第47話 懐柔
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「姫様、ここにも怪しいものはいません!」
「分かったわ。失礼したわね、ご夫婦。協力に感謝するわ。さ、次よ!」
マキが陣頭指揮を執っての王都虱潰しの捜索。
修道会のレストルムたちの捜索範囲が徐々に狭まっていく。
「ふう、よかったわ、ウチは無関係だって分かって」
「本当だな。レイヴァの親方のフィアンセって話だから、酷いことはしねーとは思ってたけど、それでもな」
王都の民の家も徹底的に捜索されていた。民たちは皆が無関係なのだが、流石にマキと魔王軍の兵が強制捜査に出れば拒否することができずに大人しく協力した。
その結果、潔白を証明された民たちは次々と安堵の声を上げる。
そして……
「お、おい! こっち来てみろよ!」
「どうした?」
「親方が、ヤミナル様と一緒に来られたぞ!」
そのとき、民たちが急に反応した。先日のようにヤミナルがまた民たちの前にその姿を見せたのだ。
「ご機嫌よう、皆の者。窮屈な思いをさせていないだろうか?」
「ぐわははははは、反乱でも起こさねーだろうな~、お前ら」
侵略された母国の姫と、侵略した敵国の軍団長。
立場が真逆すぎる二人でありながら、並びながら皆の前に現れたヤミナルとレイヴァに民たちの表情は綻んだ。
「レイヴァさ~ん♥」
「よう、シガー。危険はねえか?」
「はい!」
そして、その二人のすぐ傍らに居るシガーの姿に皆は納得する。
「まあ、親方がいるなら安心だな」
「ヤミナル様も、少し元気みてーだしな」
最初は魔王軍の強制家宅捜索や潜入者の存在でどうなるのかと思ったが、この二人もいるのなら安心だろうと。
そんな中で……
「皆よ、今日はレイヴァに許可をもらったので、少々差し入れをさせてもらおう」
と、ヤミナルが皆に告げる。
何事かと民衆が首をかしげると、ヤミナルが手を叩き合図をする。
すると……
「はーい、みんな並んで~」
「みなさん、お疲れ様です」
「腹減ってるっしょ~」
巨大な荷車を引いて現れる、【普通】のメイド服姿で現れる、ヒマン、クロカワ、イロカ、そしてその巨大な荷車を後ろから押しているのは、ガキどもの中で一応一番力持ちのタナカだ。
そしてその荷車を広場の中心に止め、荷車のカバーを外す。
するとそこには白いライスの塊がいくつも積み重なって山となっていた。
「私たちがつくった、おにぎり! ライスボールを是非に! こっちの中身はお肉、こっちは魚、コッチは――」
「スープも用意しました!」
「料理部だった陽満が作ったから、まぢ味は保証っしょ!」
カバーを開けた瞬間、その大量の山の壮観さに誰もが目を奪われ、同時に誰もが食欲をそそられる。何よりも戦後間もない、肉体労働や精神疲労の大きい復興期間中。一応、魔王軍としても餓死者を出さないよう配給などはしているが、それでも誰もが腹いっぱい食えているわけでもないだろうから、腹は減っている。
そこに、このライスボールの山と大量のスープ。
そして……
「どれ、皆よ、手の空いたものから並ぶがよい」
「「「「「ッッッ!!!????」」」」」」
俺の傍らから荷車へ移動し、頭に頭巾を巻いて器を取るヤミナル。
それが指し示すのは一つ。
「ま、まさか、まさか、姫様が自ら私たちに!」
「そ、そんな、何と恐れ多い!」
「姫様、自分たちでやります、姫様とてお疲れでしょう!」
「そうですよ、何も姫様自ら私たちになど……」
そう、姫であるヤミナル自らが器にスープを注いで、民に配る。
そのこれまでなら決してありえない、殿上人であるヤミナルが平民である自分たちにそのような振舞いをする。
ありえない。
民たちは皆それを止める。だが……
「良いのだ。わらわとてこのようなことくらいはしなければな」
「姫様……」
「わらわはレイヴァに敗れはしたが、わらわは生きている。生きて、こうやって皆の役に立てることがある。ならばわらわはその務めを果たさねばならぬ。だから皆も遠慮せず、食べよ。ただ、くれぐれも順番抜かしはやめよ。ここにあるのは皆で分かち合うためにあるものだ」
そう言って、ヤミナルがスープの器を一つ手に取る。
そしてそのままそれを民たちに差し出す。
「ほら、食べてくれ。身体を労わるようにな」
ヤミナルのその言葉に、民たちは誰もが感動し、誰もが涙を流す。
そして、誰もがそのスープを受け取った。
「う、美味い……」
「温かい……」
「ありがとう……ありがとう、姫様……」
民たちは泣きながらスープを口に運ぶ。何とも言えないその温かさを身体に染み渡らせていく。
そして……
「こっちのライスボールもお勧めよ」
「いっぱい作りました!」
「ほら、早く並ぶっしょ」
「食わねーと無くなるっしょ! 腹減ったタナカっちとヒマン自ら食っちゃうっしょ」
「俺は食うぞ!」
クロカワやヒマンとイロカがライスボールを次々と渡し、そしてタナカがおちゃらける。
しかし、そのお陰もあってか民たちも笑顔で列を成していく。
「ちょっと、レイヴァ、これは一体……」
「お兄ィ、なにやってんの?」
その騒ぎに、捜査中のマキとシスクたちが気づいてレイヴァに駆け寄る。
するとレイヴァは苦笑しながら……
「ま、いいじゃねえかよ。これでこいつらの不満や不安が解消されるなら安いもんだ」
「だ、だけど……」
「マキ、確かに魔王軍は人類を支配する側で、こいつらは被支配階級の側だ。だけどな、そんなことより俺が支配者としてこいつらを見捨てるようなことをすりゃあ、こいつらだって俺たちを憎むだろう。それが積もり積もって反乱とか起こされたら困る。だから、ここは善良な支配者っぷりを示すのさ。それにな、ヤミナルにやらせるのも悪くねえ。こいつが人々に好かれていることは知っていたが、それがどういうもんなのかをこいつ自身で確認させて、あとはこいつが俺に惚れてラブラブしてくれたら―――」
「貴様、聞こえてるぞ! さりげなくわらわの心まで貴様に惹き付けるつもりだったのか! 恥を知れ!」
レイヴァの言葉にヤミナルは思わず赤面して声を荒げた。
だが、そんな二人のやりとりを周囲の皆は笑って受け入れていた。
もっとも、それだけが目的じゃねーんだけどな。なあ、相棒。これは順調か?
こんな頭悪い作品ですが、どんどん上品にしていこうと思います!!!
そこで、たいへんお手数ですが、お読みいただいて「もう少し読もう」と思ってくれた方々、
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