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第五十八話 姿隠せし水の精

《エラン視点》


「――見つけた!」


 二百発ほど重炸裂フル・クラスターを撃った辺りで、僕の目は初めて水以外のものを捉えた。


 拳大より二回りほど大きいくらいの、銀色の球体だった。

 より正確に言えば、エナのおっ◯いと同じくらいの大きさで――いや、なんでもない。


「スキル《サーチ》ッ!」


 水に大穴が開きまくったことでようやく姿を現したそいつに、すかさず《サーチ》をかける。


◆◆◆◆◆◆


 ハイド・ウンディーネ


 Lv 229

 HP 12000/12000

 MP 644/644

 STR 1200

 DEF 14300

 DEX 1090

 AGI 6890

 LUK 101


 スキル(通常) 《遠隔操作リモート・コントロール》 《形状変化シェイプ・チェンジ》 《複製コピー》 

 スキル(魔法) ―

 ランク SSクラス


◆◆◆◆◆◆


「これ以上好きにはさせない! ユニークスキル《交換リプレイス》――《硬質化ウェア・ハード》を捧げ、我が手に《遠隔操作リモート・コントロール》を!」


 水の不死鳥を操っていると思われる《遠隔操作リモート・コントロール》のスキルを奪い、エナの負担を減らした上で一気に畳みかける!


 頭の中で手順を描きながら、相手のスキルと自分のスキルを交換しようとして――いきなり、出鼻をくじかれた。


『コンディション・エラー。対象との交換ができませんでした』

「はぁ!?」


 跳蜂バンブルビィ戦でも一度聞いた、エラーを示す音声が頭の中に流れてきて、僕は思わず声を上げてしまった。


(なんでこんな時に……通常スキル同士で交換しようとしたんだし、エラーになるはずないのに!!)


 相手が、ユニークスキルの発動を妨害するようなスキルを持っている雰囲気もない。


(くっ、迷うな! 今はただ、一刻も早くこいつを倒すんだ! どのみち倒しさえすれば、不死鳥も消えるんだから!)


 スキル《飛行フライト》の出力を上げ、一直線にハイド・ウンディーネめがけて飛翔する。


「スキル《火炎弾フレイム・バレット》―三点発射スリーポイント・バーストッ!」


 

 火炎魔法スキルの《火炎弾フレイム・バレット》を起動。

 右手の指先から、前方の球体に向かって三発の炎弾えんだんを連続発射する。

 貫通力と初速に長けている《火炎弾フレイム・バレット》だが、威力はあまり高くない。


 けれど、こうして三発同時発射することで、特徴の貫通力を伸ばしつつ威力も補強できるのだ。


(防御力が低いモンスターとはいえ、跳蜂バンブルビィを、僕のレベルが比較的低い状態でも倒せたスキルだ。SSクラスモンスター相手でも必ず通る!)


 勝利を確信し、ほくそ笑む。

 音速を超える速度で飛翔する三発の炎は、狙い過たずハイド・ウンディーネの銀色の身体をぶち抜いた。


「やった!!」


 僕は嬉々として叫び、再び《飛行フライト》のスキルを調整して制動をかける。

 それから、衝撃波で開けた大穴が再び海の形に戻る前に急いで引き返す。


 空に上がった僕は、エナの方を振り返った。


「倒しましたよ! そっちは――」


 意気揚々と成果を報告しようとした僕は、彼女の方を見て絶句した。


 僕の瞳は、信じられないものを映していた。

 エナから数十メートル離れた場所に――未だ水の不死鳥がいたのだ。


「なっ、なんで!」


 確かに倒したはずの敵が、そこにいる。

 まさかヤツは、本体を倒しても死なない不死鳥なのか……

 僕は、戦慄に心が蝕まれていくのを感じた。


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