえる。
「主に迷惑をかけてはいけませんよ、ブルー」
プルプルプルプルプルプル、プルプルプル
「ブルー、ダメなものはダメです!」
ブルーとリーフィアが言い合い?をしているとシルヴィーユがブルーをリーフィアの手から奪う。
「へえ、鬼灯くん、ブルーすごいね。シルヴィーユが気に入るって珍しい。ブルーが可愛いと認められたね」
「琴音先輩のシルヴィーユは可愛いモンスターに目がないからな」
なるほど。
……えっと、それより、薫先輩のドランバードの方がちょっとヤバそうな雰囲気ありません?
今、リーフィアとすごく睨み合ってますよ。
これかなりヤバい感じじゃ……
「ほう、強いな。名は?」
「リーフィアと申します。貴方は?」
「失礼した。俺はドランバード」
どうやらリーフィアと薫先輩のドランバードと仲良くやれそうな感じだな。
よかった。
「……珍しいな。ドランバードが認めるなんて」
「うん、スゴすぎ!!」
「え?そうなんですか?」
「うんうん。やっぱ将来有望株だね」
ちょっとよくわからないけど、琴音先輩にそう言ってもらえるのは素直に嬉しいな。
「そんじゃあ話戻すけど、まず鬼灯のモンスターはDランクの上限Lv45に到達してるのか?」
「えっと、まだです」
「それならまずはLv上げだろ?弱点の克服云々はそれが終わってから考えればいい。強くなる余地がわかりやすくLvという形で残ってる。やれることをまずはやれ」
「うん、そうだね。これが既にLv上限に達してて何年もトーナメントで1回戦敗退とかだったら話は変わってくるけど、鬼灯くんは違うしね」
確かにその通りだ。
まだブルーたちのLvは上限に達していない。
……もしかして、オレ焦ってたのかな。
「あとリーフィアだっけ?人類種だよな?リヴィングウェポンは持ってるのか?」
「あ、はい。武器と防具両方ともリヴィングウェポンを装備してます」
「解放スキルは使えるのか?」
「それは……まだです」
「ならやっぱり今はLv上げじゃないかな?」
海夕のニュクスの『黒杖解放』みたいに使えたら確かに強いな。
こうして薫先輩と琴音先輩からはLv上げに専念すべきという話をされて、オレは薫先輩の部屋を後にした。
琴音先輩はなにか薫先輩に話があるとかで部屋に残った。




