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第5話 リベンジ

 ……負けた。

 手も足も出なかった。

 勝てると思ったのに――オレは見てることしかできなかった。



 もっと強くなりたい。次は絶対に勝ちたい。

 その為にも、ブルーを復活させないと。


 瀕死になったモンスターは1時間で自動的に復活する。

 1時間も待てない場合は10ポイント消費すれば即座に復活させられる。


 オレはここに来るまでに倒したゾンビたちの魔石をショップで売却した。

 それで貯まった10ポイントを使って、すぐにブルーを復活させる。

 復活したブルーはいつもより小さく(しお)れているように見えた。


「ブルー、もっと強くなってリベンジしよ」


 プルン!プルプル!


「今からこのダンジョンでGランクの上限Lv10になるまでLv上げだ」


 ブルーも少し元気を取り戻したみたい。


 オレとブルーはボス部屋の近くでゾンビの集団を相手にレベリングを行った。

『プチファイア』を使えば一撃でゾンビを倒せるようになったから『体当たり』は使わなくなっていたけど、これを機にLv上げをする。

 スケルトンナイトにリベンジする時、何かの役に立つかもしれない。


 それを2時間ほど行った結果、ブルーはLv10に到達した。



【ブルーがLv10に到達し、進化条件を満たしました。進化させますか? はい いいえ】


「え?」


 ……あ、そっか。

 すっかり忘れてたけど、Lv10で進化できるんだった。


 前回はLv3で特殊条件を満たして進化させたわけだし、Lv10での進化なら弱くなることはないか。

 チュートリアルでナビ子がそんなようなこと言ってたよな。


 よし、ブルー進化だ!


 前回同様に眩い光に包まれる。

 光が収まると、少しだけ赤みが増したブルーがいた。



 それから数時間、レベリングを続けて再びLv10に到達した。


 名前:ブルー Lv1→10

 種族:フレイムスライム

 カテゴリー:一般種

 HP:150→200

 物理攻撃力:6→10

 物理防御力:8→13

 魔法攻撃力:9→15

 魔法防御力:7

 素早さ:5→10

 SP:11→20→0


《スキル》

『体当たりLv2』→『フレイムアタックLv1→2』new


『プチファイアLv2』→『ファイアボールLv1→2』new

『フレイムアローLv1→2』new


『マジックシールドLv1』『火属性耐性Lv1』『物理耐性Lv1』new



 進化したことで『体当たり』が『フレイムアタック』に、『プチファイア』が『ファイアボール』に進化した。

 それに新しく『フレイムアロー』も取得した。


 Gランクのままだと、これ以上Lvが上がらないからここでスケルトンナイトにリベンジを挑む。

 ボス部屋に入ると、先ほどと同様に玉座に腰掛け、静かにこちらを睨みつけていた。


「ブルー、『ファイアボール』!」


 真っ直ぐスケルトンナイトに向けて火球を放つ。

 それを左手の盾で受け止める素振りを見せたが、それを下ろし、一歩横に逸れることで回避され、玉座に直撃した。


 今 盾で防ごうとしたよね?

 でも、回避したってことは当たりさえすれば、ダメージは与えられる!

 ……たぶん。

 もしそうなら、回避する余裕を奪えばいい。


「ブルー、距離を詰めて!」


 プルプル、プルン


 それと同時にスケルトンナイトもブルーに向かって来た。

 ブルーがスケルトンナイトの間合いに入った瞬間、剣が振り下ろされる。


「ブルー、左に回避!ガラ空きの胴体に『フレイムアタック』!」


 ゴスッ!


 炎を纏ったブルーの突進がスケルトンナイトの右脇腹に炸裂した。

 それにより、スケルトンナイトの足がよろめき、体勢を崩す。


「『フレイムアロー』!」


 そこにすかさず火矢を放ち、追撃する。


 これで全ての攻撃スキルがクールタイムに入ったからすぐさまブルーは後退する。


「いいよブルー。その調子!」


 ブルーが10メートルほど距離を取った所で止まったのを確認して、オレはスケルトンナイトの次の行動を観察する。


 それから少しの間、ブルー、スケルトンナイトと一切動かず、様子見し合っていた。

 それもあって、攻撃スキル全てクールタイムから明けたけど、なんでかスケルトンナイトがそれを待っていたように感じた。


 次の瞬間、スケルトンナイトの赤黒い眼光が鋭くブルーを睨みつけ、虚空を斬った。

 漆黒の斬撃がブルー目掛けて飛んでくる。


「……!!ブルー、躱して!」


 プルン、プヨ


 タイミングよくジャンプすることでスケルトンナイトの飛ぶ斬撃を躱す。


 この飛ぶ斬撃にさっきはやられたけど、二度はない。

 攻撃モーションじゃわからないけど、ある程度 距離を取った状態なら斬撃が放たれたのを見てからの回避でも間に合う――とネットの攻略サイトに書いてあった。


 それから距離を取ったままスケルトンナイトの出方を窺った。


 間合いを詰める素振りは一切見せず、短い間隔で飛ぶ斬撃を放つ。

 それを冷静にジャンプで躱し、『ファイアボール』や『フレイムアロー』で反撃する。

 その悉くを回避されるか、盾で防がれるかした。

 しかし、盾で防ぐ度に、着実にスケルトンナイトにダメージは蓄積していった。


 時折、ブルーはスケルトンナイトを挑発しようとしたのか、プルンプルンとその場で飛び跳ねたりもしていた。

 これが効いたのかはわからないけど、さっきからスケルトンナイトが一歩ずつ、ゆっくりとブルーに近づこうとしている。


 ここで後手に回りたくないな。

 なら、スケルトンナイトが動く前に先手を取るしかないか。


「ブルー、スケルトンナイトに正面から突っ込んで!」


 プル!


