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第33話 平謝り

 とりあえず、街でのヒトバイヤの件で浮かない顔をさせてしまったヤミナルの様子を見に来た。

 俺はいつも通り、とにかく明るくヤミナルの部屋を開けた。


「よぉ、ヤミナルいるかー! エッチしようぜー!」


 と。だが、ヤミナルは……


「そなたか……」

「…………」

「朝昼に続いてまたわらわを抱くか……そなたも飽きぬな。まるで猿のようだな。まあ、わらわはそなたにとって、性欲処理の人形にすぎぬゆえ、逆らえぬのだから勝手にすればよいが……」


 昼までは心を開きかけてくれていたのに、今のヤミナルはどこか浮かない顔をしていた。

 まさに、この国の姫として、自分や国や民を凌辱する男に対して見せる表情といった感じだ。

 やっぱ怒ってるか……


「……ヨ、ヨックファックでも……」

「いらぬ。抱くならさっさと抱け」


 うわぁ……どうしよう……抱きたいけど、これは抱いたら余計に好感度下がるパターンだ。ぬう、どうしたら……


「う、ぐぬう……」

「どうした、抱かぬのか?」

「だ、抱きたいけど……」

「?」


 俺の様子にヤミナルは何事かと首をかしげている。


「俺は……人形状態になって心を無にしたお前じゃなくて、心開いて俺と恋人みてーにイチャイチャしてくれるお前を抱きたいんだよ!」

「クズめ」


 うおおお、即答! くそぉ、いままで頑張ったのに、全てはあのヒトバイヤのクズ野郎の所為で……ぬぐぐぐぐ……

 だが、そうやって頭抱えてる俺に、拒絶姿勢だったヤミナルが歩み寄っていた。

 そして、そのツラのまま……


「とはいえ、そなたの機嫌を損ねて、それを民たちにぶつけられてはかなわぬからな……そなたの望み通りにする。で、わらわはどのような所作とセリフを言えばよいのだ?」


 と、言われたとおりにしてやるからさっさと抱けと言ってきやがった。

 仕方ねえ、ここは……


「じゃ、じゃあ……レイヴァ、好き好き大好きエッチしよ……って言ってみろ」

「レイヴァスキスキダイスキエッチシヨ」

「か、感情込めろぉ!」

「……………ふん」


 メチャクチャぶすっと棒読みで言いやがって。やっぱだめだ。


「あああああ~~~~~~、もう、くそ! 悪かったよぉ、くそ、俺が悪かった! ごめんて!」

「………?」


 もう、どうしようもないので、俺はヤミナルに謝ることにした。

 すると、そんな俺を意外に思ったのか、ブスっとした顔だったヤミナルが呆気にとられた顔をした。


「ドリィル美人で可愛かったし、アレをくれるなら奴の話を聞くぐらいならと……そ、それに、俺がドリィルもらわないとあいつは不幸に……あ、いや、まあ、それも言い訳で……と、とにかく、俺はお前とラブラブな恋人になりたいと思いつつも、シガーともドリィルとも、他にも美人とエッチできるならしてーと思ってて、それで……いや、マジで奴隷とか手に入れて楽しもうとかそういうのはなくて……いや、その……ごめん」

「………………」

「それに、これだけは信じてくれ! シガーは俺の女だし、お前も俺の女で、俺の女たちが望む以上は民にひどいことだけはゼッテーしねえから! 街の復興の手だって止めねえ!」

「……レイヴァ……」

「だから頼むから、機嫌直してこれからもエッチしてくれ!」

「……ヲイ」


 ダメだ。まとまらねえ。普段から謝ったことないから、こういうときどういうふうに謝ればいいのか分からねえ。

 とにかく何か取り繕わずに思うが儘に口にしちまった。

 っていうか、余計に怒らせてたらどうしよう?

