後編
完ッ結ッ!!!!!
教務室を目指す新聞部員の増子 美貴と無事だった生徒達はパンスト寄生体に寄生された生徒達の妨害を蹴散らしながら突き進んでいた。
一行は順調に教務室に向かって進んでいたが、段々と格闘技系の部室が増えてきた事に気付く。それに比例して、遭遇するパンスト達の身体能力も上がり始めていた。
科学部部長が分析して言う。
「やはり宿主の戦闘力が上がるとパンスト達も手強くなるねぇ……とはいえ、寄生先の身体能力だけで迫ってきているからまだ良いが……」
「違うッ! 下手だが技の真似事をする個体も現れているぞォッ!!『不味いねぇ……』急ぐんだッ!!」
中国武術探求会会長が部長に警告する。冷や汗を掻きながら部長は警戒を強める。
そして会長の言う通り、段々と寄生先の生徒の記憶から技や技術を分析、模倣して美貴達に繰り出す個体が増えてきた。
その再現力は徐々に向上しており、目的地に近づくにつれて一行は徐々に進軍速度が落ち始めていた。
「急がなければァッ!」
レスリングパンストに先手でタックルを決めつつ焦る風紀委員長、盾を構えて後方からの守りに徹している洋式剣道同好会の女騎士の一人が一同に言う。
「騒ぎに気付いたパンスト共が増えてきている! 急げ! 私達だけで抑え込むのにも限度がある!」
「後少しだァッ! ホォァッ!!」
天井から迫ってきたアサシンパンストを掌底打ちで迎撃しながら会長は一行を落ち着かせる。
こうして美貴達突入チームは教務室へ急行する。
美貴達がパンスト達に手こずり始めた頃、人間心理探求会のリーダーこと”姐さん”率いる陽動チームはパンスト達の注意を引くことに徹していた。
ドSメイドを背負っているドMイケメン達は、その長身を生かした蹴り技を繰り出す。そして姐さん率いるドSメイド達はイケメン達の背からパンスト達に鞭で攻撃をし、時に赤ろうそくをドMイケメン達に垂らして彼らを回復させたりとしながら、なるべく教務室方面からパンスト達を引き離そうとし続けている。
とはいえと姐さんは心の中で考えていた。
「(いくらドM豚共といえど限界はある……まだ大丈夫だろうけどいつまで持つか……んッ? あれは……)紅ちゃん?! 外の様子はどうだいッ?!」
何かに気がついた姐さんが帰宅部エースの”紅ちゃん”に連絡を取る。
「帰宅最高ッ帰宅最高ッ帰宅最高ゥッ!! YEEEEEEEEEEEEEE!!!! んッ?! もしもし?!『今どこだい?!』校門前!『なら西校舎方面を見ておくれ?!』何? あっ!『やっぱりかい?!』うん!『アタシが突入チームに知らせる! アンタはそのまま続けてな!』分かった! お願いっ!」
直ぐに部長の無線機に連絡を入れた姐さんは叫んだ。
「気を付けな! そっちに向かって陸上部パンスト、特に短距離系の奴らが大急ぎで向かってる! それに少し遅れて長距離の奴らも続いている!『ッッ! 分かった、皆聞こえたねぇっ?! 急ぐんだッ!』頼んだよ……」
通信を切った姐さんは仲間達に発破をかけた。
「さぁッ! アンタ達! まだまだ暴れるよォッ!!」
「「「「はいっ!」」」」「「「「「ブヒヒィッ!」」」」」
その頃、姐さんの連絡を受けた突入チームは多少の被弾を受けつつ、強引に進軍を続ける。
息を切らしながら委員長が言う。
「もう少しだァッ! 後少しで! なッッ?!」
一行の前に巨大な壁が立ち塞がった。
思わず足を止めてしまった一行だったが、その正体に気が付いた美貴が叫ぶ。
「相撲部?! しかも三人纏めてですかッ?!」
横一列に並んだ学園の相撲部、しかもエース級の実力の三人がパンストに寄生された状態で並び立っていた。
腰を落とす相撲パンスト、狙いに気付いた中国武術探求会の会長が叫ぶ。
「来るぞォッ?!」
ぶちかましを美貴達目掛けて決めてくる相撲パンスト達、会長はそれに対して鉄山靠で迎え打つ。直ぐに委員長、美貴、科学部部長も彼の援護に動く。
「「「「ぐぬぬぅうぬんぬぬぬぅぅうっっっっっ!!」」」」
最初は拮抗しているかと思われたが、相手は押し合いのプロ、徐々に美貴達の方が押され初めて来た。
