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魔王軍幹部と補助魔法使い  作者: べるあっと。
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勘違い野郎ども。

この作品にはおそらくバカしか出てこないと思います。それでもよければどうぞ。

 薄暗い洞窟の中で目覚めてからどのくらいの年月が経ったのだろう。


最初はただのウォンバットという下級生物だったのに、気がつけば魔王幹部のNO2にまでなってしまった。


見た目も大きめの蝙蝠から可憐な吸血鬼へと進化し、ウォンバットとブラッドバッド達の長となってしまったのも随分前の事だ。


無駄に長く生きたせいで前世で人間だった頃の記憶も霞んでしまった。普通の社会人であった事は覚えているのだが、どんな生活をしていたのか、どんな性格だったのか、どんな人たちに囲まれていたのか、そのほとんどの記憶が曖昧だ。


しかし、その曖昧な記憶のせいで私には出来ないことがあった。


ひとを殺めることができないのだ。


ウォンバットもブラッドバッドもひとを襲わない。食べるのは洞窟に生成される魔硝石という石だ。


だから人や動物を襲わなくても今まで生きてこれたし、なんなら人を襲ったところで私には何もメリットがないからそんなことしない。


しかし魔王軍というものはよく人と戦わざるを得ない状況になる。基本的に魔王軍から攻めたりする事は無いけど、たまに人が攻めてくる。


その度に他の幹部や魔王様が応戦しようとするから、戦闘が起こる前に魔王城全体に結界を張って人が攻めれないようにしていた。ちなみにその事は魔王以外に誰にも気づかれてない。


魔王には城を人の血で汚したくないと言っているけど、本当は戦争が起こると自ずと死人が出てしまうから、それを防ぐためにやっている。


しかし今日、恐れていた事が起きてしまった。

私が結界を張る前に、人が侵入してきたのだ。


今から結界を張ってももう遅いため、私は侵入した人の後をつけさせてるウォンバットと視界共有してその侵入者を監視する。

そして侵入者に幻覚を見せながら誰とも戦闘にならないように私がいるフロアへと誘導する。違和感がないように時々幻覚で作った下級生物と戦わせたりした。


そうしてやってきたのは、勇者パーティ一向だった。


扉をバーンと開けて「ここにいるのはわかっている!覚悟しろ魔族幹部ども!」といきなり大声で言ってきたのは勇者だ。

そんな勇者を見てうっとりした顔をしている女2人は多分魔法使いと騎士。

その後ろに荒く呼吸する小さな女の子もいた。多分回復職の類だろう、飛んで移動できる魔法使いとそもそも体力のある勇者と騎士にここまでついてくるのに精一杯だったのだろう。相当疲れている。


しんどそうだなーと見ていると、騎士が剣をぬいて私に切り掛かってきた。

あらかじめ私の周りに張っていた結界に弾かれたが、その速さと剣筋を見れば相当手練なのだと分かる。


「落ち着けアリア、見た目は小さな女の子だが相手は幹部だ、油断してると足元を掬われるぞ。」

「大丈夫だよ、あんなチビ、私1人で十分だ。」

「何なら私の大魔法で炭にしちゃってもいいよー。どうやって死にたい?おチビちゃん?」

「さ、サポートします!」


...なんか見た目で大したことないって思われてるっぽい。こんな形でも千年以上は生きてるんだけどなー。


ま、すぐに追い返すのも面白くないし少しだけ相手してやろうかな。


私は人差し指をクイックイッとやって、無言で挑発してみた。


「はっ、その余裕もすぐになくなるさ!秘技!烈風斬!」

「大魔法...グレンインフェルノ!!」

「勇者の名の下に...エクスカリバー!!」


すると3人同時に大技?を繰り出してきた。本当は私もそれなりの魔法で応戦するつもりだったが、思ったよりしょぼくて拍子抜けしたのでとりあえず指パッチンで相殺した。


「な!?」

「え??」

「は??」


すると三人は呆気に取られた顔をしていた。


「な、そんなバカな...おいレイナ!ちゃんとバフかけてたのかよ!」

「そうよ!私の魔法が通じないなんておかしいわ!あなたのせいね!」

「全く、こんな時まで足を引っ張るの!?」


そして仲間割れを始めた。うるさい。

ていうか後ろの子支援魔法も使えたのか、すごいな。


「次はちゃんとしろよ!!!」

「は、はい!!!」


レイナと呼ばれた女の子は返事すると大きな杖を構えて魔法を詠唱した。

すると勇者たち三人の魔力が急激にあがったのを感じた。


「よし、今度こそくらえ!!!」


三人はまたさっきと同じ魔法を私に放った、けど範囲が広くなっただけで威力は全く変わってなかったからまた指パッチンで相殺しておいた。


どうして威力を上げなかったんだろう。バカなのかこいつらは。


「は?」

「な、なんでよ。私たちの最強の一撃がこんなあっさり打ち破られるなんて。」

「私の大魔法が、、、」


バフをもらっておきながら今の一撃が精一杯なのか。勇者だっていうからもっと化け物じみた強さのやつが来るのかと思ったら飛んだ肩透かしを喰らってしまった。


こいつらはバカで自信過剰で実力不足な勘違い野郎だ。


「なんでだよ!なんで倒せないんだよ!!!俺は神にチートのギフトをもらったんだぞ!!!どんな相手でも一撃で倒せる魔法を授かったんだ!!!お前も早く死ねよ!!!ガキのくせに!!!」


勇者がいきなりガキのように喚き散らかしながら私のことをガキ呼ばわりしてきた。あまりにも惨めでみてられない。

すると、バカ三人組の後ろで大人しくしていたレイナがいきなり倒れた。


あの倒れ方はどうみても魔力枯渇、魔法の使いすぎだ。


「使えねえなぁこの女は!!!俺に靡く気配もねえし可愛くもねえ!!」


勇者はあろうことかレイナをそのまま踏みつけようとした、流石にやばいと思ったからレイナ以外のバカ三人をテレポートの魔法を使って城の入り口まで飛ばしてやった。


そして私は倒れてしまったレイナをフロア内にあるベットに寝かせたのだった。

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