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第6話 相棒成立

 チューニオタの話を聞いてて、もし全部が本当だとしたら頭が痛すぎる。

 ヤミナルやシスク、そしてなんかスゲー女たちを俺は今後抱いて孕ませて、んで幸せにしなくちゃいけないんんだからよ。

 しかも、シスクが俺と血が繋がってない? 親父のやつ死ぬまで隠してた? しかも、シスクはそのこと知ってて、昔から俺に惚れてるとか……ただ、そういうふうに考えると、なんとなくあいつの今までのスキンシップが、兄に対してやるにはずいぶんとベタベタしたもんだな~とは思ったりもしたが……うーむ、俺、あいつとエッチできんのか?

 無類の女好きでエロイこと大好きで、聖母やら竜人姫やらとエロいことするというのは非常に興奮するが、シスクはどうだ? なんだか興奮より罪悪感のほうがデカい気もする。

 ただ、その前に……


「お前の話が本当だとして、ヤミナルを幸せとか無理だろ……俺がこの国滅ぼして、あいつの仲間もいっぱい殺したし、何よりも昨日……泣き喚くあいつを、俺は犯しまくったんだぞ?」


 そう、そもそもヤミナルに関してが無理だった。

 あいつが俺に微笑む未来なんて、想像できねえ。 あいつの目には、今も俺への憎しみが宿ってる。 それを幸せに変える? そんな都合のいい話があるかよ。



「……確かに、今のままじゃ無理です。ヤミナルはあんたを憎んでる。国を滅ぼされたことも、仲間を失ったことも、誇りを踏みにじられたことも」


「だったら、終わりだろ」


「でも、あんたが変われば、彼女も変わります。それに、どっちにしろあんたはまたヤミナルとエッチする必要がある。日常生活で惚れさせて、エッチでも惚れさせる。それがヤミナルの攻略法。必要なのは両方。エッチだけに偏ると、完全精神崩壊でエッチのことしか考えないドスケベ淫乱姫騎士化しちゃって、それだとバッドエンドだから……」


 

 なんてめんどくさい。心も体も堕とさないとだめだと……つか、精神崩壊ドスケベ淫乱姫騎士ってのは少し気になるんだけど……



「心も惚れさせるんだ。あんたが、彼女を戦利品じゃなく、愛おしい女として扱うなら。彼女も変わっていきます。あんたの力になってくれます。世界を救うために、あんたと並んで戦ってくれる」


「心も体も惚れさせる……か。……なんてこった。俺が世界を救う鍵で、しかも女たちと心から結ばれなきゃならねえってか。めんどくせー」



 俺はしばらく黙っていた。 ヤミナルが俺の隣に立つ姿を、想像してみる。

 それはそれで悪くねえ……だが、今のままでは夢想もいいところだ。


「だが、やるしかねーわけか……」


 戦場じゃ、敵を斬るだけでよかった。

 だが、今度の戦いは違う。

 剣じゃなく、言葉と態度で信頼と愛を得なくちゃならねえときたもんだ。

 それも、誇り高い女たちを相手に。


「……よし、分かった」


 俺は椅子から立ち上がり、チューニオタに言ってやった。



「お前のことを信用して行動してやる。異世界から来たとか、未来を知ってるとか、正直まだ全部は信じきれねえ。だが、お前の言葉が役に立ったのは事実だ。そして、このままだったら俺も妹も悲惨な未来しかなく、世界が終わるってこともな」


「……本当に?」


「本当にだ。だから、お前は牢から出してやる。生活の面倒も見てやる。衣食住、全部保証してやる。だが、その代わり――」



 俺は指を突きつけた。


「お前は俺のアドバイザーとして、役に立て。俺の未来を守るために、女たちとの関係を築くために、お前の知識を全部使え。そうすれば生かしてやる」


 俺の言葉に、チューニオタもゆっくりと立ち上がり、深く頭を下げてきた。


「……はい。俺、やります。全力で、あんたの未来を守ります」

「よし」


 その声は震えていたが、確かに意志があった。

 とても演技には見えねえし、俺の寝首をかこうって感じじゃなさそうだし、しばらくはアドバイス聞きながら様子見だな。


「よし。今日からお前は俺の相棒ってところだ。せいぜい、良いアドバイスをしてもらうぜ、相棒」

「……あ、う、うす!」


 人間の相棒か。変な感じだな。シスクへの説明がめんどくさそうだけど、まあ何とかなるだろ。


「……あの、お願いがあるんです」

「あ?」


 すると、さっそくチューニオタ……いや、相棒から要望が出てきた。


「牢にいるみんなにも、ひどいことはしないでほしいんです。一応、クラスメートだし……」


 だが、その要望は意外なものだった。


「クラスメート? お前をいじめてたやつらだろ?」

「そうです。嫌いです。正直、顔も見たくない。でも……死んだりしたら寝覚めが悪いし、それに……」


 相棒は言い淀み、視線を逸らした。


「それに……黒川さんだけは、優しいし……」


 その言葉に、俺はニヤリと笑った。


「はは~ん、相棒。お前はあの黒髪の女……クロカワってのに惚れてるな?」

「っ!?」


 相棒の顔が一気に赤くなる。 耳まで真っ赤だ。 俺は堪えきれず、笑い声を上げた。


「ぐわはははは! 恥ずかしがるなよ。そうかい。あのクロカワってのは、今日抱いて俺の女にしようと思ってたんだが……」

「っ……」

「だが、相棒の惚れた女なら、仕方ねえ。よし、お前の報酬代わりとして、あの女も牢から出してやる」

「え……本当に……?」

 

 相棒の声は、驚きと戸惑いが入り混じっていた。


「ああ、ついでにお前の身の回りの世話もそいつにやらせるか。メイドとして、手伝わせて、んで口説いて抱いちまいな」

「そ、そんなことできるわけがないでしょ!」


 俺が提案すると、相棒が慌てて手を振る。顔は真っ赤。耳まで染まってる。


「なんでだ? あの女はお前のおかげで牢から出られるんだぞ? 逆に言えばお前の機嫌を損ねれば牢屋に逆戻り。そういうふうに言えば楽勝だろ?」

「そ、それ脅しじゃないですか! そんなの絶対ダメですって!」

「あ? もったいねえ。チャンスだろうが。我が身が可愛ければ、あの娘も普通に股開くだろ」

「……あのさ、レイヴァさん」

「ん?」

「これから、あんたはヤミナルたちを心も惚れさせる必要があるって、わかってる?」

「……ああ、分かってるよ」

「じゃあ、ちょっとはそういうのは……直したほうがいいかなって……」


 ぬ? ダメなのか? 

 悲惨な未来を避けるためとはいえ、なんかやっぱりメンドクせーな。

 

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