後方で迫るパンスト達の数も騒ぎでどんどんと増してくる。女騎士達はその数の多さに盾で抑え込むことに限度が出てきた。モーニングスターやハルバードなど各自の得物でぶちのめす方針に切り替えて、女騎士達は防衛を始める。
そして何かに気が付いた女騎士の一人が美貴達に警告する。
「短距離パンストが来るッ!」
その警告の直ぐ後に大量の走る足音が相撲パンスト達の後方から響いてくる。美貴が思わず音のする方に目を向けると、かなりの速さで短距離パンスト達が迫って来ているのが見えてしまい思わず吠える。
「このままじゃあッ?!」
残り五十メートル。
「踏ん張れェッ!」
委員長が鼓舞し、美貴達は踏ん張る。
残り二十五メートル。
「くぅううゥゥッッッッ?!」
押し返せない。
残り十メートル。
はっきりと短距離パンスト達の姿が、そして後方から長距離パンスト達が迫ってきているのが見えてきた。まだ足掻く委員長と会長の姿を横目に自分達の敗北を悟ってしまう美貴。
しかし、突如として美貴達の背後から銃声が鳴り響いた。
倒れ伏す相撲パンスト達、驚きつつ銃声がした後方を振り返る美貴と委員長と会長に、銃口から白煙を上らせている拳銃二丁を両手で構えていた女騎士の一人が言った。
「急いで迎え打てッ!」
その言葉に直ぐに迫るパンスト達の迎撃に入った三人はどうにか短距離パンスト、そして遅れてきた長距離パンストの撃破に成功した。
「本当に殺すバカがいるかッ?!」
直ぐさま、委員長が怒りながら相撲パンスト達の元に向かうと、彼らは寝ているだけだった。ほっとする美貴と会長。
それから教務室に走り出した美貴達、走りながら美貴は拳銃を持っていた女騎士に尋ねる。
「なんでそんな物騒な物持っているんですかァッ?!」
涼しい顔で女騎士は答える。
「いや……部長がいざという時に使えって私達に、やはり時代は銃だな、銃は剣よりも強し……ンッ~~名言だな、これは『騎士として良いんですか?! それでッ?!』ん? 勝てば何でも良いんだ『ヒェッ?!』」
それぞれが取り出した拳銃をうっとりと眺める女騎士達、思考が野蛮すぎて恐怖する美貴、部長が言い訳がましく言う。
「心配しなくても殺傷性は無いよ? あくまでゴム弾に眠たくなるお薬が混ぜ込んでいるだけだから……」
「アトデ……シバク……」
殺意の波動を滲ませながら委員長がそうつぶやく。
「新手だッ!」
会長が警告すると女騎士達はためらいも無く、目の前のパンスト達に発砲を始める。思わぬ飛び道具にパンスト達は次々と無力化されていく。
拳銃のお陰でどうにか教務室前に一行は到着した。
「チッ……もう弾切れか……使えんな……」
拳銃を雑にポイ捨てする女騎士達、そして盾を構え始める。雑な扱いを受けた拳銃を見て部長は少しへこんだ。その様子を見つめている美貴。
「扉が閉じているな……」
委員長がそうつぶやくと引き戸に手をかける。そして美貴達に言う。
「女騎士達は出入り口の死守を頼む! パンスト共を入れさせないでくれ!『分かった! 殺す!』殺すなバカッ! 防衛だけで十分だ! 残りは突入、鍵の入手を最優先だ、いいなッ?!」
「はいッ!」「分かったよ」「よかろう……」
答える美貴、部長、会長。委員長は一気に開けた。
「なっ?!」「なんとッ!」「これはこれは……」「わァ……ぁあ……」
内部の光景に驚く一行、机が乱雑に倒されている中で教師陣が陣形を組んで待ち構えていた。
部長が興味深げに言う。
「急速に知能を増しているねぇ……それに陽動チームにでは無く僕等に向かってきた陸上パンストもいたんだ、恐らく指揮している個体がいるね」
「しかも寄生先はどんな生徒達も涼しい顔で取り締まる教師陣……厄介だな……」
会長がそう答えると委員長が言った。
「見ろッ! あの陣の奥を! あそこの壁に鍵が下げられているッ! 校舎設備のコントロール装置もそこに!」
美貴が答える。
「でもッ! この陣形をどう突破するんですかァッ?!『それはッ?!』」
「早く行けェッ! いつまでも抑えられんッ! ぶっ殺すぞッ!」
女騎士の焦り声が真後ろから聞こえてくる。
それに更に焦る美貴と委員長、何かを閃いた様子の部長が会長に耳打ちをする。
