第57話 ギルドマスター決定!そしてギルドの名は
「3勝1敗の蓮と莉菜がそれぞれギルドマスターとサブマスターは確定ですね」
「あとはどっちがギルドマスターかだな」
これどうやって決めるの?
バトルする前からこの可能性を考えていなかったわけじゃないけど……
こうなった時にどうやって決めるのか決めてない。
まあ、言い出しっぺの莉菜がギルドマスターだよね?
「ああ、それね。ちゃんと考えてあるわよ。同率1位で並んだ場合、直接対決の結果で決めようと思ってたけど、どう?」
え、直接対決の結果で決める?
つまり、そういうこと?
いや、そんなわけないよね、さすがに。
「なるほどな!それは名案!俺はそれでいいぞ」
「はい!!私もすごく良いアイデアだと思います!」
「うん、私もいいと思う」
え、ねえ、ちょっと待ってよ。
誰か嘘だと言って。冗談だと言って。
無理無理無理、絶対に無理!!
何でオレよりもすごいプレイヤーが勢揃いしてるのに!
「そういうわけで蓮、ギルドマスターよろしくね!私がサブマスターとして支えるから」
「蓮と莉菜の直接対決は蓮の勝利だからそうなるか。頑張れよ、蓮!俺も支えるからさ。主に広報は任せろ!」
「蓮、お願いしますね!私も頑張りますから!」
「よろしくね」
みんなにこう言われたら引き受ける以外の選択肢がないじゃん。
はあ、しょうがないか。
ブルーが張り切って頑張った結果だし。
「わかったよ。オレがギルドマスターになる。でも、ギルド名はみんなで考えてよね」
「それはもちろん、みんなで考えるわよ」
莉菜の言葉に郁斗とオリヴィア、海夕も頷いてくれてる。
よかった。
一人でギルド名を考えるとかじゃなくて。
「で、どうやってギルド名を決めるんだ?」
「こういうのは有名ギルドを参考にするのはどうでしょうか?」
有名ギルドか……
パッと思い浮かぶのは、やっぱり世界最強ギルドの呼び声高い"ディアボロス"。
12神のソフィアさんがギルドマスターをしてる"ソフィア海賊団"。
シグマさんの"プロフェッサー"。
日本だと"百鬼夜行"とか"二次元美少女愛好会"が有名だけど、どこをどう参考にしよう……
「確か日本では"クマさん愛好会"というギルドが有名だったと思いますが……」
「有名じゃないと思うけど。少なくとも私は今初めて聞いた」
海夕だけじゃなく、郁斗や莉菜もそれだけはないって否定してる。
オリヴィアはなんでそんなマイナーギルド知ってるのかな?
噂程度でそういう愛好家が集まるギルドがあるって知ってるけど、ギルド名までは聞いたことない。
「あ、そういえば最近できたギルドで話題になってるとこなかったっけ?」
いつだったか忘れたけど、モンスターニュースに掲載されてたんだよな。
なんか載ってる〜でスルーした覚えしかないけど。
「ああ、世界中から実力あるプレイヤーを集めてギルドを結成したってやつだな。実際は、欧州のプレイヤーしかいないみたいだけど」
莉菜たち女性陣は郁斗の話にかなり驚いてる。
どうやらモンスターニュースを見ていなかったみたい。
「……っていうか、郁斗なんか詳しいね」
モンスターニュースにそこまで書かれてた覚えがないんだよな。
オレがしっかり記事を読んでなかっただけかもしれないけど。
「ああ、それな。俺にも勧誘が来たからな。断ったけど」
「「「「え?」」」」
「あれ?俺、誰にも話してなかったっけ?」
「「「「聞いてない」」」」
もしかして、郁斗が莉菜からのギルド結成の話を保留にした理由って……
「その勧誘があった直後に莉菜からのギルド結成の話があってさ。マジで驚いた。はは~」
それ笑い事なんだ。
この先の人生を左右する決断と言っても過言じゃない気がするけど。
「断ってよかったの?」
「ん?もちろん!見ず知らずの他人と一緒にゲームしても楽しくないからな。確かギルド名は、リベリオンだったな。いつかギルドバトルすることになるかもな」
「リベリオン?あ、rebellionのことですね。確か日本語だと反逆という意味だったと思います」
随分と物騒なギルド名だね。
さすがに自分のギルド名がそれは嫌だな。
「それじゃあ、みんなの希望を聞きましょ!こういう感じの名前ってふわっとしてていいから」
みんなのギルド名のふわっとした希望を聞いて、まとめたらこうなった。
オレは中二病って感じがする名前じゃなければオッケー。
莉菜は強そうな名前。
オリヴィアは日本ぽい名前。
郁斗はシンプルで覚えやすい名前。
海夕は可愛くてかっこいい名前。
みんな見事に分かれる。
これら全てを満たす名前を思いつく気がしない。
どこかで妥協点を見つけないとな。
「この中でオリヴィアの日本ぽい名前から絞るのが無難かな」
「日本ぽい名前って具体的にはオリヴィアは何かある?」
「日本と言えば、妖怪や神社、お寿司に天ぷら……」
「オリヴィア、その辺でストップ。もう大丈夫だ」
「ん?」
ありがとう、郁斗。オリヴィアを止めてくれて。
妖怪と神社以外、全て食べ物って。
これ以上、危ない方向にいく前に止めてくれたのはホントに助かる。
口に出して言うことはできないけど。
「さすがに神社で絞るのは厳しいかな。妖怪だと"百鬼夜行"と名前が似ないようにしないとね」
「まあ、露骨に名前を似せなきゃ大丈夫だと思うけどな」
「似てないに越したこと無いわけだし、とりあえずはそこに気をつけて妖怪から絞りましょ」
でも、妖怪で絞るにしても数いるからな。
どの妖怪とか決めないとまともに決まりそうにないかな。
パッと思い浮かぶ妖怪って河童とか天狗に、妖狐。
でも、河童や天狗から連想されるギルド名か。
しかも中二病って感じがなく、かっこよくて且つかわいくて、シンプルで覚えやすい名前。
いや、無理でしょ。どう考えてもこの条件全てを満たすとか。
「お!これいける!」
「郁斗、何か良い名前が思いついたの?」
「もちろんだ。ギルド名問題はこれで解決だ!」
「「「「おおお~」」」」
「中二病って感じがなく、かっこよくて且つかわいくて、日本ぽく、シンプルで覚えやすい名前。この条件、全てを満たした名前は、"鬼姫"だ」
鬼姫。確かに全ての条件を満たしている気がする。
鬼も妖怪だからオリヴィアの言う日本ぽい名前とも合致する。
「ちょっと、郁斗。それ気づかれないと思った?」
「あ、やっぱりバレた?」
「まあ、私はいいけど、蓮はいいの?」
「うん、オレはこれでいいよ」
なんかヤバい意味でもあるのかな?
特に問題なさそうな気がするけど。
オリヴィアと海夕も賛成してるし。
「ギルド結成に必要な手続きはほとんど終わってるから後はギルドマスターとサブマスターの欄を埋めて、ギルド名を入力すれば完了っと!」
こうしてギルド鬼姫が結成された。
この時のオレはまだ知らなかった。
鬼姫という名前に隠された本当の意味を。
それを知ったのはみんなと別れて家に帰った後だった。
鬼姫の鬼は鬼灯から、姫は姫島から。
つまり、鬼姫というギルド名はギルドマスターとサブマスターの苗字の頭文字を取っている。




