第23話 『蟻の魔巣』
ブルーの出番がなかった。
まあ、パーティー組んでダンジョンに挑戦してるわけだし、仕方ないか。
奥に進めば軍隊蟻とのバトルがある。
そこまでいけばブルーの出番もあるでしょ。
そう思ってたけど、そんなことなかった。
『超加速』っていう新スキルを使ったアナスタシアがここでは大活躍。
効果は一定時間素早さのステータスを1.5倍にする。
圧倒的なスピードで軍隊蟻を翻弄しながら、攻撃をどんどん叩き込む。
そこにカーラが加わり、『霞連槍』でバッタバッタと倒していく。
その後も余裕の勝利が続いた。
それもあってエルナが射撃練習の的として使うようになった。
ブルーはオレに抱きしめられながらプルプルとエルナを応援?してる。
しかし、エルナは全然攻撃が当たっていなかった。
唯一当たっている攻撃はロックオンを使用した時のみで、ロックオンを使用せずに放った通常攻撃は全て外れている。
そうしてオレたちは順調に第二エリアの『蟻の魔巣』を進んで、遂にエリアボスの女王蟻に挑戦する。
女王蟻戦で最も警戒しないといけないのは定期的に眷属を召喚するところ。
第一エリアのエリアボス女王雀蜂は最初に取り巻きである眷属を相手にして全て倒せば、その後に追加で召喚されることはなかった。
女王蟻の場合、最初から5体の軍隊蟻が取り巻きでいる。
HPが5割を下回ったタイミングで10体、2割を下回ったタイミングで更に10体追加で召喚する。
放置し続ければ、最終的には25体の軍隊蟻をエリアボスの女王蟻と一緒に相手しないといけない。
普通なら苦戦必至だけど、カーラの『ナイトメア』などの全体攻撃スキルの存在が大きい。
昨日までは『ナイトメア』しか全体攻撃スキルが無かったけど、今は『スターフレイムショット』『鬼火』と二つも増えている。
だから何とか対応できると思う。
軽い打ち合わせを行なってからボス部屋に入ると、女王蟻と5体の軍隊蟻がいた。
まず、5体の軍隊蟻を倒して、女王蟻とのバトルに集中できる状況を作る。
「カーラ、『ダークウェーブ』!それから『ナイトメア』!」
「エルナ、『ロックオン』『スターフレイムショット』!」
「コン、『影分身』『鬼火』『陽炎』『蜃気楼』!」
5体の軍隊蟻はカーラ、エルナ、コンが一掃する。
全体攻撃である『スターフレイムショット』と『鬼火』が女王蟻にも当たり、意識がエルナたちに向く。
すぐさまブルーとアナスタシアが立ちはだかり、抑える。
「ブルー、『鳴神』!」
「アナスタシア、『超加速』『ソニックスラッシュ』!」
最初にブルーが女王蟻に挨拶代わりの落雷をお見舞いする。
それに怯むことなく、女王蟻はブルーに向かって一直線に向かってくる。
すれ違いざまにアナスタシアが女王蟻を斬る。
それにより、体勢を崩しながらもブルーに突っ込んで来る。
自分の意思というより、勢いそのままって感じだ。
「ブルー、『プロミネンスアタック』!」
炎をその身に纏い、迎え撃つブルー。
前肢を床に擦り付け勢いを殺し、跳び上がる。
それに対し、『プロミネンスアタック』で正面からぶつかるブルー。
傍から見ると女王蟻が炎を纏ったスライムを捕食しようとしているようだ。
これだけ見ると戦っているように見えないな……
「ブルー、そのまま『プロミネンス』を撃て!」
プル!
すると、女王蟻の口の中から煙が出てきた。
それと一緒にブルーも吐き捨てられる。
口の中に直接攻撃されるのはエリアボスといえど、嫌だったみたい。
「ブルー、『ファイアボール』『プチサンダー』!」
口から煙を吐く女王蟻に追撃をするも、風属性の魔法で相殺される。
「アナスタシア、『ソニックスラスト』『ライジングスラッシュ』!」
ブルーに意識が集中してるところを背後から突き、下から大剣を振り上げ、女王蟻の体勢を崩す。
よし、いい感じ。
ここまでブルーとアナスタシアが女王蟻の気を引けば。
「エルナ、『フレイムランス』『フレイムアロー』!」
「カーラ、『ダークボール』『ダークランス』『霞連槍』!」
「コン、『狐火』!」
ギュイィイイーーーーーー。
完全に決まった。
女王蟻の意識の外からの攻撃。
まさかここまで早く5体の軍隊蟻が倒されるとは思ってなかったのだろう。
エリアボス戦前に行った打ち合わせ通りに上手く決まった。
ここまで上手く決まるとは思ってなかったけど……
これで女王蟻はブルーとアナスタシアの2対1が、5対1に変わった。
まあ、軍隊蟻が召喚される度にブルーとアナスタシアは2体で女王蟻を相手にしないといけない。
カーラ、エルナ、コンで早々に軍隊蟻を倒して女王蟻に集中する。
これがベストという結論に至ったから。
次に軍隊蟻が召喚されるまでは、カーラを軸に攻める。
空を飛んで上から槍で一方的に攻撃する。
女王蟻は反撃しようにも体の構造上、自分の真上を飛んでいる敵に物理的に反撃ができない。
魔法での反撃はブルーとエルナが正面から撃ち合うことで防いでいる。
そうして、遂に女王蟻の残りHPが5割を切った。
魔法陣が出現して、軍隊蟻が10体召喚される。
もちろん、召喚された軍隊蟻はカーラ、エルナ、コンが最初と同様の方法で一掃した。
ただ、一つだけ大きな違いがある。
今回、『ナイトメア』の攻撃対象に軍隊蟻だけじゃなく、女王蟻も含まれている。
だから、ブルーとアナスタシアは無闇矢鱈に攻撃しない。
基本的にカーラたちの邪魔をさせないよう回避に専念している。
次に軍隊蟻を召喚するのは、残りHPが2割を下回った時。
今の『ナイトメア』で残り3割ほどまで削れている。
カーラたちの全体攻撃スキルがクールタイムから明けるまで極力 攻撃せずに回避に専念。
そうして、クールタイムが明けたところで一斉攻撃を仕掛ける。
女王蟻のHPが残り2割を切り、10体の軍隊蟻が召喚されるも、すぐさまカーラ、エルナ、コンが一掃する。
カーラたちの攻撃で女王蟻の残りHPは1割もない。
ここで一気に決める!
「アナスタシア、『超加速』『ソニックスラッシュ』『ソニックスラスト』『ダブルスラッシュ』『チャージスラッシュ』『ライジングスラッシュ』!」
「ブルー、『プチサンダー』『サンダーアロー』『鳴神』『ファイアボール』『フレイムアロー』『プロミネンス』!」
『超加速』を発動したアナスタシアが女王蟻を翻弄しつつ、着実に攻撃を当てていく。
そこに遠距離からブルーが魔法を叩き込む。
そうして女王蟻のHPは0になり、そこには銀色に輝く宝箱だけが残されていた。




