第43話 ギルドマスター決め
ピコン
……え、シグマさんからメッセージ!?
7月22日の月曜日、午後2時に白黒学園の貴賓室。
輝夜がその日時なら大丈夫らしい。
……え?
もしかして、本当に新垣さんにアポ取ってくれたの!?
冗談だと思ってた……
ていうか、新垣さんがオレと会ってくれる!?
それになんで場所が白黒学園の貴賓室?
一応、この日は終業式だから午後は空いてるけど。
あ、きっとあれだ。
新垣さんって白黒学園のOGだし、この日になにかしら来る用事があるとかでしょ!
うんうん。そのついでにオレと会ってくれるとかでしょ。
そう思うことにしよう。
気づいたら日課となっているブルーの甘えん坊タイム。
ここで一つ大事なことを思い出した。
莉菜からギルドを一緒に作らないかってお誘いの返事を保留にしたままだった。
あれって確かタッグEトーナメントの少し後の話だからあれから約1ヶ月半くらい経つかな。
夏までにって話だったけど、まだ間に合うか……
毎日のブルーの甘えん坊タイムやら期末テストやらレッドゴブリンへのリベンジやらで頭が一杯で忘れてた。
明日、教室で会った時に必ず話をしよう。
「莉菜、ギルドの件だけど、今いいかな?」
「……夏までって言ったのは私だけど、いくら何でも遅くない?郁斗も返事まだだし」
あ、やっぱり遅かったか。
すっかり忘れてて思い出したのが昨日なんて口が裂けても言えないな。
「オレも莉菜たちと一緒にギルドを作りたい!」
シグマさんと話していろいろと考えが変わった。
ゲームを最高に楽しむ為にギルドを結成した。
オレにゲームを楽しみつつ上を目指せと言ってくれた。
今のオレに莉菜の提案を断る理由がなかった。
この先、みんなと肩を並べて一緒にゲームできるかわからない。
正直、そこはめっちゃ不安……
だけど、それ以上にみんなと一緒にゲームしたいって気持ちが勝ってる。
「オッケー!これであとは郁斗だけね。」
あ、郁斗はまだなのか。
オレより遅い人がいて、ちょっとホッとした。
「ちなみに蓮はもうDランクになってるわよね?」
「うん、昨日ちょうどDランクに昇格したとこ」
「昨日?意外と苦戦したのね。『ゴブリンパニック』のボスってそんなに強いんだ。意外と情報少ないのよね」
「ボスってことはレッドゴブリンのこと?」
「あ、たぶんそれ!強い以外の情報が無いの。蓮がここまで苦戦したってことは噂以上に強そうね。今度私も挑戦しよっと!」
なんでかレッドゴブリンが可哀想に思えてきた。
エルナが空中から一方的に攻撃する展開が目に見える。
ほとんどの攻撃は躱されると思うけど、エルナには『ロックオン』があるからな。
「あ、郁斗。ちょうどいいとこに来た!ギルドを作る件、どうなの?」
「え?……ああ、それなら問題なし!オッケーだ」
今 変な間があった気がする。
もしかして郁斗、莉菜が言わなきゃ忘れてたんじゃ……
「うっかり忘れてたりしてないでしょうね?」
「いやあ、その、あれだ!」
あ、笑って誤魔化そうとした。
莉菜には通用しなかったみたいだけど。
なんか、こういうの見てると楽しくて笑えてくるな。
「あ、そうだ。莉菜、ギルド名とかギルドマスターって決まってるの?」
「何も決まってないわよ。私に考えがあるからオリヴィアと海夕を呼んで放課後に話しましょ」
放課後、オリヴィアと海夕をオレたちのクラスに呼んで莉菜が事の成り行きを説明した。
話の中でわかったことだけど、オレ以外の四人は1週間以上前にDランク昇格をしていた。
オリヴィアってカーラ以外のモンスターがいないって言ってたけど、カーラだけじゃ無理だよね?
どんなモンスターを仲間してダンジョンを攻略したのかな?
