第二十話 決着。SSクラスモンスター撃破!
(猪口才な……っ!)
ブロックに着地した瞬間、《超跳躍》で数メートル斜め下のブロックに飛び移る。
着地してまた《超跳躍》を起動し、今度は直上のブロックに飛び移った。
間髪入れずに、真横のブロックに跳び、今度は直下のブロックにへ跳ぶ。
足を離したブロックにレーザーが着弾し、コイン状の穴が無数に開く。
それを尻目にブロックに着地し、また別のブロックへ跳んだ。
《超跳躍》を駆使した、三次元立体機動。
レーザーの照準も追いつけないほどの速度で、空中を飛び回る。
それでも時折、レーザー光が身体を掠め、ぱっと血が舞う。
が、それに構わず、更にブロックからブロックへと跳躍する。
(けど、このままじゃジリ貧だ)
高速で移動しているせいでブレているジャイアント・ゴーレムのシルエットを見ながら、歯噛みする。
レーザーを避けている今、負けはしないが勝ちもしない。
攻撃を避けきった上で、相手に勝たなければ意味がない。
「全身全霊の一撃を叩き込むにしても、《硬質化》が厄介すぎる!」
仮に《硬質化》を《交換》で奪ったとして、素の防御力が桁違いに高いから、《衝撃拳》が通るかどうか……
(いや、やるしかないんだ、やってやる!)
《衝撃拳》で倒せるか心配なら、今できる全てを賭して一撃を叩き込むまで。
「《超跳躍》ッ!」
足に力を込め、ポーンッと飛び上がる。
半瞬前いた場所をレーザー光が鋭く通り過ぎるのを感じながら、数百メートル上のブロックの底面に着地する。
眼下には、こちらを見据えるジャイアント・ゴーレムがいる。
「……行くぞ!」
そう自分と相手に言い聞かせて、《超跳躍》を全開で起動。
弾丸のような速度で飛び出した。
重力に任せた自由落下+跳躍力強化を利用した、高速滑空。
ジャイアント・ゴーレムの目が見開かれ、僕めがけて《閃光噴射》のレーザー光を浴びせる。
しかし、あらかじめそれを予見していた僕は、すかさず《火炎弾》を起動した。
「《火炎弾》―《散弾花火》ッ!」
両手の掌底を合わせて指先を花のように開き、指の先から一斉に火炎弾を発射する。
それはまるで夜空を彩る花火のように降り注ぎ、向かってくるレーザー光と衝突し、打ち消す。
『グォッ!?』
さしものジャイアント・ゴーレムも怯んだようで、今度は《硬質化》を起動し、硬い身体を更にガチゴチに固める。
「させない! 《交換》――《ダメージ増加+30%》を捧げ、我が手に《硬質化》を!」
刹那、ジャイアント・ゴーレムの肌が通常に戻る。
これを好機と、僕は膝を折り畳んで《衝撃拳》を両足に起動した。
「《衝撃拳》―衝撃促進ッ!」
畳んだ足を伸ばし、空中を蹴った。
それと同時に衝撃波が後方に流れ、更に加速する。
音速を優に超える速度での肉薄。
彼我の距離が瞬きをした瞬間に詰まる。
「スキル《硬質化》ッ!」
右腕を鉄よりも固くして引き絞り、ジャイアント・ゴーレムの腹部に全身全霊を込めてたたき付けた。
「必殺―超音速貫通弾ッ!」
たたき付けた先から衝撃波が一直線に突き抜け、ジャイアント・ゴーレムの身体を貫通する。
僕は勢いのままに、出来上がった穴を通り抜ける。
その穴を中心にビキビキと瞬く間に亀裂が全身へと行き渡り、『グォオオオオ……』という断末魔を残して直上で爆発四散した。
ジャイアント・ゴーレムとの死闘は、今ここに決着したのだった。
――と、安心したのはいいのだが。
ただいま僕、落下中である。
ちゃ、着地どうしよ!?
遂にSSクラスのジャイアント・ゴーレムを撃破したエラン。
しかし、現在進行形で落下中。果たして無事に着地できるのか?




