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嗤う24-121

「あ、ごめんなさい。ミスっちゃった」


 テヘと少女が可愛く謝ったのは、銀髪のエルフに向けて。名前はリーアと言い、幼い容姿から勇者と同年代ぐらいだろうか。


 エルフにしては珍しい褐色肌に、銀色の髪の毛。特徴的な長い耳から、種族はエルフで間違いない。


 その中でも銀色で褐色肌は珍しく、ダークエルフとも呼ばれている。闇属性の魔法に特化したエルフだ。


 エルフは人族や他種族に比べて母数が少ないが、ダークエルフともなれば更に減る。


 稀少なエルフに会うには難しく、各地を回った勇者ですらダークエルフは初だ。存在を耳に挟んだことはあっても初めて相対した。


 そんなダークエルフは勇者の非情な宣告に泣き叫んだ。


 膨張した右腕。風船のように膨らんだ腕は丸太のように太くなっており、血管が浮き出て明滅している。


 手の指から肘までの間に走る青白く光ったものは血管であり、魔力の回路でもある。


 血管はドクンドクンと鼓動し、褐色の肌に線を作っていく。


 腕が膨らんでいるのは身に余る魔力が流されている証拠。


 それで、勇者はミスったと言った。


 これが意味することは風船が膨らみすぎた先にある結果と同じ。


 青白く光っていた明滅が止まると、リーアは顔面を蒼白にして叫んだ。


「い、いやぁぁぁぁ!」


 続いて、ぱぁんと乾いた音が鳴り。


「ア、ァァァがッ!?」


 腕が割れた。


 肉片が飛び散り、青白く光った断面が覗ける。細い骨が垣間見れて、血にまみれた生々しさは吐き気を催すほど酷い有り様。


「うーん、何が駄目だったのかな。絶対あるはずなのに、おかしいわねえ」


 勇者は特に気を悪くした様子を見せず、顎に手を置くと思考する。その際に、エルフに回復魔法を掛けることも忘れない。


「……! や、めてッ」


 勇者が無詠唱でリーアへ掛けた回復魔法は、最上級魔法である。回復系統に特化している神官でも扱うことが出来ない。何より、選ばれた神官しか習得できない。


 禁忌魔法とも言われる回復魔法としては最高位のものだ。


 回復系統の上級に位置する魔法は、回復というより再生に近い。先を失った腕でも、欠損部位から構成していく。


 ただ、この魔法は致命的な欠陥がある。回復している最中にも破損した時の痛みを味わうのだ。


 普通は薬や魔法で痛覚を麻痺させてから行うもので、戦闘中に即時回復というわけにはいかない。


「家畜は家畜らしく大人しくしてなさい。家畜って言っても、これじゃモルモットだけど」


 勇者が行っているのは実験である。


 内容としては、人族と魔族の魔力総量の違い。人体における相違点を探ることだ。


 人族の魔力の量は平均的に中級魔法を四発打てば息が上がる。そのままの状態で更に魔法を唱えることも可能だが、無理した体では魔法が不発に終わることもある。


 魔法が万に成功しても、魔力切れを起こす可能性があるのだ。


 魔力切れとは体内に流れる魔力が空になったときのことで、症状としては酔ったような目眩の後に気を失ってしまう。


 それに比べ、魔族は魔力総量が多い。中には獣族や蛇族のように魔力量が少なくても、身体強化に特出している例もあるが。


 特に、魔力量と連想して浮かべる魔族は夢魅族と長耳族だ。


 夢魅族とは通称サキュバスのことで、男にとって天敵な存在。幻惑魔法に特化した存在は奇しくも男では防ぐすべがない。


 いつの間にか術中に嵌まっている夢は、男にとって堪え難いものだ。


 そして、通称エルフと呼ばれる魔族。長い耳を持ち、人族の視点からは美男美女しかいない。


 魔法を生み出した精霊に一番近い存在で、対話も出来る者もいるらしい。


 エルフ達でも精霊が見えない者は多く、精霊というあやふやなものを観ることができるのは一握りの者。


 エルフが扱う魔法はどれも強力で、更には精霊と会話できる者は精霊の力を借りて魔法を放つ。


 大地を変形させるほど強力な魔法は人族はもちろん、他魔族にも驚異であった。


 勇者は人族よりも上位種族、エルフの彼女を実験動物のような感覚で試していた。その姿は、白衣を着ていれば狂った研究者にも見えた。


 実験対象のエルフは泣いていて、愛しき者の名を叫んでいるのに勇者は嬉々として実験を再開するのだから。


