第25話 昇格への抜け道
「母さん、注文お願い!」
「はいはい、ちょっと待てね」
こうしてオレたちは各々、注文をした。
オリヴィアはもちろん、天ぷら。
オレは海鮮丼。
莉菜は麻婆豆腐。
郁斗はとんかつ定食。
ちなみに郁斗はとんかつ定食についてくる味噌汁をオリヴィアにあげる約束をしている。
あんな目をされたら郁斗じゃなくても断れないよな。
ちなみにブルーたちは隣の空いているテーブルで何か話してると思う。
ブルーはいつも通りプルプルしているだけだからちゃんと会話できてるのか心配。
エルナやカーラ、コン、アナスタシアの様子を見る感じだと、大丈夫そうだけど。
そういえば、みんながどんなモンスターを捕まえているのか知らないな。
「ふと気になったんだけど、四人はどんなモンスターを捕まえてるの?」
「ああ、それは確かに気になるな」
「あ、それ私も気になってた」
「そうね。折角だし、情報共有でもしますか」
どうやら郁斗と海夕も気になってるようで、莉菜も賛成のようで情報共有することになった。
「いいと思いますが、私はカーラしかいません。なので、あまりお伝えできることはありません」
え?どういうこと?
だってEランクに昇格するにはモンスターを3体捕まえる必要がある。
それなのに、カーラ1体だけ?
「ああ、なるほどな。まだ捕まえてないのか」
「一応、探してはいるのですが……」
「そこは自分のペースで良いと思うけど」
郁斗と海夕の話に全然ついていけない。
モンスターって3体いないとEランクに昇格できないんじゃ……
「あ、その感じ蓮は知らないのね。これちょっとした抜け道があるのよ」
抜け道?どういうこと?
ますます意味がわからなくなった。
「簡単に言うと適当にモンスター2体を捕まえる。そしたらモンスターが3体になってEランクに昇格する。その後、数合わせで捕まえたモンスターはショップで売却して終わり」
「つまり、Eランクに昇格した後に所有モンスターが3体を下回っても問題ないってこと。ほとんどのプレイヤーはやってると思うぞ」
「ですが、デメリットもあります。Eランクダンジョンでかなりの苦戦を強いられます。モンスター1体でクリアできる難易度ではないので、挑んでは負けてを繰り返してました」
オリヴィアとカーラですら単独でのEランクダンジョン攻略はできていない。
一緒に戦っている感じ、かなり余裕そうに見える。
あ、でも女王雀蜂戦は結構ヤバかった状況に陥ったこともあった。
あれは回復魔法が使えるブルーとエルナがいたからなんとかなったけど。
「Eランクダンジョンは最初の関門。私もエルナ以外だとモンスター1体しかいないから厳しいのよね」
「俺もコン以外だと1体しかいない。頑張って2体で攻略しようと思ってたけど、無理そうだし3体目を捕まえようか悩んでたらパーティーのお誘いがあったって感じ」
「私もアナスタシアともう1体だけね」
へえー、そんな感じなんだ。
「オレはもう3体捕まえてるよ。ブルー以外の2体はまだLvが低いけど」
その後、海夕に名前も与えたのか聞かれて、正直に答えた。
人類種の剣士にリーフィア、ホワイトウルフにラグニアという名前をつけた。
あと、武器だけリヴィングウェポンを持ってる。
「マジか!俺はコンにしか名前を与えてないわ」
「私は与えてるわよ。もう1体は人類種の人魚、名前はマリン」
「人魚に名前を与えたのかよ!?随分と思い切ったことしたな?」
「スライムほどではありませんが、人魚に名前を与えるのもかなり珍しいです!」
「人類種のモンスターは大器晩成型モンスター。ちゃんと育てれば強くなる。それこそ最強種の竜に匹敵するくらいに。これはゲームの運営が公認している情報だし、人類種のモンスターなら最初に名前を与える人もいるでしょ?」
海夕の言う通り、人類種のモンスターは最強種の竜に匹敵するくらいに強くなる可能性がある。
可能性の無いモンスターはいないかもしれないけど、人類種のモンスターは運営からのお墨付きがある。
ただ、人魚はちょっと特殊な人類種のモンスターだ。
上半身は人、下半身は魚という姿形故に地上エリアでの素早さにマイナス補正が掛かる。
具体的には実際の素早さステータスの10分の1まで下がる。
仮に素早さステータスが100だったとしても地上エリアでは10くらいの速さでしか動けない。
人魚が本来の力を発揮できるのは水中エリアだけ。
ただ、殆どのバトルが地上エリアで行われるので、人魚はかなり不遇なモンスターといえる。
「まあ人魚を強く育て上げた人がいないのは私も知ってるけど、やってみないとわからないでしょ?それで郁斗と海夕の2体目のモンスターは何なの?」
「俺はレイスだよ」
「レイスって幽霊みたいなモンスターのことよね?」
「郁斗もまた変わったモンスターを捕まえてますね」
レイスは一般種のアンデッド系モンスター。
でも、この辺りにレイスの出現するダンジョンは無い。
召喚石で召喚したのかな?
「まだFランクだった時に召喚石を4つくらいゲットして、それで召喚したんだよ」
「4つ?他のモンスターは召喚しなかったの?」
「……レイス以外だとドワーフとエルフ、それにフェアリーを召喚したよ。そんでレイスに合成した」
「え、なんでレイスに合成したの?ドワーフやエルフ、フェアリーの方がよかったんじゃない?」
「それがさ、寝ぼけながらステータスを確認してたら誤操作してレイスに合成しちゃってさ」
「そんな出鱈目に合成したら弱くなるんじゃ……」
このゲーム、出鱈目にモンスターを合成させると裏目に出ることが多い。
さすがに、そんな出鱈目な合成で強くなるとは思えない。
でも、レイスを手放していないってことは意外と強くなったのかな?
「俺もそう思ったんだけど、意外にも強くなってさ。まだLv上げの途中だからEランクダンジョンで戦えるほど強くはないけど」
「合成ってわからないものね……。海夕の2体目ってどんなモンスターってなに?」
「ああ、私の2体目は人類種の魔法使いよ。名前は」
魔法使いか。
リーフィアは剣士だから正反対のモンスターだな。
その後、オレたち五人は届いた料理を食べながらいろいろと情報交換をした。
その中でも一番気になるのはホワイトウルフの進化に関する情報だ。
人類種のモンスターと合成すると特殊進化をする可能性があるらしい。
詳しいことは誰も知らない感じだったけど、人狼みたいなモンスターになるって噂みたい。
ただ、これに関しては検証専門ギルド"プロフェッサー"がいろいろと検証を試みているけど、未だ成果はないらしい。




