第29話 ついに相棒が卒業か?
二時間たっぷりドリィルを味わい、そしてガキどもの指導も十分に終えた。
そして俺はガキどもを連れて、相棒にあてがった部屋に向かった。そして中に入ろうとしたら……
「宙仁くん……」
「だ、ダメだよ、黒川さん……」
「お願い、打算だと思ってくれて……安心させて」
「そ、そんなことしなくても、俺は頑張るから……」
ん? 何か真剣に話をしている? 気になって扉を少し開けて中を見ると、ベッドの上でクロカワが相棒を押し倒して、顔を真っ赤にしながら迫っていやがった、
うほ♡
「私、怖くて……この異世界でどうなるのか、元の世界に帰れるのか、そもそも生きて行けるのか……分からない……でも、分かったのは、あのとき田中君たちから私を庇ってくれた時……私は宙仁くんがいないともう生きていけないんだって……」
「そ、そんなことないって、黒川さんは―――」
「お願い、もう怖いの! だから、だから……私をあげるから……私を助けて……」
あーあ、こりゃ完全に堕ちてんな。
「ん」
「んむっ」
そして、クロカワの方から押し倒している相棒の唇にキスをした。
初めてなんだろうし、恥ずかしいんだろうが、震えながらも両手で相棒を抱きしめながら唇を重ねていく。
「ぷはっ、はあ、はあ……私、初めて……宙仁くんにあげちゃった」
「黒川さん……」
「ねえ、宙仁くん。お願い。もう我慢できない……私を……助けて……」
「……うん」
そして二人は見つめ合い、またキスをする。
「んっ」
そしてクロカワは自らメイド服を脱いでいく。
クロカワの下着に相棒の目が、釘付けになる。
ピンクか。
「今日は宙仁くんの前では可愛くありたいって、色々考えてた。だから、花見さんのアドバイスで……今日はこれを着けてたの」
「……ありがとう、嬉しいよ」
「宙仁くん……んっ」
「んっ」
クロカワは再びキスをして、相棒をベッドに誘導していく。そしてそのまま仰向けに横になると、相棒は覆いかぶさる。
「黒川さん……」
「宙仁くん……お願い、私、初めてなの……優しくして」
そしてクロカワの腕が相棒の背中に回り、引き寄せるように力強く抱きしめた。
「あ、ううう、うんんん、う、うん、分かった。で、でも、俺も初めてなんだ」
相棒はクロカワの体温を感じながら、そっと彼女の首筋に唇を寄せた。
「んっ……」
「どうしたの? 痛かった?」
「ううん、違うの。なんかゾクゾクってしたの」
「そ、そうなんだ。じゃあ続けるね」
相棒はまたキスをする。
「あぁ……宙仁くん、あったかい」
「嫌じゃない?」
「全然。もっと欲しい」
「はぅ……」
「宙仁くん……」
「す、すすすす、好きだよ、黒川さん」
「うれしい……」
二人は抱き合って、互いの体温を感じ合う。
そしていよいよ! ―――――というところで、俺の脇をツンツンつつく感触。
振り向くと、そこには「し~」と人差し指を唇に当ててコッソリ俺の傍にいたイロカだった。
「レイヴァ様、空気読むし。黒川は初めてなんだし、もう二人きりにさせてやろうって」
「あ? なんでだよ。相棒とクロカワの処女と童貞卒業と同時に、俺と相棒の儀式で互いに女を抱き合うところを見せるってやつ、まさに今じゃねえか」
俺の言葉に、イロカは呆れたように笑いながらも俺の手を引く。
「それは二回目以降でいいっしょ。とにかく今日は二人きりにさせてあげなって。宙仁も黒川もお互いに初めてなのに緊張してんだからさ、レイヴァ様の威圧で萎縮させたら可哀そうじゃん?」
ううむ、面白そうだったのに……だが、まあそういうもんなのかねえ?
「しゃーねえなあ……少し時間を置いてやるか」
「そーそー♪ ほらほら、イクイク!」
と、イロカは俺の背を押してその場から遠ざけようとする。ただ……
「あっ!!!!」
そのとき、相棒が何かに気づいたかのように大声を上げた。
何かと思ったら……
「ご、ごめん、黒川さん……お、俺、その……道具っていうか……その……アレ持ってない……」
「……え?」
「……こ……近藤さん……的なものを……その、……ご、ゴム、というか……」
「ふぇ? ……あ////」
なんだ? コンドーさん? 何のことだ?