「クルト、クルト……お願い、助けて……!」


 両手足を縄で拘束され、柱の所に紐通して無理やり立たしている。


 今はだらりと、力なく泣いているエルフ。縄が褐色肌に食い込んでも涙を流すだけで、抵抗する力も残ってないようだ。


「助けなんてこないわ。てかさ、わたしがせっかく救ってあげたのに。助けて、なんて酷いじゃない。男たちに犯されるよりは良かったでしょう?」


「よかっただなんて、こんなの! どっちも酷いよ、こんなことならッ!」


「やあね、我が儘なエルフは」


「あなたは狂ってる。人間のやり方じゃない……」


「あら、わたしは立派な人族よ。だって、勇者だもの」


「人だったらこんなこと、やらない。あなたは化け物だよ……」


「酷い言い草。男たちに犯られるよりマシだと思うんだけど。そこまで言うなら、男たちと同じことされてみる?」


「なにを……?」


 勇者がごそごそと部屋の隅に置かれた麻袋から取り出したものは小さな袋。


 中には黒くてさらさらとしたもの入っている。


 四角形の袋は見方によっては危ない薬のようなものだが、中身は麻薬でもなく魔晶石を砕いた砂。


 闇ギルドの頭領から聞いた話では麻薬以上に強力な効果らしいが。


「これ、貰いものなんだけど回復薬なんだってさ。ね、痛いのが嫌ならこっちを試していいよね?」


「……それ、は?」


 涙の跡が残るエルフは銀髪の隙間から黒い四角形のものを見た。


 禍々しさが拡散しているような四角い物。とてもじゃないが、回復薬には見えない。


 ギルドの正規品として売っているものも緑や青だったり体に悪そうな色だが、袋に入っている黒い粉は口に含んでいいのか躊躇う代物だ。


「ふふ、凄い魔力でしょ。魔昌石の欠片を潰したもので万能薬なんだって」


 勇者はそう言って部屋に転がっている椅子の取っ手を破壊した。


 身体強化をしなくても簡単に折れ、埃が被っていることから長らく使われていないものだろうと予想できる。


 埃を払って手に収まるサイズの棒を作ると、四角い袋を破る勇者。黒い砂がこぼれ落ちる前に木の棒へと被せた。


「なにを、するつもり……なの?」


「この薬の実験よ。これ、媚薬にもなるらしいから、効果の効き具合を確認したいの」


 勇者はエルフの服を取り払う。冒険者用の服は革製で耐久力も高い。


 留め具を外して防具を落としていく。次第に露出していく褐色肌。


「やめて……!」


 上も下も剥いでいくと、下着姿が露呈したエルフに木の棒を押し当てた。


「わたし、エルフって嫌いなのよねぇ」


 棒に触れてエルフはビクつくが、お構い無しに太股付近をなめ回すようになぞる。擽るような動きに、銀髪のエルフは必死に唇を噛んで堪えようとして。


 その一々反応する様が見てて面白くて、勇者は笑みを強めていく。


「……知ら、ない。私、何もやってないっ」


「そう、エルフは何もやってなかったのよね。でもね、わたしの国がさ、エルフに滅ぼされたの。ゴブリンやオークの豚野郎が主犯で、エルフが先導してたんだって。それは後から知ったんだけど」


「関係ない、私、関係ないよ……!」


「そうかもしれない。でも、あなた魔族でしょ?」


「まぞく……?」


「わたしは誓ったの。勇者として、人族として、彼女の親友として。潰して殺して、根絶やしにするってさ。――だからさ、魔族は苦しんで地獄に落ちてよ」


 むき出しの太股から徐々に上に上がり、下着と木の棒が接触する。


「っ……!」


「さて、どうなるかな」


 勇者は白い下着の隙間に、砂がまとわりつく木の棒を押し込んだ。


「――ァ、ガッ」


 流れた血。出血は棒を伝い、太股から落ちていく。


「はは、あなたの純潔が散っちゃった。エルフはこういうの大事にするんだっけ」


 勇者は言葉とは真逆に、捩じ込むように木の棒を力一杯押し込んだ。


「いやァァァアッ……!」


 血とは別の温かい液体を漏らし、膝を震わせるエルフ。


 縄に縛られた両腕に力を入れ、精一杯逃れようとしながら懇願するが、勇者は嘲笑って更に遊びを楽しむ。


 勇者は素の力で棒を弄っているので、貫通するような力は込めていない。


「大丈夫、今は痛いかもしれないけど段々良くなるんじゃない。フフ、子供を産めなくなるまで遊んであげる」

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