今度、時間ある時に聞いてみよ。
「だいたいこんな感じね。私たちはギルド名とギルドマスターとサブマスターを決めないといけない」
ギルドを作るのに必要な条件は、シンプル。
メンバーはDランクプレイヤーが最低五人。
オレたちみたいに人数さえクリアすれば、あとはギルドの名前とギルマス、サブマスを決めて、申請するだけ。
一応、ギルマス、サブマスは誰がやっても問題ないから誰でもいい。
やりたいかどうかは別問題だけど。
要は誰がギルドの名を背負い、矢面に立つかって話だ。
割とよく聞くのは一番強いプレイヤーがギルマスになるって話。
それなら莉菜がギルマスの筆頭候補なんだけどな。
新入生代表トーナメントで優勝してるし。
「私は一番強い人がギルマスになるべきだと思うの。ギルドの名を背負うわけだし。だから私たち五人で総当たりのバトルしない?」
「そこは新入生代表トーナメントで優勝した莉菜がギルマスじゃないんだ?」
「だってやりたくないし。それにもう数ヶ月前も前の話でしょ?今バトルしたら結果は変わるかもしれないじゃん!」
普段、大人っぽい莉菜が今だけすごい年下の子供に見えた。
「でも、これで莉菜がまた勝ったらどうするんだ?」
あ、郁斗それ聞くの?
オレもめっちゃ気になったけど、なんか聞いちゃいけない気がした。
「その時はおとなしく受け入れるわよ」
「オッケー。それでルールは新入生代表トーナメントと同じ?」
「せっかくDランクになったわけですし、2対2はどうでしょうか?」
「オリヴィア、それいいわね!」
オリヴィアの提案に莉菜をはじめみんな海夕と郁斗も賛成したからルールは2対2になった。
Dランクプレイヤーが出場するDトーナメントからバトルは2対2に変わる。
新入生代表トーナメントみたいに強いモンスター1体だけだと勝てない。
オレはブルー以外にリーフィアとラグニアがいるけど、オリヴィアは大丈夫なのかな?
オリヴィア以外の三人は2体目のモンスターも育成してるって前に聞いたけど、オリヴィアはまだ仲間にしてなかったはず。
まあ、オリヴィアが言い出しっぺだし、さすがに大丈夫か。
「2対2のバトルの総当りで勝率の一番高い人がギルマス。その次に高い人がサブマス。ギルド名はみんなで考える!これでいい?」
「はは、いいんじゃね?」
「はい!私もいいと思います!」
「私もそれでオッケーよ」
「うん、みんながいいならオレも大丈夫かな」
あとは総当たりのバトルをいつするか決めるだけかな。
さすがに今日、明日じゃないよね?
もうちょっと潜在解放したリーフィアたちのLv上げをしたいから1週間後くらいだと助かるな。
「じゃあ、バトルは1週間後とかでどう?場所は白黒スタジアム」
「え、白黒スタジアムって使えるたのか?」
「白黒学園の生徒ならいつでも予約すれば使えるの。使う人いないから基本的に予約は空いてるはずよ」
郁斗の疑問に海夕が答える。
海夕ってなんか委員長っぽい感じするよな。
なんかギルマスとか向いてそう。
「問題ないならこれで決まりね。1週間後の放課後、白黒スタジアムで総当たり戦!」
勝った人がギルマスか。
正直やりたくないけど、バトルに負けるのも嫌だな。
家に帰ってからブルーたちにこの話をしたらいつになくやる気になってる。
特にブルーが。きっとエルナにリベンジするチャンスだからかな。
◆◇◆◇
オレの知らない所で行われたブルーとリーフィアの会話。
プルプルプル、プルプル
「エルナにリベンジしたいんですね。そんなに負けたのが悔しかったのですか?」
プル、プルプルプルプル、プルン
「ふふ、思ったよりも理由が可愛いですね。エルナに勝って主に可愛がってもらいたいとは」
プル〜
「まったく、ブルーは甘えん坊さんですね」
プル!?プルプル
「わかりました。そういうことにしておきますね」
もちろんこの時もラグニアは知らぬ存ぜぬを貫いている。