 オレの指示に何一つ迷いを見せず、正面から突っ込むブルー。

 それを静かに盾を前に構え、待ち受けるスケルトンナイト。



 タイミングが大事。

 スケルトンナイトが攻撃に移ろうとする瞬間を見極めろ。


 スケルトンナイトは、僅かに盾を後ろに引き、剣を下から上に振り上げる構えを取る。


「……今!ブルー、右に回り込んでから『フレイムアタック』!」


 防御から攻撃に切り替えるこの瞬間、盾を持っている右側に進路を変える。

 そうすることで、スケルトンナイトは盾が邪魔でブルーを上手く攻撃できない。

 だから、この攻撃は盾越しにはなるけど、決まる!


 そう思っていたけど、オレの考えは甘かった。


「……え、盾を手放した?」


 嘘、そんなのあり……?

 いや、ていうか、攻略サイトにもそんなの書いてなかった。


 スケルトンナイトは咄嗟に後ろへジャンプしながら左手に持つ盾を手放した。

 それにより、ブルーの攻撃は狙い通り盾には当たったが、スケルトンナイトにダメージは一切与えられていない。

 しかも、ブルーは盾が邪魔で動きが阻害されているけど、スケルトンナイトは違う。


 着地すると同時にすぐさまブルーの背後へ回り込み、剣を振り下ろす。

 これを寸前の所で回避に成功したブルーだったが、スケルトンナイトの猛攻に晒される。


「えっと……あ、そうだ。ブルー、スケルトンナイトの顔に『ファイアボール』!」


 プル、プルン、プル!


 攻撃を回避するだけでも大変だろうけど、この状況を脱するには顔に攻撃を当てて怯ませるしかない。


 ブルーは意趣返しのつもりか、スケルトンナイトが先ほどやったように後方へジャンプをし、空中で『ファイアボール』を顔へと放った。


『ファイアボール』が炸裂したことで顔周辺に火の粉が降り注ぎ、スケルトンナイトの足が止まる。


「『フレイムアロー』!」


 そこをすかさず、無防備なお腹に『フレイムアロー』で追撃する。


 この一撃でスケルトンナイトのHPは残り2割を切った。

 その瞬間、スケルトンナイトからドス黒いオーラが溢れ出る。


「ブルー、距離を取ってスケルトンナイトの動きに警戒して!」


 プル!



 狂乱モード。

 ダンジョンのボスモンスターは残りHP2割を下回ると強制的に突入する形態。

 この形態に突入すると、防御力が下がる代わりに攻撃力と素早さが大幅に上昇する。



 とりあえず、攻撃スキルのクールタイムが明けるまで距離を取って様子見……


 ガキィン!


 想像を遥かに超える速さでスケルトンナイトがブルーの正面に移動し、剣を振り下ろした。

 だが、寸前の所でブルーが反応して、回避したことで床に直撃。

 甲高い金属音がボス部屋に鳴り響き、火花が散った。


「ブルー、右に回り込んで!」


 オレは咄嗟にさっきと同じ指示を出した。


 今 スケルトンナイトは左手に盾を持っていないけど、右手で剣を振る以上、左手側に回り込むのは有効なはず。

 そう思ったのも束の間、スケルトンナイトは剣を左手に持ち替え、その流れでブルーを斬った。


「ブルー!?」


 みるみるブルーのHPが減っていき、残り1割を切ってもうダメだと思った。

 だけど、ギリギリの所で持ち堪えた。


 前回は一撃で倒された。

 今回は狂乱モードで攻撃力が上がってる中、ギリ耐えた。

 進化して『物理耐性』のスキルを獲得したことがここに活きてる。


 無情にもスケルトンナイトはブルーにトドメを刺すべく追撃する。


「ブルー、前!」


 ここで後ろに下がっても斬撃が飛んでくる。

 だから敢えて、臆すことなく前に突っ込むよう指示。

 余裕が無くて、"前"としか言えなかったけど、ブルーには伝わった。

 スケルトンナイトの股下をすり抜け、背後を取った。



 それと同時にスキルがクールタイムから明けた。


「『ファイアボール』『フレイムランス』!」


 スケルトンナイトが振り返るよりも早くブルーの攻撃が炸裂する。


「……っ!?『フレイムアタック』!」


 スケルトンナイトも振り返りつつ、背後へジャンプする。

 その最中、剣を振り下ろし、ブルー目掛けて斬撃を飛ばす。


「あ、やばっ!」


 最後の最後でやらかした。

 近距離で斬撃を飛ばしてくる可能性を失念してた。

 このままだと……


 プルン、プヨ、プルプル


 ドガッ!!


「……え、ブ、ブルー!?」


 この状況で冷静にジャンプして飛ぶ斬撃を躱し、『フレイムアタック』を決めた。

 そうして、スケルトンナイトはポリゴン片となって散る。

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