第11話 開幕
遂に今日、新入生代表トーナメントが開幕する。
今日は予選。通過できるのは十六人だけ。
出場者の人数はわからないけど、かなり狭き門だ。
「これより、第7回新入生代表トーナメントを開催することをここに宣言します!」
わぁぁぁぁぁぁ―――――――!!
学園長先生の開会の宣言とともにものすごい歓声が響く。
これはオレたち1年生にとっては入学して最初のイベント。
柄にもなく、超テンション上がってる!
今日は学園中にARフィールドが展開されていて、ARゴーグルを装着しなくてもゲームができる。
だから本来ならダンジョン外ではバトルできないけど、今日に限っては学園内の至る所で行われる予定。
これから行われる予選のルールはシンプル。
参加者は今から最大五回バトルを行う。
このバトルの勝率上位十六人が本戦であるトーナメントに出場できる。
ただし、早々に2敗した者から予選敗退となって、勝ち残り続けている参加者の人数が十六人になった瞬間、予選は終了。
オレの予選一試合目は理科準備室。
時間になると自動的にバトルが始まる。
【バトル START!】
「薙ぎ払え、ゴブリンキング!」
「出でよ、ブルー!」
対戦相手のモンスターはゴブリンキング。
ゴブリンよりも大きく、3メートルほどはあって、身の丈ほどの大斧を右手に持っている。
「赤いスライム?まあいい。ゴブリンキング、『ぶった切り』!」
「ブルー、『プロミネンス』!」
普通のスライムは魔法が使えないので、それは無いと判断したのかゴブリンキングは正面からブルーに突っ込んできた。
そこを待ち構えていたブルーのプロミネンスが直撃。
それで怯んだところをすかさず、『プチサンダー』で追撃する。
『プロミネンス』ほどじゃないけど、『プチサンダー』も効いてる。
このまま距離を取ったまま戦おう。
ゴブゥゥゥ――――――――――!!
突如、ゴブリンキングは雄叫びを上げると我を忘れたかのようにブルーに突撃してくる。
「待て!……ああ、クソ!またかよ」
「ブルー、近づけないで。『ファイアボール』『フレイムアロー』!」
ブルーの攻撃をものともせず、正面から突っ込んでくる。
このまま迎え撃ってもいいけど、オレの予想以上にゴブリンキングの攻撃力が高いと一撃で倒される可能性もある。
……よし、ここは無難にいこう。
「ブルー、ゴブリンキングの右側を取って」
ゴブリンキングは右手に斧を持ってる。
なら、斧を持っていない側でポジションを取り続ければ、こっちのペースで戦える。
そのまま何事もなくバトルは進み、最後は『プロミネンス』が左脇腹に直撃。
ゴブリンキングのHPは0になった。
【ゴブリンキング DOWN】
あっけない幕切れに終わったけど、今回は相手が相性が良かっただけ。
物理一辺倒で馬鹿正直に真正面から攻撃。
次の相手は、きっともっと手強いと思う。
続く予選二試合目はこの後すぐに第三体育館で行うと通知が届いた。
【バトル START!】
「出でよ、ブルー」
「来なさい、フェア。」
相手のモンスターはぱっと見だとフェアリー。
フェアリーは魔法攻撃に特化してて、物理攻撃は皆無。
さっきのゴブリンキングみたいに自分から突っ込んでくるは無い。
距離を取っての魔法を撃ち合いになりそうだけど、正面から撃ち合うとどうなるかわからない。
上手く相手を油断させることができたら……あ、これなら!
「フェア、『ウインドカッター』!」
「ブルー、躱して!」
プル!
「まだまだ。『ウインドボール』『ウインドランス』『ウインドアロー』!」
「ブルー、それも躱して!」
プル、プルン、プル!