「だ、大丈夫よ……きょ、今日は、その、大丈夫な日っていうやつだし……そ、それに花見さんはそんなの使わずレイヴァさんといっぱい、し、シテたでしょ! だから、私も……」
「女の子の大丈夫な日なんてないって、ネットに出てたんだ! だからダメだよ!」
「……え、ええ~~……」
「そ、それに、き、キスしちゃったけど、さ、流石にここから先は……その……や、やっぱり、デートとかしてから……」
「ちゅ、宙仁くーーーーーん!?????」
え? 何この状況? 俺とイロカは思わず顔を見合わせた。
そして、イロカはメッチャ呆れた顔してる。
「なんだそりゃ? 結局ヤるのかヤらねーのかどっちだ?」
「あんの、ヘタレクソ童貞……ありえねーっしょ」
俺たちは結局もう一度扉の隙間から部屋の中を見る。そこには、相棒がベッドの上でクロカワと向かい合って正座していた。
「宙仁くん、どういうこと?」
「……ご、ごめんなさい……で、でも、ほら、避妊具が無いと、やっぱり危険だし……それにこの世界ではそういう医療的なことも、そこまでは俺も分からないし……」
「だ、だからって……」
クロカワは、相棒の体に視線を落とす。
俺たちも見る。
どうやら興奮しているのは間違いないらしいし、相棒もクロカワに飛びつきたくてたまらないのは伝わってくるが、必死に理性で抑えようとしているらしい。
俺にはその耐える理由がまるで理解できんが……いずれにせよ、それを見たクロカワは、頬を染めつつも、上目遣いで相棒に懇願する。
「……宙仁くん、じゃ、じゃあ、私がアレを買ってきたら……続きをしてくれるのよね?」
「え? あ、だ、だからデートを……」
「ちょっと待ってて! 今すぐ買ってくるから!」
「ちょ、ちょっと!? このファンタジー世界でどこに売ってんのそんなもん!? このゲームは完全凌辱エロゲーだから、レイヴァさんそういうの一切使わないから、存在してるかすらも……」
と、相棒が止めるのも聞かずにクロカワは部屋を飛び出そうとし……
「あ……」
「「「「「「あっ……」」」」」」
そこで扉の前で俺達と鉢合わせしてしまった。
「ちょ、あ、あなたたち、レイヴァさん、花見さんも……え、た、たた、田中君や陽満さんたちまで、なな、なんで!?」
バッチリ着衣を乱したままのクロカワは、真っ赤になって動揺してる。
だが、もう見つかった以上黙ってる必要はないと、俺は相棒に物申してやる。
「おい、コラ相棒! クロカワがここまで迫ってんのに、何でヤラねーんだよ! コンドーさんだか何だか知らねーけど、そんなもん気にしねーでさっさとヤっちまえよ!」
すると、クロカワは顔を赤くして俯き、相棒は慌てて、
「ちょちょちょちょちょちょちょちょちょ待ってください、レイヴァさん! そんな簡単に言うけど、避妊はちゃんとしないとダメだって!」
「ああ? 何でだ? なんでそんなことする! 俺はヤミナルにもシガーにもイロカにもドリィルにも、それこそ今まで抱いた女全員にそんなことしてねーよ」
「だ、だから、俺はこの世界の避妊事情が分からないし……それに妊娠とかしちゃったら……責任取らないと……」
「なら、責任とればいいだろうが! つか、お前は責任もってクロカワを守るって決めてんだから、とっくに覚悟決まってんじゃねーのか?」
「いやいやいや、そそそそそ、それとこれとは話が別っていうか! それに俺は、そ、その……まだ黒川さんと付き合ってるとかそんな……だから、こういうのはもうちょっと段階を踏んでからって……」
うわ、ダメだな、こいつ。
ヘタレにもほどがあるだろ。せっかく女の方がヤラせてくれそうだっていうのに、何やってんだ。
「…………そ、ソーダソーダ……」
なんか、黒川が俺の傍らで小声で後押ししてる。かわいいなこいつ。
「だ、でも、もしものために、だから、ひ、避妊具がないと……」
「あー、もう分かったよぉ! じゃあ、それさえあればやるんだな! ……つっても、俺も使ったことねーから分からねえが……そうだ! ドリィィィィィィル!!!!!」
俺はその場で大声でドリィルを呼んだ。すると、どこからともなく
「はい、ここに♥ ご主人様のお声が聞こえましたので~♥」
「!????」
なんか、いきなり天井からドリィルが降ってきて、優雅に俺の傍に現れた。
「え、だ、誰、この人……」
「げ、ドリィル! うわ、ヒトバイヤの娘のエロエロ金髪ロールですわ要員……本物だぁ……」
初対面のクロカワ、そして相棒は驚いた反応を見せる。
「おい、ドリィル。避妊具ってお前の親父は何か取り扱ってるか?」
「あら……え、えっと、ご主人様……そ、それは私に対してですの? 私的にはそれはあまり使っていただきたくなく……」
「お前にじゃねえよ! お前に使うか! つか、俺は使わねえ! かくかくしかじかほにゃらら!」
「なるほど、そういうことでしたら、絶対に妊娠しないクスリから何まで入手可能ですわ!」
「よし、手に入れろ!」
「承知しましたわ!」
そして、ドリィルはまた姿を消した。
やべえ……普通に便利だ……!
「さーて、これで心置きなくヤレるな!」
「ちょ、ちょっと! えええええ!!!??? な、何を勝手に……」
相棒は慌てているが、知るか。
俺は相棒を無視してクロカワに話しかける。
「おい、クロカワ」
「え、はい……」
「感謝しろ」
「……は、はあ……」
「ごにょごにょ、相棒とヤッたあとで、俺ともヤラねーか?」
「ソレはお断りします」
お世話になっております。こんな本能丸出しの作品ですがもうしばらくお付き合いください。
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