「頼めるかい?」
「一向に構わんッッ! 御免ッ!『キャッ! 何するんですかァッ?!』破ァッ!」
いきなり会長は美貴を肩に担ぐ。
そして陣の最奥、鍵のある場所までやり投げのように彼女を投擲した。
「ピャアアアアァァッッッッッッ!!」「僕も動くよ!」
放物線を描きながら飛ぶ美貴、それを追うように部長もパワードスーツからワイヤーアンカーを天井に射出してターザンの様に移動し始める。
会長と部長の思わぬ行動と手の届かない空中での出来事にパンスト達は動きを一瞬止められてしまう。
しかし、その一瞬で十分だった。
「はぁぁアアアッ!」
どうにか鍵のぶら下がっている壁に貼り付けた美貴、そのまま真っ直ぐ落ちながら鍵の回収に成功した。
「美貴くんッ!」
そして真上に到着していた部長がスーツのマジックハンドを伸ばして彼女の回収に成功、そのままターザン移動で会長と委員長の下に戻った。
「無事かッ?!」
心配する委員長、会長は大きなたんこぶのついた頭を下げている。
「ビックリしました! もう!『御免ッ!』いいですから! とにかく今は!」
「ではこのまま僕等は地下に、君らはここの制圧を」
「分かった! 頼んだぞ!『はいッ!』」
こうして美貴と部長は教務室を後にして、ターザン移動を続けて地下室の扉を目指す。
二人を見送った委員長と会長は追おうとする教師パンスト達を睨み付けながら身構え、二人揃って叫んだ。
「「来いッ!!」」
二人の戦いが始まった。
教務室からの大きな戦闘音を背中に受けながら、パワードスーツで移動する部長と脇に抱えられている美貴。
美貴が言う。
「あそこッ! あれが地下への入り口ですよねッ?!」
「あぁ……そうだねぇ……着地する、気を付けて『はい』よぅっと……」
天井から扉の前に飛び降りた二人、すると部長はいきなり毒の入ったボトルを美貴に押しつけながら言った。
「悪いがここから先は君が行ってくれ『なんでッ!? ッ?!』そういうことさ。ホラ、早くッ!『わ、分かりましたッ!』頼んだよ……」
鍵を使い、地下へ突入する美貴を見送ると部長は振り返る。
そこには大量のパンスト生徒達が佇んでいた。
首をほぐしながら部長は言う。
「僕等の狙いを阻む気だね? 君達の指揮官には非常に興味があるが仕方ないか……相撲部、空手部、ボクシング部、剣道部にエトセトラ……バラエティに富んだ相手だねぇ……あぁ、わくわくするねぇ! 自分の発明がどこまで通用するかッ! こんな実験なんて滅多に出来ないよォッ! 気持ちが上がるゥッ! これが闘志というヤツかなァ?!」
ねちっこい笑顔でくるくると回りながらテンションがブチ上がっている部長、その様子を見つめるパンスト達。
「ふぅ……」
しかし突如として回転と笑顔が止まる。
そして真っ直ぐにパンスト達を見つめると、獰猛な笑みを浮かべて言った。
「さぁ……実験を始めようかァ……闘志を燃やしてブッ潰すッ!!」
パワードスーツの各所からスチームが噴射され、モーターが唸る。そしてパンスト達に襲い掛かった。
「ハァッ! ハァッ! ハァッ! あれかッ!」
激しい戦闘音と部長の常軌を逸したような高笑いが響いてくる中、美貴は息を切らしながら奥の貯水槽を目指す。
体力を振り絞りながら速度を上げて駆けようとする美貴。
しかし何かが三体、ヌッと姿を現した。
「なッ?! 用務員さんまでッ?! それでもッ! ごめんなさいッ!!」
美貴に立ち塞がったのはゴリラの様な屈強な身体を持つ、学園の用務員さん達三人だった。もちろんパンストに寄生されており、美貴の行動を阻もうと雄叫びを上げながら縦一列に並んで襲い掛かる。
それに対して、美貴は詫びながら殺る気スイッチを入れて動き出した。
「ットォッ☆ ォラァッ♡」
先頭の用務員パンストが殴ろうと拳を突き出してきた。その腕を足場に美貴は駆け上がり、顔面にニーキックを叩き込む。思わず後ろに倒れ込もうとするパンスト。倒れ始めているパンストの肩を足場にして飛び進む美貴。
「ヌゥンッ♪」
後方から続いていたパンスト達が先頭を避けようと一瞬だけ進行が止められてしまう。その隙に二番目に続いていたパンストの顔面真正面に到達した美貴は、そのままフランケンシュタイナーをカマし、頭部を地面に叩き付けて気絶させる。