「ああもう、ちょこまかと!フェア、クールタイムが明けるまで飛んで空中に退避して」
「今だ!ブルー、『プロミネンス』!」
完全に不意を突いたブルーの攻撃は上昇中のフェアに直撃。
その反動でフェアは地上に落ちる。
「……っ!?」
最初、ブルーには敢えて反撃せずに回避に専念させた。
そうすることでブルーの攻撃手段は距離を詰めての物理攻撃だけと誤認させる。
たぶん、モンスターニュースの新人部門で取り上げられた『嘆きの墓地』攻略の記事をこの人は見てる。
だから、ブルーを見ても油断してる素振りはない。
寧ろ、どこか警戒されてる気すらした。
「ブルー、ここで決める!『ファイアボール』『フレイムアロー』『プチサンダー』!距離を詰めて『プロミネンスアタック』!」
「フェア、止まっちゃダメ!直ぐ飛んで仕切り直して!……はやく!」
懸命にフェアへ指示を出すもブルーの方が速かった。
『ファイアボール』『プチサンダー』と直撃し、その上で『プロミネンスアタック』が完璧に決まった。
『プロミネンスアタック』のダメージが予想以上で、フェアのHPを半分以上削った。
その後、空中へと退避したフェアと魔法の撃ち合いになった。
全てを回避することはできず、何度か被弾した。
ただ、HPが半分を切る前に『プチヒール』で回復。
最後はブルーが魔法の打ち合いを制した。
【フェア DOWN】
続く予選三試合目は第5グラウンドで行われる。
【バトル START!】
「出でよ、ブルー」
「お願い、ハピリス」
頭は人間の女性だけど、それ以外は鳥ってことはハーピィか。
ハーピィは一応、人類種のモンスターだからリーフィアみたいにリヴィングウェポンを装備してる可能性もある。
もし、そうなら何か変わったスキルを使えるかもしれない。
そこは要注意かな。
あと、空を自由自在に飛べるとこは厄介かな。
「ハピリス、そのまま空中で待機」
……ああ、これ完全に警戒されてるな。
まあ、無理もないか。
今は予選三試合目。
2敗したら即敗退の形式上、最低でも1勝はしてないとここまで残れない。
スライムで少なくとも1勝してる。
オレが逆の立場だったら同じように警戒するな。
うん、どうしよ……
「ハピリス、『ウインドカッター』!」
「躱して!」
プル!
「……動きは遅くないけど、速くもない。普通かな。これで勝ち上がってきたってことは、何かある」
うわぁ、今のでブルーが普通のスライムじゃないって気づかれてる。
この人、ちょっとやりにくいな。
どちらも動かないことでバトルは膠着した。
その間にハピリスの『ウインドカッター』はクールタイムから明ける。
そして、それと同時に動いた。
「ハピリス、もう一回『ウインドカッター』!」
……きた!
ここで回避するとその先に攻撃が飛んでくる。
そんな気がする。
まだブルーの魔法は見せてない。
強力な魔法攻撃をしてくるモンスターと戦うことを意識して魔法防御力にSPをそこそこ割り振った。
ブルーならきっと耐えてくれる。
「ブルー、受け止めて!」
プル!
「……え!?」
「今、『プロミネンス』『ファイアボール』『プチサンダー』!それから『プチヒール』で回復」
ここは使える魔法全て使って攻撃といきたいけど、『フレイムアロー』だけ敢えて温存する。
ここで放ってもたぶん当たらない。
オレの予想通り、意表を突いたことで『プロミネンス』と『ファイアボール』は直撃した。
しかし、『プチサンダー』はギリギリの所で回避された。
ここは大丈夫。
一番ダメージが期待できない『プチサンダー』は躱される前提で放ってる。
『プロミネンス』と『ファイアボール』が当たったから問題ない。
「くっ、見誤った。まさか攻撃魔法だけじゃなくて、回復魔法まで使えるなんて……。でも、攻撃直後の今が攻め時。『ウインドボール』『ウインドアロー』『ウインドランス』!」
「ブルー、とにかく躱して!」
くっ、判断が速すぎる!
もうちょっとだけ考え込むとかないの!?
息つく間も無く、怒涛の攻め。
たぶん、使えるスキルは全部使って……いや、一つ残してる。
だって、実際にオレは『フレイムアロー』を温存した。
放っても躱されるだけと思ったからだけど。
相手も同じこと考えて確実に当てられるタイミングに放つ一撃を温存してる可能性はあるよな。
オレが思い浮かんだんだから相手も……
的確にブルーの回避先を読んで放たれる攻撃。
辛うじて『ウインドボール』は回避できた。
けど、『ウインドアロー』『ウインドランス』は回避できなかった。
「これで終わり。ハピリス、『ウインドジャベリン』!」
風の剣がブルー目掛けて放たれる。
残りHPは1割。当たれば確実に倒される。
そう、当たれば。
「ブルー、『マジックシールド』『フレイムアロー』!」
「はっ!?」
『ウインドジャベリン』を『マジックシールド』で防ぎ、返しの『フレイムアロー』がハピリスを貫く。
【ハピリス DOWN】




