7話 申し送り
佐田賢介は水曜日に、言われたとおり、ソッチーレコードの加藤のもとをおとずれた。
「契約‥契約だ!沙織!」興奮している賢介から、
沙織の携帯に上擦った声が響いた。
「賢介!ホント⁉︎やったね、今日はお祝いしよ」
そう二人会話は長いトンネルを抜け出た安堵、未来への希望を語った。
午後3時 アパートにて
「ただいま!沙織!」
賢介は、見たこともない満面の笑みで帰ってきた。
「賢介!おめでとう!早速で悪いけどZIPPO出して!」
賢介は、「?なんで、まあこのZIPPOのおかげかもしれないけどな」
沙織は「〝メルケリ〟で売りにだしたら、すぐ売れたの!そのZIPPO」
「は?これ売るって言うの⁈売らないよ!一生大事にする」
沙織は、「賢介、もう充分よ、ラッキーをいっぱいもらったわ、気づいてないかもしれないけど、ZIPPOの中身見て」
賢介は、ZIPPOから中身を取り出した。
中の本体に十人程のイニシャルが刻んである。
沙織は「それはね、多分今までに幸運にあやかった人のイニシャルよ、だからね 私達も次の人に〝パス〟をださなきゃいけないのよ、これ以上、そのZIPPOに拘るなら、私かZIPPOかどっちかにして!自分の力であとは、乗り切って!賢介!」
賢介は、暫く考え、「わかった」とだけ言って、
釘を一本持ってきて、イニシャルを刻み始めた。
賢介は「沙織のも、刻むな!志賀沙織でも佐田沙織でもS.Sだな?」
沙織は「それってプロポーズ?」と聞いた。
賢介は、「まあ、」とだけ言って、
カバンから、買っておいてあった結婚指輪をだした。
完