「ドラァッ★ オラァッ♫」
立ち上がろうとする美貴の前に三体目と顔を押さえている先頭パンストが襲い掛かる。
美貴は直ぐに懐から女騎士達が投げ捨てた拳銃を取り出し、銃身部分を掴んで先頭パンストの股間に勢いよく投げつけた。
顔のダメージが抜けておらず、視界不良だった先頭パンストにそれは命中し、泡を吹いて気絶する。
それに気が取られた三体目のパンストの顔面にも新たに取り出した拳銃を投げつける美貴、見事に命中させる。
「シャァァッッッッ♥」
思わずひるんだその隙に美貴は三体目の真後ろに回り込み、ジャーマンスープレックスを叩き込んだ。
「はあッ……はあっ……」
息を切らす美貴、鈍器代わりに拳銃をパクっておいて良かったと安堵しつつ、パンスト達の無力化を確認してからヨロヨロと立ち上がる。
そして貯水槽に足を進めた。
その頃、教務室では戦いが続いていた。
美貴達が地下に向かってから、ある程度の数のパンスト達を無力化し、教務室の制圧を目指していた委員長と会長。
しかし、多対一かつ戦闘力の高い相手ということもあり、かなり消耗させられていた。
「覇ァァアアッ!!」「フゥッ!!!」
低く身を屈ませてから放った回し蹴りで教師パンストに足払いをする会長、回転が止まった彼の背を駆け上がった委員長は正面のパンスト達に跳び蹴りを決めた。
「クッ?!」
しかし、パンスト達はスクラムの様に密接に組み合い、跳び蹴りの威力を分散させながら受け止める。
足を捕まれて焦る委員長。
会長は身を低めて駆け出しながら、掴んでいるパンストの手元に木製ナイフを投げつけて手を離れさせる。
「助かったッ!『構わんッッ♥』」
礼を言いながら着地した委員長は、照れ顔の会長を横目に、転がっていたイスを正面のパンスト達に投げつける。
「ラァッ!!! もう少しッ!!」
それを目くらましに急接近、その勢いを利用して旋風ソバットを見舞い、蹴散らす。そして目的のコントロール装置が見えてきた。
「来いッ!!」
会長が足の裏を斜め上方向に向けた姿勢で仰向けになっていた。
「ッ! 分かったッ!!」
意図を察した委員長が会長の足裏に飛び乗る。
「覇ァァァッ!!!!!」
会長は全力で蹴り上げた。スカイラ〇ハリケーンその物だった。
美貴が投擲された時以上の速度で射出される委員長。
美貴の時のようにはさせまいと、ラグビーのリフティングのように仲間を持ち上げて抑え込もうとするパンスト達。
それに対して、会長は取り出した流星錘を土台のパンスト達のすねに振るい打つ。
余りの痛みに倒れ伏す土台パンスト、そして上にいたパンスト達も落下してしまう。その無防備の隙を会長は見逃さずに攻撃を急所に叩き込みながら無力化、そのまま陣を突き進む。
そして陣の最奥、目的の装置の前かつパンスト達の真後ろに着地できた委員長は、パンスト達の背後から急襲を始めた。
「よしッ!! このままッ!『聞こえますかッ!!! こちらは完了しましたッ!!!』美貴君かッ?!」
美貴から通信が入る。それに気を一瞬取られてしまう委員長、死に物狂いのパンスト達はそれを見逃さなかった。一斉に全てのパンスト達が飛びかかった。
「いかんッ!! 破アアアァァァッ!!!!!!」
会長が猛攻撃を受けつつも強引に突破して、到達前する前に彼女の正面で庇い立つ。
「しまッ……なッ?! 会長ッ!!!」
大量のパンスト達の山で会長の姿が見えない。
山の中から叫び声がした。
「早くするんだッ!!!」
そして山が爆ぜる。パンスト達は四方八方に投げ飛ばされて地面に打ち付けられるも、直ぐに立ち上がる。
山があった場所の中心では全身がボロボロになり、片膝をついた会長が立ち上がろうとしていた。
「早くッ!」
「だがッ!」
会長の身を案じる委員長、更に続ける。
「だが……会長……!! 腕が!!!!」
会長の左腕はパンストを装着させられ、だらりと垂れていた。
「力が入らん……だが安いものだ、腕の一本くらい……無事で良かった……さァ早くッ!!」
悔やむ顔で委員長が装置の操作に入る。そして通信機で全員に言った。
