第15話 二週間で二百回
激しく絡み合うような交尾が終わりーー
真っ白な部屋に置かれた大きなベッド。
そして、そこに並んで寝ている、裸の俺とオルミア。事後で、二人とも汗だくだった。
「はあっ…はあっ…!」
「ふふっ。優しい顔して、案外積極的なんですね、ローガンは……」
ベッドのシーツを手繰り寄せて、くすくすと笑うオルミア。事後のせいか、彼女の肌もほんのり赤らんでいる。
(せ、精霊と、セックスしてしまった……)
俺は、頭が追いつかなくてもう何が何だかわからなかった。
真っ白な天井をただただ見上げる。
「ねえ、ローガン…?私との交尾、どうでした?私は……かなーり、よかったですよ。期待以上でした」
「えっ……!俺も、その……めちゃくちゃ気持ちよかったです。気を失うかと思いました」
(何を言っているんだ、俺は……武芸大会に向けて訓練するんじゃなかったのか)
俺は、自分の置かれた状況が理解できなかった。農夫の俺が、大地の精霊と交わってしまった。
「ほんとですかっ!よかったー!ローガンも私の上でいっぱい乱れてましたもんねっ」
「い、いやそれは……」
言葉で説明できないほど、オルミアとのセックスはよかった。快感だけじゃない。行為中の彼女の見せる姿が本当に可愛らしく、俺は彼女に愛おしさを感じていた。彼女も俺の感情に応えるように、俺のことを激しく求めていた。
「え、えっと!オルミア様。交尾はしましたけど、この後はどうするんですか?」
「……?どうする、とは?」
俺の問いにオルミアは首をかしげる。
「い、いやっ!これで俺の中の"精"が高まったんですよね?だから、今度は実際に精霊の力を使って戦う練習をするんじゃないんですか?」
俺はベッドから起き上がり、オルミアに言った。
「うーん。まあゆくゆくはそうなるんでしょうけど。まだ足りないですよ、全然」
「は?た、足りない?」
「はい。交尾の回数が全然足りません。意図的に精霊の力を使うには、もっともっと交尾をして"精"を高めないと!」
オルミアは笑顔でそう言った。
「そ、そうなんですか……?じゃあ!あと何回すれば……」
「そうですねえ。その武芸大会とやらが行われるまでの二週間で……まあ"二百回"もすれば、十分でしょう」
「……は?」
俺は耳を疑った。
「二週間で二百回だから……単純計算で、一日十五回すれば大丈夫ですねっ!」
「じゅ、十五回……!?」
精霊と、毎日十五回セックスする?
一回でも、かなり体力を消耗するのに、十五回なんて絶対に無理だ。そりゃ、こんな美しい女性とできるなんて人生でまずないだろう。でも、一日十五回なんて、人間のできるレベルを超えている。
「オルミア様、さすがそれは不可能……んむっ!」
俺がそう言いかけた瞬間、オルミアは俺に覆い被さり、俺の唇を強引にキスで塞いだ。
そして、オルミアは唇を離すと、真っ直ぐな目をしながら俺に言った。
「ふふ。言ったでしょ、ローガン?二百回交尾しないと、あなたは力を自由に使えないの。わかりますよね?」
「……そ、それは……」
「悩んでいる時間はないですよ?それだけ、あなたが力を使いこなす可能性がなくなっていくのだから」
オルミアは、俺の顔を両手で挟み込み、諭すように言った。
「大丈夫。休憩しながらなら、人間のあなたでも出来ますよ。それに……」
「……?」
オルミアは俺の耳元に口を近づけ、甘く囁いた。
「……精霊は、人間の精子じゃ妊娠しないから、どれだけ中に出しても大丈夫ですよ?」
「!?」
そう言うとオルミアは、ゆっくりと俺の身体を捕食し始めた。




