第1話 初めての召喚
「さあ、白熱したバトル!世界最強のプレイヤー12神、その序列1位と2位のバトル!!どちらが勝利の栄光を手にするのか目が離せません!」
「ヴィレ、『天魔彗星』!」
「ドレイク、『イグニスセイバー』!」
ライオンの姿をした獣人型モンスターと2本の角と翼が生えた竜人型モンスター、この2体のモンスターが激しくぶつかり合う。
「かっけえ!」
オレはテレビで観たこの世界最高のバトルをきっかけに《Let's Monster Battle》をやりたいと思い始めた。
◆◇◆◇
高校生になったことで、ようやく《Let's Monster Battle》をプレイすることができる。
このゲームは、従来のゲームとは違う。
専用のスマホアプリとゲーム機本体の代わりとも呼べるゴーグルを装着することで、当たり前のように見えている現実世界がモンスターと共存する世界に様変わりする。
既にアプリはインストール済みで、ゴーグルとの同期も終わっている。
いつでも遊べる状態だ。
早速、ゴーグルを装着してゲームを起動すると、目の前にゲームでよく見るウインドウが出現した。
しかも、オレの部屋の中に浮かぶように出ている。
これがAR、拡張現実ってやつなのか。
……すごい!!
「《Let's Monster Battle》の世界へようこそ。私はチュートリアルを担当しますナビゲーターのナビ子です。短い時間ですが、よろしくお願いします」
空中に突如として、小さな光る球体が現れたと思うとパカン!と光が弾けて、そこから小さな掌サイズの妖精が姿を現した。
「このゲームはモンスターを仲間にして、自分だけのモンスターを育成できます。育成したモンスターは他のプレイヤーと戦わせるも、自分好みに育てるもあなた次第です」
育成の仕方って人によって全然違うんだよな。
その人の個性が出るっていうか……
個人的には、純粋に強さを追い求めてる人が多いイメージかな。
実際に実力者のバトルになるとテレビ中継が入るから。
他にも、モンスターのかっこよさや可愛さを競うコンテストとかもある。
「モンスターはLvが10の倍数になる、もしくは特殊な条件を満たした場合に進化させることができます。進化したモンスターはLvと割り振ったSP、ステータスポイントがリセットされます。ただし、スキルLvはリセットされません」
「そのSPって何ですか?」
「SPはプレイヤーがモンスターのステータスに自由に割り振ることができるポイントのことを示します。その為、途中から育成方針を物理特化からバランスや魔法特化に大きく変更することもできます」
なるほど。
物理特化育成から魔法特化育成に方針を変えることもできるのか。
他のゲームだと育成方針を真逆に転換するってなると、もう一回モンスターを仲間にして、育成し直しが多いイメージだから、なんか違和感あるな。
「また、進化させるかはプレイヤーの自由です。進化する=強くなる訳ではありません。進化したら逆に弱くなる。つまり、退化してしまうケースもあります」
え!?ちょっと待って!
それは酷くない?
普通にモンスターを育成して弱くなるのは……
「もちろん、普通に育成しても弱くなることはありません。一度進化させたら、次は前回の進化Lvを超えるLvで進化させれば、基本的に強くなります」
「……ん?基本的にってことは例外もあるの?」
「はい。合成というシステムを使った場合に生じる特殊進化は必ずしも強くなるとは言えません。これはモンスターの特性や特徴を一方のモンスターに合成することです。注意点は素材として使用されたモンスターは消滅し、失敗すれば目も当てられない結果になります」
目も当てられない。なんかどこかのネット掲示板で見たことあるような……
どこだったかな?
「一例を挙げますと、天使と悪魔を合成した結果、原人というモンスターが誕生します」
あ!そうそれ!
ネットで話題になってたやつ!
天使と悪魔って合成したら天魔になるんじゃね?って噂があって、実際に実験した人がいて、嘆いてた覚えがある。
原人は全ステータスオール1の最弱モンスター。
それに対して天使と悪魔は竜の次に強いとされるモンスター。
その2体を合成したら最弱の原人でしたは、オレだったらショックで寝込むかも。
実際、その実験をした人がその後どうしたかは知らない。
「それからプレイヤーにはランクがGからSまであります。ランクを上げる方法はヘルプに記載されているので、そちらをご確認ください。ゲームに関する簡単な説明は以上です。続いてあなたのプレイヤーネームを教えてください」
「あ、その前にモンスターを仲間にする方法を教えてもらってもいいですか?」
「モンスターを倒すと必ず魔石というアイテムをドロップします。それを使えば、召喚できます」
あ、そんな簡単なの!?
もっと、面倒というか、低確率でドロップするアイテムが必要になるのかと思ってた。
「プレイヤーネームをよろしいですか?」
「鬼灯蓮でお願いします」
「鬼灯蓮ですね。登録しました」
このゲームはちょっと特殊で本名をそのまま登録する人が多くて、オレもその一人。
トーナメントに出場するにはプレイヤーネームの登録を本名にしないといけなくて、本名以外だと出場できない。
別にトーナメントに出場しないなら、本名じゃなくていいじゃんと思うかもしれないけど、それだとプレイヤーランクが上がらない。
途中からプレイヤーランクを上げるのに、トーナメントでの実績が必要になる。
だから、自然とみんな本名を登録する。
ここだけ、気になって事前に調べていたから知ってる。
「次に最初のモンスターを召喚してみましょう。最初だけ特別に召喚石を一つプレゼントします。これでランダムにモンスターを召喚することができます」
遂にモンスターを召喚する……!
事前調べで当たり枠はわかっている。
竜や天使、悪魔は召喚できないと言われていて、恐竜モンスターが出れば、大当たり。
逆にゴブリンとかファンタジーの序盤で出てきそうなモンスターはハズレ枠。
『召喚石を使用しますか? はい いいえ』
目の前に突如として現れる選択肢。
ここで「いいえ」を押したらどうなるのか、気になるとこ。
たぶん再度 選択を迫られるだけだろうし、普通に「はい」を押す。
ウインドウは消えて、代わりに魔法陣が部屋の床に現われ、光り輝き始めた。
徐々に魔法陣の光が収まり、1体のモンスターが姿を現した。
プル、プルプル、プルン
水色の球体が揺れている。
謎の球体、こんなモンスターいたかな?
さっぱり、心当たりがない。
もしかして、レアなモンスターとかかな?
「おめでとうございます。無事にモンスターの召喚は成功しました。あなたの最初のモンスターはスライムです」
スライム?
スライムって原人の次に弱いモンスターだよね。
ネットでは、スライムが事実上の最弱モンスターって言われてる。
これスタートから最悪……
いや、このスライムをオレだけのオリジナルモンスターに育て上げるのはどうかな?
うん、それなら、面白そう!
よし、気を取り直してこのスライムと頑張ろう!
「これにてチュートリアルを終了します。最後にクリア報酬としてランダムスキルの書を一つプレゼントします。それではゲームをお楽しみください」




