おいで、おいで。
いつも帰り道は一人きり。
スマホを片手にしていた日常。
特に気にすることはなかった。
ただ、今日に限って違和感を覚える。
なんだろうか、耳鳴りがしている。
どっどっ、どっど。
どっどっ、どっど。
鼓動が早くなる。 昂る。 胸が苦しい。
それはちょうど、墓場を過ぎた辺りだった。
神妙な面持ちにならざるを得ないだろう。
見渡せば、なにかがこまねいている。
こっちへおいでよ、こっちへおいでよと。
手招いているさきへ、おそるおそる。
興味津々に。 ぼちゃん。
ぷつりと意識が途絶えてしまった。
あぁ、冷たい。 息ができない。
ごぼ。 ごぼごぼ。
明日から、それがボクの仕事になった。