 と、そんなふうに思う俺だったが……


「……………………ぷっ…………」

「え?」


 俺が思わず顔を上げると、口元を手で押さえながら、ヤミナルはプルプルと震え……


「ぐっ、ぷっ、くくく……い、いや、すまぬ……ただ……そなたが想像以上に阿呆すぎて……」

「え……」

「ど、どこまで、謝罪が下手で本能丸出しなのだ? 謝罪しながら、え、えっちしようなど……」


 あれ? 空気が変わった? なんだかヤミナルが笑ってないか?


「だ、だって、思ったままのことを……ま、またすまん……もし機嫌を損ねてたんなら……」

「まったく。とにかく謝ればいいというその姿勢がよくないというものだ」

「そ、そうなのか!?」

「当たり前だ。それはつまり、自分の何が悪かったのかを自覚しないままとにかく謝るというものなのだからな」

「うっ……」

「だが…………」


 そう言ってヤミナルは俺の手を掴んだ。その表情は、どこか「仕方ないな」という俺に対してどこか呆れながらも笑っている感じだった。


「思うがままのことを口にしてしまった……だからこそ、そなたがシガーや街の者たちにひどいことをしないというのも、街の復興の手を止めないというのも……本心なのだろう」

「……ヤミナル……」


 そう言って、ヤミナルはベッドに腰掛けた。


「レイヴァよ、わらわの立場であるならば、このような状況など許されるべくもない。わらわはそなたにすべてを奪われた。そして、そなたはわらわを慰み者にする。わらわはそれを拒むことなどできぬ。民のためにな。しかし……わらわの身体だけでなく、心をも得るために、そなたがここまで頭を悩ませるとはな……わらわもついついそなたに八つ当たりのようにしてしまった……そのようなことをできる立場でもないのにな……だけど……こんな八つ当たりをしてもそなたならば民たちにひどいことはしないと思い込んでいたようで、わらわもつい……それだけいつの間にかわらわもそなたに気安く……」


 そして、俺もヤミナルの隣に座ると、彼女は俺の腕にそっと寄り添うようにしてきた。


「わらわはもはや捕虜……そなたの所有物と言われたらそれまでだ。だが、そんな立場であるわらわや民たちのことを……そなたは気を配ってくれる。ならば、わらわも……精一杯それに応えねばならぬ」

「ヤミナル……」


 そして、ヤミナルはそのままベッドの上でゴロンと仰向けになり、シャツのボタンをはだけさせ、俺に対してわずかな笑みを見せながら両手を開いた。


「そなたが合格点を出せるほど感情のこもったセリフはまだ口にできぬ……わらわは演技が下手でな……だが……そなたに報いるだけのイチャイチャとやらは……頑張ってみようではないか」


 それはついさっきまで「抱くなら勝手に抱け」という投げやりな態度だったものが変わり、心をまた開いてくれたかのようなかわいいとにかくもうエッチしたい!


「ヤミナル!」

「わ、こら、がっつくな……逃げはせぬ」

「予告する、キスする」

「……そうか、来るなら来い」

「もう、絶対にお前は俺の女だ」

「分かった分かった」 


 俺はヤミナルに覆いかぶさりキスをする。

 すると、ヤミナルはゆっくりと両手を俺の背後に回して、そのままそっと抱きしめるようにしながら受け入れてくれた。


「か、かわいい……」

「え……ば、ばかもの、わらわのような不愛想な剣ばかりの女など」

「好きすぎる」

「っ、も、もう、そなたは……ん♥」


 ヤバい、なんだか、胸がドキドキしてきた。

 ただエッチしたいだけじゃない。

 こいつの全てを手に入れたい。

 もっと欲しい。

 そう思えるぐらい、なんというか今までで一番燃えた。






【回数状況】

・姫騎士勇者ヤミナル:31回

・異世界黒ギャル・花見色香:10回

・菓子職人美女シガー:5回

・金髪ロール奴隷令嬢ドリィル:6回

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