第46話 協力体制
「というわけで、相棒。何か妙案を出せ」
「い、いや、出せって言われたって……」
「いいから出せ! 誰のせいでシスクと無意識エッチできなくなったと思ってんだ!」
「そ、それはごめんなさい、と言っていいのか分からないけど、ごめんなさい」
「分かればいいんだよ。じゃあ、次はどうすればレストルムを見つけられるか教えてくれ!」
相棒曰くゲームとやらで俺はレストルムをどうしても見つけられない、捕まえられないというものらしい。
だけど……
「ねえ、宙仁くん。それって、私たちが関わったらどうにかならないのかな?」
「黒川さん……」
そこで、相棒の傍らのクロカワが口を挟んだ。
「確かにゲーム上でのレイヴァさんはその隠密の人を見つけられないのかもしれない。でも、そのゲームには私たちはいないし、そもそも今のレイヴァさんの状況って、ゲームではない状況もあったりするわけなんでしょ? なら、もしかしたら、宙仁くんや私たちが何かして、レイヴァさんがその人を見つけるようにすれば、見つけられるんじゃない?」
クロカワの言うことはもっともだった。
ゲーム上ではどうだかは知らねえが、俺の相棒やクロカワや、他の奴らもいる。
だから、もしかしたら……
「相棒、なんとかならねえか?」
俺の言葉に、相棒はクロカワの方を振り返り、クロカワは笑顔で頷いた。
「ん、う~ん……」
しかし、相棒は唸るだけで微妙な顔をしている。
手はないのか?
いや、何かあるはずだ。
「相棒! いいから何か捻り出せ! クロカワの言う通り、ここに居る俺、おまえやクロカワやイロカ、タナカたち、ドリィル、さらにヤミナルもいる。このメンツを使えばどうにかできねえか?」
「そ、それは……そうですけど……で、でも……」
相棒の煮え切らない態度に俺は少しイラつき始めていた。
なので、俺はクロカワを掴んで寄せて……
「おい、相棒。いいから何とかしやがれ。さもないと、クロカワの処女は俺が貰う」
「は、ひぇ、ちょ!?」
「わ、やめてください、な、何言ってるんですか!?」
「おい、レイヴァ! 貴様、気軽に女性を犯そうなどと、これ以上わらわを失望させるな」
突然の展開にクロカワは怯えてジタバタするが、俺はヤル時はヤル。
「っ、わ、分かりましたよ。まず、黒川さんを離してください!」
「考えるんだな?」
「はい、考えます。なので、まずは落ち着きましょう」
俺は相棒にクロカワを引き渡した。
「黒川さん、大丈夫ですか?」
「あ、うん、大丈夫。ありがとう宙仁くん。レイヴァさんも乱暴にしないでください」
「悪い悪い。ちょっと興奮しすぎた。でも、案がなかったら、マジで犯すけどな♪」
とりあえず謝っておいた。
だが、クロカワは少し怯えた目を俺に向け、そして相棒が優しく慰めている。
そして相棒は……
「こうなったら……方法は一つしかないです」
「おお、流石は相棒!」
何か閃いた様子。流石だぜ。
だが、一方で相棒は……
「だけど……結構危険ですし、これやるとヤミナル姫の協力が不可欠になるっすけど……」
ヤミナルの?
まあ、もともとヤミナルには色々と協力をお願いするつもりだったけど。
「だとさ、ヤミナルはどうだ? つか、さっきも言ったように、お前が先に修道会の知ってることを教えてくれたら色々と捗るんだがな」
俺はヤミナルにもそう声をかけるが、ヤミナルは首を縦には振らない。
「だから、レイヴァよ……できぬ! 友を拷問と悲惨な死になるか、レイヴァに犯されるのとどっちが良いかという……」
「その二つならば、圧倒的にもう後者一択だろうが」
「だが……それでわらわが情報を出してしまえば……それは間違いなく人類への裏切り。そのようなこと……それに修道会には強力な力を持った聖女騎士たちもまだいる! いかに魔王軍とて簡単には……」
ヤミナルが友や修道会の命を救うために、あえて俺に情報を出すというのはどうしても踏み出せない、裏切り行為だと口にする。
だが……
「ヤミナル、お前ですら俺には勝てなかったのに、修道会の聖女共が俺や魔王軍に勝てると思ってるのか?」
「ッ……」
「お前、俺と戦ってよく分かってるよな? 戦えば、もう簡単に恩情措置できなくなるぞ?」
「……………」
「今なら俺だけで事を済ませ、全員俺の愛人にするという名目で危害を加えず、全員俺に惚れてイチャイチャして子供産んで幸せという何も問題ない道に進ませることができる!」
「……って、だからそれのどこにそんな自信が……」
俺はヤミナルの目を真っ直ぐ見つめながら語り掛ける。
すると、ヤミナルは顔を真っ赤にして俯いた。
それを見た相棒はため息をついて、再び口を開く。
「ヤミナル姫。レイヴァさんの言ってること確かにメチャクチャですけど……魔王軍の戦力と修道会が全面戦争したらどうやったって悲惨なことは避けられません。ですが、今のこの人は相手が本気で嫌がることを無理強いさせるようなことはしない……だから、ヤミナル姫。貴女が彼に情報を出しても、それは決して人類への裏切りではないし、修道会や聖母マムミルクも、全ての人々も絶望させる結末にはならないはずです……むしろ、まだマシな選択肢のはずです」
「……バカな、エッチなことするくせに嫌がることはしないなど、どうやって……」
「それは、レイヴァさんがあなたに嫌われたくないからです。貴女は今のレイヴァさんの統治が、王都で悲惨なことになっていないことも分かっているでしょう?」
「……………」
相棒の俺の核心をついた言葉にヤミナルは耳まで赤くなった。
「でも、宙仁くん。それはそれとして、一体どうするつもりなの?」
と、答えを出せずに俯くヤミナルに気を使ってなのか、そもそもどうするのかとクロカワが疑問を口にする。
そりゃそうだ。俺も気になる。
すると相棒は……
「もともとレストルムをシスクさんのイベントで捕まえるということが前提だったんですけど……ヤミナル姫が協力してくれるという前提にして……いっそのこと、ゲームでは存在しない、【レストルムを放置してしまった場合】のルートをこっちで作って進むしかないっす」
「「「「「?????」」」」」