「聞こえるか?! 装置はいつでも動かせる! 紅ちゃん!!『もう全員入れ込んだよォッ!!』分かった!! スイッチを押すッ!!」
会長は肩から先が動かせない左腕を含む両腕でぐるぐるパンチし続け、パンスト達を近付けさせないようにする。
その後ろで委員長は装置を操作、そしてスプリンクラーの作動スイッチを押した。
アラーム音と共にスプリンクラーが作動し始める。
息を切らしつつ学園内を駆け回っていた紅ちゃんが、自分達をかばい寄生されてしまったドM達含む迫るパンスト達に鞭を振るい抵抗し続けていたドSメイド達が、黒煙を上らせるボロボロのパワードスーツで戦い続けていた部長が、部長の援護に向かおうとしていた美貴が、教務室にてスイッチを押した委員長とぐるぐるパンチを続ける会長が、天井を見上げた。
薄紫の水がスプリンクラーから学園内で散布し始められる。
水がかかると苦しそうに倒れ込み、呻くパンスト達。そして直ぐにその動きが止まった。
「うう……」
倒れていた教師達が苦しそうに立ち上がろうとする。
「「ッ?!」」
警戒するように身構える会長と委員長、立ち上がった教師達は二人に気付くと言った。
「この荒れ具合は一体どうしたんだ……それになんで私達はパンストを? 一先ず話を聞こうか……」
構えを解き、ほっとする二人は教師陣に事情を説明し始める。
その頃、寄生が解かれ混乱している生徒達にも姐さん達や美貴達がそれぞれの場所で事情を説明していた。
それから事情を把握した教師陣が動き出し、校内放送で改めて校舎内の全員に事情を説明、そしてパンスト寄生体の死骸の回収と水浸しになった校舎内の一斉掃除を指示した。
今回のようなイカレ騒ぎに慣れっこな生徒達は直ぐに片付けと掃除に入り、それが手際良く進んでいく。そしてそれと同時進行で美貴達は教師達に改めて事情聴取を受け、スプリンクラーを回避できたパンストが居ないか残党狩りをしつつ、部長含む科学部部員全員を拘束した。
校舎内の片付けが終わると、グラウンドの中央に科学部全員が簀巻きで転がされ、生徒達からの罵詈雑言をBGMに教師陣からはガチ目の説教を受ける。
美貴はその様子を遠目で眺めつつ、校舎の壁を背もたれに座って休息していた。
会長や委員長、人間心理探求会の面々も同様にそこで休んでいる。そしてふと美貴は近くの委員長に尋ねた。
「あの……紅ちゃん先輩は?」
「ああ……もう帰ったぞ……『ああ……』」
ほとんど関わりが無かったのにその行動にらしさを感じる美貴、段々と寒くなってきたからか鼻がむずむずし始める。
「ぶぅえぇっくしょいぃっ!!!!『おい、大丈夫か?』ぁあ……らいじょうぶれす……あれ?」
盛大なくしゃみをしてしまう美貴、そして彼女の目の前に何かが落ちてきた。
「これは……黒スト? なんでここに……『上から落ちてきたな』そうですよね……捨てておきますよ」
それを手にした美貴はパンスト達の死骸が詰まったゴミ袋に足を進め、それを中に押し込む。そして彼女はゴミ袋を背にして委員長達の元に戻った。
美貴は直ぐにゴミ袋から背を向けたことと戦いの疲労で気が付かなかった。
押し込まれた黒ストが一人でにもぞもぞと動いていたことを、そもそも黒ストが目の前に降ってくること自体がおかしいことを。
その黒ストが後に学園に牙を剥くことになろうとは誰もが思いもしなかった……
・殺る気スイッチ
新聞部部員必修の技術であり、どんな状況下でも貪欲に取材を続ける為の意欲向上術として初代新聞部部長が開発、そして代々伝えられているものである。
元々はメンタルコントロール術のはずだが、なぜか戦闘力も向上する。更に視界に写る全てに対する殺意が高まり、非常に好戦的になる。
学園でのトラブルにはこれくらいでないと最後まで取材しきれないので新聞部員達は特に気にしていないが、他の生徒達からは少しだけ恐れられている。
これにて今回の事件は完結です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後の執筆の励みになりますので是非とも”☆”や”いいね”をよろしくお願いします。




